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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第七章 はじまりの刻編

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18.神の子か?化け物か?

※少し大人の回になります。

「なぁ? ところで俺の浴衣はどうするつもりなんだ?」

 殿下が珍しく仕事中に真面目に聞いてきた。

 分かってますよ。元々は貴方のを作っていて侍女達に広がったのですもの。


「ん? もうとっくに完成しておりますが?」


「は? 聞いてないぞ?」


「言ってないですもの。当たり前ではないですか」


「はああああああ?」


 皆が、一斉に此方を見た。


「ちょ、殿下、仕事中ですので御声が……」


 ワナワナワナ……

 目の前のこの女のこういう所だ。俺が自分の理を乱されるのは……

 いつも簡単に人の心にズケズケと土足で踏み込んで来るし、指摘しても全く反省してないどころか、悪びれもなく笑顔で言ってくる。


 そして毎回俺は、この女にもっと惚れてしまう……

 まったくとんだ跳ねっ返り娘だ。


「で?」


「で? とは??」


「犯すぞ。ここで」

「仕事中ですよ?」

 ちょっと、ちょっとその目は何ですか?


「あ? 言ってろ? なら仕事すれば良かろう?」

 ちょ、ちょっと。待って。何その目は? 

 普段ならここで笑って、ただの悪戯程度のはずが……


「で、殿下? ちょ、」

「抵抗してみるんだな」

 低い声で耳元で怪しげに囁く。まるで楽しむように。

「ちょ、ま、待って……」

「仕事するのでは?」

「そ、そんなことされたら……」

「そんなこととは?」

「ひ、人が来ます……」


 ──ガチャリ


()()()()()これで二人きりだ」

 そう言って殿下が激しく首や胸元に口づけを続ける。

「ちょ、」

 手が下方を探りそのまま机に押し倒され覆い被さってきた。

「ちょ、やっめ」

 声をあげようとすればそれを塞ぎ、その手を払おうとすると余計強くなる。

 こんなに……妖艶なお顔でこれ以上求められてしまうと……


「嫌なら言え。無理強いはしない」

 先程の激しさは抑えられたが、その吐息に混じる声はなんとも艶やかだ。

 そして彼は私の目を憂いだ瞳で見つめる。

 吸い込まれそうな熱い目でじっと見られてしまうと……何も言えなくなる。

「良い子だ」



「あ、」

 思わず声が漏れてしまう私に殿下が止める。


 ──頭の中が真っ白になり思考することさえもう。



「力抜け」


「っ……」


「いい顔だ」

 そう言って彼は自分の上衣を私に掛けた。

 何事もなかったかのような顔をして、部屋を後にした。


 彼の衣から仄かに残る伽羅の薫によって、先程のほんの短い時間の出来事が思い出される。

 まるで媚薬のような彼の吐息、鼓動、声、そして艶めかしく怪しい身体に既にどっぷり浸かっている自分の身体に私は怖くもあり、嬉しくもあった。


「仕事中に挑発するのはほどほどにしないとね……」



 それから暫くして彼が部屋に戻ってきた。


「ん? もう大丈夫なのか? 横になっていていいぞ? 人払いしてある」


「え? そうだったのですか?」

 気だるさが続く中、でも誰かが来たら? と思ってずっと頑張っていたのに!


「当たり前だろ? そんな顔したお前を誰かに見せる訳なかろ?」

「そんな顔って……」

「欲しいって顔に書いてるぞ?」

「ちょ、」


「このまま、また続けるのは構わんが、もうすぐ会議が始まる」

「ちょ、殿下」

「素直じゃないねぇ」

「か、会議が」

「なら止めて欲しいのか?」

 後ろから耳元で囁く彼の手が既に先程攻められたせいで敏感になっている部分を探っていた。


「ん? 止めるか?」

「身体のほうは素直のようだがな? やめて欲しいのか?」

「やっ」

「聞こえない」

「やめないでほ、欲しい」


「宣! 先にはじめてろ! 取り込み中だ」

「御意」


「ちょ……」

 外にいるって分かっててわざとこんなことを?

「これも大事な()()だ」



「立てるか?」


「……すいません」

 って貴方のせいですから。いくらなんでも流石にこれは……

 立てなくなるほどはお控え願いたい……


「え? ちょ、殿下?」

「仕方あるまい歩けないのだから」

 そう言って殿下は私を抱き上げる。


「ちょ、職場ですし……」

「緊急事態だ仕方あるまい?」

 そう言って少し意地悪そうで、少年のような顔をして笑う彼の顔は私は大好きだ。

 でも流石にこれは駄目でしょう? もう駄目ですからね? こんなことは!


 私は無言で訴えた。


「分かったって。大人しく捕まってろ」


 殿下の上衣ですっぽり覆われた私は皆に心配されながら、宮の寝所に運ばれた。

 そんなことは何処吹く風のこの御方は、あろうことか、寝所に下ろした瞬間に再び覆い被さってきたので、流石にそれは丁重にお断りした。

 どれだけ体力余ってるのよ!! と、ちょっと今後が心配になってきたのだった。

「本当に化け物だわ……」



 仕事を終え、帰って来た彼にもう少し自重するように苦言したら「あまりにも可愛い目で見るから」と一蹴されてしまった。


 なんともな……話ではあるが。かといって側室を持たれるのは絶対嫌だ。

 皇后の一番のお役目……かぁ。



「本当に身体がしんどい時はちゃんと言えよ? 流石に俺もそこまで鬼畜ではないわ」

 その言葉聞きましたからね? 

 ちゃんと有言実行を願いつつ、夕食を共にした。



 そして、この御方、夕食後もいつものように影相手に今日も鍛錬中だ。

 最近はその人数もどんどん増えているような……

 いったい何処を目指しておいでなのか?


「やっぱり化け物だわ……」


「聞こえてるぞ」


 そしてこれだけの相手をしているにも関わらず恐ろしく耳も良い。


「三百二十七と五百四十二」

「八六九」

 即答された。

 どういう頭の構造しているのだ。全くもう。


「今日はもうお止めになったら如何ですか?」

「ん? 淋しいのか?」

「違います!!」


 その後も暫くの鍛錬は続いていた。


 うん。武官達よ。これは超えられないわ。

 昼間あれだけ色々と……の後もちゃんと仕事もこなし、帰れば一時間以上多数掛けを行いながら、咄嗟の算術にも即答する。


 もはや、神を超えた? と思えるような神業に私は笑うしかなかった。


「先に寝てていいぞ? 流石に今日は大人しく寝させてやるから安心しろ」

 鍛錬を終えて部屋に戻って来た彼が私に言う。

 流石に少しは汗も? え? 


 キラキラした目で私を見る目の前の御人を見て、私は唖然とした。

 化け物? いやドラキュラ? 昼間元気だしなぁ……

 疲れを見せるどころか? その目は夜の暗闇の中、まるで宝石のように光輝いていたのだ。


「やっぱり、お前が見ていると身体が軽いわ。何だろう? この充実感? 普段以上の力が出ると言うか? 頭も視野も聴覚も全てが研ぎ澄まされて行く感覚? いやぁ、気持ち良い感覚だったわ」


「え? そうなのですか?」

「うんうん」

「有り難う凛花」

「ど、どういたしまして?」


 凡人の私には殿下の言っていることが良く分からないけれど、まぁ少しは? 私も彼の役にたっている? のなら良かったことにしよう。と思うことにした。


















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