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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第六章 変革の刻編

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10.一大事

「凛花さんや、なんで俺の大福が一個なのかな?」

「俺の! じゃないです。私も一個です」

 殿下が私の大福に手を伸ばそうとしたので、すかさず手の甲を軽くピシリッと。


 そう、この御方、何を隠そう部類の甘党なのです。

 最近、朝食は出来るだけ私が作るようにしている。

 私達は共働き夫婦だ。昼食と夕食は職場で食べることが多い。

 専属の料理番様が、毎日の栄養バランスを考え作ってくれている。


 掃除や洗濯も有難いことに、下女が行ってくれている。

 だから、せめてもの妻として夫に妻らしいことを! と、朝食は私が用意することが多い。

 それでも出来ない日もあるのだが……


 やはり、あまり甘いものを摂り過ぎるのは心配だ。


「ぜりぃ、なら御座いますが?」

「プリンがいい」

 そんな目で見ても駄目ですからね? たまに殿下はマルチーズ? いやヨークシャーテリアのような目でおねだりしてくる。

 朝から止めて貰っていいですか? 私がなんだか悪い人みたいな気持ちになるので。


「何か考えますから、取り敢えず大福は駄目です! 一個!!」


 殿下は煎餅やクッキーは好まない。少し、しっとり系が好きで、フィナンシェまでが好まれる。

 柔らかな餅に餡子が入った大福、いちごと餡子がはいった大福は大好物だった。


 食の好みもかなりはっきりしていて、好き嫌いは無いのだが、がっつり系男子飯を好む。

 その割には、体型が変わらない。羨ましい限りだ。


「今日は此方のお召し物で宜しいですか?」

「うん。凛花は? ドレスにするのか?」

「うーーん。来月からにしましょうか?」

「そうなったら、揃いのが着れなくなるね」

 殿下が少し淋しそうな顔をした。


 そう。この御方かなりのロマンチストで、女子か! と言うぐらいの、ペアルックや、ペアアクセサリー等、をとても好むのだ。まぁ全て自分でデザインしているのだが。


「では、殿下のと同じ生地を何処かで入れたドレスにしてみるとかは?」

「それ良いな! あ! 凛花のあの意匠を俺の衣に入れたら良いだろ!」

「いえ……殿下には殿下の紋を入れなければ……」

「あ~~別に無くても良かろう? そもそも竜胆が咲いてもない時期に()()()()()を背負って歩くって何か野暮だろう?」


 は? 何言ってるんですか? あなた?? そんなものって。花紋と言えば家紋。それに時期もクソもなかろうて。野暮って……


「そこは流石にお止めください。私が怒られます。「R」は何処かに小さくとかにしましょう。分かりましたね?」


「……」


 この御方の凄いところは、伝統や格式より、機能性や効率性、服ならファッション性を重要視する。

 伝統を守りながら継承は確かに大切だけれど、こういう人がいないと新しいものは生まれないのかもしれない。と少しだけ納得した。


 が! 流石に家紋はいるでしょう……あなたのお立場なら。

 私は為時様の怒る顔が脳裏に浮かんだ。


「ないないない。絶対ないわ……」

「ん? 何が無いのだ?」


「いえ、何でも。出来ましたよ殿下」

 最近は出仕の際の着替えも私が行っている。


 殿下の出勤時間は、緊急案件がなければ基本的には10時だ。


 皆が朝の会議や報告を各所で行って、殿下へ回す案件が決まってからの出勤になる。

 惟光様や支宣様らは8時前から出勤しているのよねぇ。しかも毎日夜も20時ぐらいまで働いていて、過労死されてはいけないわ。

 ちゃんと考えないとねぇ。



「では、あとでな? 奥方殿」


「はい。旦那様」







 ◇



「なぁこれって、水晶? ではないよなぁ?」

「今、至急に信に調べさせてはおりますが」


「輝きが全く違いますしねぇ」

「南の山麓と言ったなぁ?」


「はい。小さな村です、山に囲まれていて。特に名産品はなく、若者は大きな町に出てしまって、残っているのは年寄りが少しと聞いております」

「だよなぁ……引越しさせるとしたら、比較的早くにできそうだな」

「では?」

「ああ、一応そのつもりで動く」


 惟光と支宣の兄弟は殿下の執務室で人払いをして、ヒソヒソと頭をくっつけて朝から密談をしていた。


「なんだこれ? 人の部屋に!!」


 ドアに掲げられた札を彼は引きちぎる。


『何人入るべからず』


「おい! お前ら!!」

 ──ガチャリ。


 ドアが開くか開かないかのタイミングで声がした。


「あ! 申し訳ございません」

「それより殿下! 見てください!! これを!」


 ワナワナ……人の部屋に勝手に入って、しかも人払いまでして、それより? それよりって何だ?


「殿下、早く此方へ!!」

 そう言って支宣は、突っ立ったままの主をせかす。

 粒が小さい為、近くに呼ばないと見えないからだ。



「あぁ? 何だと?」


 若干声が変わったことに気づいた、支宣は素直に謝るが、殿下は()()()()()()で本気で怒るようなことは絶対ないと支宣には分かっていた。

「あ、……ご無礼を」

 軽く謝り、それでもやめない。


「此方をご覧下さい!! もしかしたら国を動かす一大事かもで御座います!!」



「は?」


 あの冷静沈着な支宣がここまで急ぎ、しかも早口になっている。

 流石に国の一大事と聞けば、彼も急ぎ呼ぶ方へ向かった。



「何だ? これ? 水晶? いや、そんな輝きではないな??」


 その小さな石ころは、キラキラと輝いていた。研磨されてはいないが、それでもどんな石よりも綺麗な輝きを放ち、色は無色透明。



 殿下が窓の外の太陽に向けて、その石をかざす。

 その小石はより輝きを増し、キラキラと光輝いていた。








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