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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第五章 東宮編

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11.違和感

「へぇ? 随分進んでいるわねぇ?」

「全ては殿下と、御方様のお陰で御座います!!」

「私は特には何もしてないわよ? 全ては殿下の御人柄と寛大な御心の御蔭よ」


「いえ! 御方様があの「おにぎり」を開発された御方だと! しかも今回も御方様御手自ら握られたと聞いております! 我々には勿体無い気遣いを頂き有難う御座います!!」


「御方様、足元が其方は悪くなっておりますので、御気を付け下さい」

「皆の者、御方様が御通りになる、早くそれをどかせ!」



「ちょ、そんなに気遣いなくても、それでは返って迷惑になりますわ? 作業の妨げになるのは本意ではありませんから」


 そう、私は今「政務官室」及び殿下の宮の改修工事の進捗を見に来ているのだ。殿下には反対されたが、自分が使う仕事場と、将来自分が暮らす場所になるところだ。やはり自分の目でちゃんと見ておきたい。


 内宮内の奥には帝のお住まいとして「御所」がある。

 ただ、そこは色々と……例の方が贅沢三昧、女人方達と色々と……な場所。

 今回は殿下の御意向で「移転」になった。


 今の殿下の宮だと少し手狭なので、少し奥に新たに生活の場を増築することになった。

 大所帯になりつつある「政務秘書官室」も新たに新築し其方を「大内裏」とする計画だ。

 今の政務秘書官は側近の政務室として残る模様だった。


 それで、見学に一緒に護衛兼、説明役として、武官から数名、文官から数名の若者が付き添ってくれていた。


「そうね、此方は此処にもう一本出来れば橋が欲しいわねぇ……やはり絵図で見るのと、実際にこうして見るとよくわかるわねぇ」


 絵図で見たら、完璧なような設計でも実際その場に立てば、もっとこうして見たい! がどんどん具体的になる。


「筆を」

「此方に」

「そうねぇ、この辺りにしましょうか」

「東のと同じ幅で宜しいでしょうか?」 

「そうねぇ、此処は庭からも良く見えるので、もう一つ大きなこの形にしましょう」

「鳳凰は?」

「そうね、入れましょう」


 たまにはこうして若い才能と触れ合う機会は大事よね。新しい感覚を学ぶにしても。

 今日は来て正解だったわ。


「御方様、此方を。あそこに居る者達から、御方様へのお礼の品と申しておりまして……申し訳ご座ません。断るにも、断り辛く……」


「あら? 断るだなんてそんな。結、()()を」


 ダブル「R] のロゴマークの浮き彫りを施した紙に、ラベンダーオイルを少し吹きかけた物。

 そう、いわゆるエンボス加工でロゴマークを入れた、ショップの名刺のような物を大量に生産していた。紙が比較的効果な時代。名刺を作る習慣がないこの世界に、すこしづつ浸透していけば良いかな?と、思って最近は持ち歩いていた。


「これを、ではその方にお渡し願えますか? 有難う御座いますと私が言っていたとお伝え下さい」


 結が、若い青年に「名刺」を渡した。


「あ、あのう……誠に厚かましいお願いで御座いますが……。俺にも、あ! いや、わたしにも、一枚頂くことは可能でしょうか?」


 あら? チワワ君! 

 そう言って願い出た物は小さく細く、プルプル震えながらつぶらな瞳で言ってきた。

 うん、君は今日からチワワと呼ぼう!


「あら? こんな物で良いのなら? 結?」


「お! おい! ずるいぞ! お前!!」

「お前抜けがけしやがって!!」

「御方様に向かってお前如きが!!」


「これこれ、喧嘩はいけませんよ? 我々は皆、殿下をお支えする家族なのですからね? 仲良くしないとね?」


「……か、家族」

「俺達が、天子様と家族」

「勿体無き御言葉」


「さあさ、皆並んでちょうだい?」


 あっと言うまに私と結は、若い男性陣に囲まれる。

 皆、十四、十五の元服したばかりの者達だ。


 これ結とかの分も作ろうかしら? 名刺交換から婚活って始まるかもよねえ?

 そんなことを考えていたら




 !!


 一瞬悪寒がした。気のせいかしら?

 誰かの視線を感じた。


 何となくジットリした? あまり心地よいものではないような?

 うまく言い表わせないが……少し不快な感覚が一瞬した。

 誰かに見られているような?


 でも、結も進も普段と様子が変わらず、多分居るであろう? 影に変化がある感じもない。

 きっと思い違いかしら?







 ◇



「もう少し待っててね。僕が自由にしてあげるから。籠から出してあげるからね。一緒に遊ぼうよ。

 凛花ちゃん? ふふふっ」


 どこかあどけなさが残る色白の顔。その瞳は綺麗な水色をしており、女の子のような可愛らしい顔立ちをした少年は怪しげに微笑みを浮かべた。












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