11、キュンとする頃
「ザンジバルに頭なでてもらったー! わーーい! 」
「もう、仕方ねえなあ。」
ザンジバルは意外と色んな話聞いてくれた。
僕にちょっと興味持ってくれるのは嬉しい。
近く花火大会あるので、思い切って誘ってみようか考える。
だってパパりんは、人が多いとこ行きたくないって連れてってくれないんだもん。
1人で行ってもいいけど、寂しいじゃん。
僕はだから、クラスの子が誘い合って見に行くのが、うらやましくてたまらなかった。
「なあ、クラスに友達、ほんとにいないのか? 」
「いないよ。言ったじゃん。」
「中学の同級生とかいるだろ? 」
「いないよ、だって、僕、高校受験1浪したもん。」
「は?? 」
「だから、僕18才。」
「お、お前! それで友達いないのか! 」
「まあ、そんな物だね。それに転校いっぱいしたから、幼なじみがいないんだ。
中学は3年間同じ学校に行ったけど、一浪したから誰もいなくなっちゃった。
しかも、初登校の日に下にスカート履いていってみんな引いちゃったんだよね。」
「なんで?! 」
「だって、女子校に入りたくて、落ちて1浪したもん。」
「な、落ちるの当たり前じゃないか! なんでそんな物、あのオヤジが許したんだ? 」
「パパりんは、僕に無関心だから。好きにしていいよってしか言わないよ.。」
「無関心じゃ無いだろ、フライパン持ってきたじゃないか。」
「さあ、心配してるフリじゃない? 結局行くことに反対なんかしないもん。」
ザンジバルから、なんか呆れたような、溜息めいた吐息が聞こえる。
「なんで、女子校なんだ? 」
「制服可愛かったから。」
「本当に? 浪人中、何してたんだ? 」
「フリースクール通ってた。」
「ふうん、無駄にはしてないんだな。」
「無駄なんか一つも無いよ。
僕は僕のしたいことに向かってる。」
「ふうん…… それが性別って傷害ににぶち当たってるわけか。」
車はだんだん日が陰る中を進んで、空に藍色が混ざってゆく。
家々には明かりが灯りはじめて、星のようにきらめく。
次第に車が多くなって、やっぱ土曜でも働いてる人多いんだなあって思う。
シンとする空間が息苦しいのか、ザンジバルがラジオつけた。
どこを付けてもザアザア雑音が鳴って、僕は不快感にため息を付く。
まあ、ザンジバルはタバコも吸わない男なのは合格だ。
「ねえ、」
「ん~?? 」
「セックスして 」
「 ぶはっ! 」
信号黄色なのに、急ブレーキして止まった。
キーーッて、後ろからも音がする。
「な、な、何言うんだよ! このガキ! 」
「して! 」
「バーーーカ! 誰がやるかバーーカ! 」
「してしてして! 」
「俺はストレートだ! 男は完全ノーマークなんだよっ!
バーーーカ! 」
クルリとこちらを見て睨み付ける。
僕はシートベルト外して、お尻向けるとスカートをめくり上げた。
薄いピンクのTバックから、プリンとまん丸いお尻を突き出すと、片方のお尻を掴んでグイと引っ張り割れ目を広げる。
「 ね? して? 」
「 わああああああああ!!! 」
ブッブーーーッ!
ブーーーーッ!!
ザンジバルの悲鳴と、後ろからのクラクションが入り乱れる。
「わわ、わわわ、わわわあああああ」
慌てて車を発進させると、近くのパチンコ屋の駐車場に入った。
「あああああああ、あああ~~~ 下りろ。」
「え~~? マジぃ? 」
「このまま家に帰りたいなら、黙って後ろに乗れ。」
「わかった。もうしない。」
「今度したら放り出す。」
「うん。」
「なんてパンツ履いてるんだ。普通のブリーフ持ってないのか? 」
「持ってないね。干すの恥ずかしいってパパりんが言うんだ。」
「当たり前だろ、なんてわがままな奴だ。」
わがまま??
ちょっと僕はカチンときた。
なんでTバック履くとワガママなの?
「履きたい物履いて何が悪いの? 僕はワガママなんて思ったことない。」
「自覚がないものほど最悪だ。
洗濯は自分でするのか? 」
「そうだよ、下着は手洗いして室内に干すの。前、取られたから。」
「取られたって…… 、まあ普通男のだと思わないよな。
自分でやってるならいいけど、こんな変態とは思わなかった。」
「変態じゃないもん。」
「いくら18でもな、お前高校生だろ?
高校生なら学生らしい格好しろってこと。配慮しろよ。
自分の意志で留年したんだろ?
我慢できないってのは、お前のエゴだ。
Tバックは高校卒業してから履け。」
僕は、驚いて目を見開いた。
僕は、
僕は、
「自由っ、て…… なんだろ。」
「自由なんてのはな、心の中に秘めるもんだ。
何にも枠が無いなんて、サルより悪い。
自由だ、フリーダムだと、裸でおっさんが街を走ってみろ。
キモいだろ? みんなが迷惑する。
見たくも無い物を見せつけられて、気分が悪くなるだろ?
そんなの格好悪い、ただの変態だ。
人の自由を侵害する物は、自由なんかじゃ無い。
自由をはき違えるな、そんな生き方格好悪い。
真っ当で、迷惑をかけず、人に不快な気持ちを与えない。
それでいて、自分の道だけ前に真っ直ぐ伸ばせ。
みんなが羨む自由を生きてみろ、それがカッコいい生き方だ。」
はうっ!
きゅーーーーーんっ!!
む、胸がっ!
鷲づかみにされたっ!
きゅーーんって、 僕のちっちゃな胸がっ!
なに?
なにこれ。
僕はザンジバル雅史の横顔に、顔が燃え上がって、胸がキュンとした。
「 カッコいい…… 」
「は? 」
「カッコいい、雅史、カッコいい…… 」
「は?? 」
「 してっ!! 」
「 はあああ??? 」
「 僕を雅史のお嫁さんにしてっ!! 」
「なっ、なんで? なんでそうなるんだ! 」
「僕は、雅史のお嫁さんになる! 」
「はああああああ!!??
こっ、断る! 断る! わあああああああ!! 」
ザンジバルはパニック起こしてコンビニに入ると、アイス買って食べて頭を冷やした。




