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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第七章 はじまりの刻編

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8.不可解な弟 

 ──支宣はあの後、一人で市井の町を特に行く宛もなくフラフラと歩いていた。

 日々こみ上げてくる想い。告げるつもりは一生なかった想い。

 彼女が気になるようになったのはいつからだろうか? 


 仕事を一緒にするようになって、今までにない快感を得た。それはどんな者にも感じたことがない感覚。言葉では上手く言い表わせないが、ピタッと重なる感覚。自分が思えば望む答えが出て、言おうとすれば、次が提案される。そんななんとも言えない共感が心地よかった。


 愛? とかではない。でも彼女が泣く姿を見たくないし、泣かせる奴は許せない! のは事実だ。

 自分でも分からないこの気持ちを、理解して貰うのは難しいことは分かっていた。

 だから、誰にも言わずにいるつもりだったのに……


 彼女が、あまりにも綺麗に笑うから。

 あまりにも泣きそうなぐらい綺麗に笑っていたから。

 何処かに飛んで行ってしまうんじゃないか? と思うと抑えることが出来なくなっていた。


 支宣は河原の草の上で転がり、青い空を眺めていた。

 泣けるぐらいそれは綺麗な真っ青な空だった──



「やっぱり此処か、子供の頃から変わらないなぁ宣は」

「何しにきたのですか? 玉砕するのが分かっていて告白した馬鹿な弟を笑いにきたのですか?」


「ん? 本人には言ってないから玉砕はまだだろ?」

「結果は同じです」


「殿下からだ」

 そう言って兄が酒の入った徳利を弟に渡す。懐から猪口を二つ出す。


「お前さぁ、あれは駄目だろ? 流石に。殿下だって分かってるんだから」

 兄が猪口に酒を注ぎ弟の寝そべる横に置く。


 そう分かっていた。殿下の気持ちも痛いぐらい。

 でも抑えれなかった。

 彼女の想いを考えたら。


「嫉妬なのかなあ?」

 支宣が疑問系で兄に聞く。


「俺に聞くなよ。本気なのか?」

「冗談で言える話しではないでしょう?」


「………なんでそうなるかなあ……いくらでもおるだろうに」

「私だって思いますよ。別に他の女子で良かったのにって」

 支宣は、身体を起こして兄と並んで座る。


「ただ、兄上や、殿下が言う()()とはちょっと違うんですよ」

「違うとは?」

「うーーーん……例えば、兄上が誰かに酷いことをされる。私はそいつを許せない。殿下にしてもね。彼女も同じで許せない」


「それは俺も同じだろう。だからって御方様を女性としては見てないぞ? あ、恋愛対象って意味な」

「あーー恋愛対象? どうだろ……大事に想う人?」

「なんだそれ? 意味わからんな」

 兄は首をかしげる。


「殿下も同じことを言いました」


「で、どうするよ……」

「どうしましょ?」

「勘弁してくれよ……」

 そう言って、彼は弟の頭を撫でた。

「殿下に謝りに行くか……兄ちゃんが付いていってやるから」

「………」

「殿下のことも大好きなんだろ?」

「はい……」

 支宣は声は小さかったが即答した。


 思春期の少年の揺れ動く心がそれが恋なのかは? 本人にも分からなかった。







 ◇





「なぁなんでうちの風呂なんだ?」

「やっぱりここが一番でしょう?」

 支宣が答える。


「そしてなんで俺が、()()と一緒に入らないといけんのだ?」

「やっぱりここが一番だから?」


「惟光、こいつ沈めて良いか?」


「まぁまぁ、お待たせしました~~ はいどうぞ」

 惟光は酒の徳利と猪口を三つ持って来た。


「なぁ? こいつまだ飲めんだろ?」

()()で十七になります故」

 酒は十七からと国法で決められていた。


「奪う気なら本気で来いよ」

 殿下が真面目な顔で支宣に言った。


「だからぁ……奪うとかそう言うんじゃないんですってぇ」


「あん?」


 ──ブクブクブク

 支宣が湯船の中に頭まで浸かる。


「そう言うんじゃないんですって……好きなんだけど、でも殿下と一緒に笑っている彼女が好きなんですって!!」


「なんだそれ?」

 殿下が兄を見る。

 惟光も首を横に振り、分からんと手振りする。


「抱きたいとかはないのか?」


「………ないですけど?」


「お前、今一瞬考えたろ? やっぱりこいつ殺していいか? 惟光よ?」


「い、いやちょ、ちょっと待って待って!!!」

 支宣が急いで訂正する。


「違いますって!! 抱きたいとかじゃなくて……うーーーん。もしですよ? 絶対怒らないで下さいよ? もし、そう言うことをするのであれば、彼女が良い! ってだけで、だからって彼女を抱きたい! のとは違うんです!!」


「それと、何処が違うのかな? 支宣()()?」


「ちょ、待った待った。止め止め!! 離れてそこ!!」

 兄が間に割って入る。雲行きがどんどん怪しくなりかけたのを見てすかさず止めに入ったのだった。


「あ!! 違います!! だって俺、殿下も好きだし!!」


「宣……もうそれ以上喋るなお前……」

 兄が止めに入った。


「お前これから、毎日伽番させるぞ?」


「あ、それは平気です。そこは割り切っておりますゆえ。それに側室持たないなら、殿下には励んで貰わねばなりませんし」


「お、お前、人を種馬のように……」


「取り敢えずお前、凛花に近づくの禁止な、明日から!!」


「えええええええええええ!!!」


「当たり前だろ? 阿呆か?」

 殿下が呆れた顔を支宣に向ける。


「殿下、それ多分また違いますよ。こいつ」

「宣、明日から殿下に近づくの禁止されるのと、御方様に近づくの禁止されるのどっちが、辛い?」



「…………」


 本気で悩んでいる男を見ながら兄が言う。


「ね?」


「ね? ではないわ!! あほか!! 意味がわからんわ!!」


「すいません愚弟で」

 惟光は頭を下げる。



「出るぞ! もう面倒くさいわ」


 そう言って殿下が湯殿を後にした。



 なんとも不可解な彼の感情を、どうしたものか? と少し考えたが、あまりにも馬鹿馬鹿しいので、

 暫く様子を見ることにしたのだった。











何だかんだ言って仲良しなのです。

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