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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第五章 東宮編

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9.布教活動

 ──決戦の火蓋が切って落とされた!


 いや、そんな大袈裟なものではなく、まあ「選挙活動」みたいな? ものだ。

 見目の良い若い男女を、市井の民の前に並べて笑顔を振りまかせ「皇室よろしくね~~」と宣伝さすのが目的だ。

「皇室よろしくね~~」とは言わないが、本来の意図はそこだ。あわよくば、彼らのファンができればそれはそれで、色々と使える、いや……推しがいる! と言うことは、生活の励みとなる!

 と、言うことにしておこう。


 その筆頭は勿論、殿下ではあるが。流石に()()をそのまま野に放つのは危険過ぎる。

 失神者が増えては、医療所から苦情が出るであろう。

 軽く扇子の奥から、御手振りでもしてくれれば、十分だ。



 準備も整い私達一行は、今日の炊き出し場へゾロゾロと向かった。


 会場となる炊き出し場に、傘を用意し、椅子を二脚並べた。

 殿下に言われ、仕方なく私も座らされることになってしまった。


 この並びだと、民に私達の関係バラしてるようなものでは? と、ちょっと心配にはなるが……



「おーーーーーーい。昼餉の用意が出来た! 皆順に此方に集まってくれーー」


 武官の一人が声を張る。


「おーいい!」

「昼餉の時間だ! 皆休憩をしてくれ」


 数名の武官が走って声を掛けて回った。


 ただ、流石に物々しい雰囲気に、皆がざわついている。


 そりゃあそうだろう。見目麗しい男女が大勢並んでいて、奥には何やら妖しい色気を放っている見ただけでも分かる高価な椅子に座る、高貴な御方。

 ざわつかない訳がない。


 さぁ? 出番ですよ? パンダさん? いや、殿下。 しっかり仕事してくださいね?


 皆が大方集まったところで、殿下はすっくと立ち上がった。

 両脇には惟光様と支線様が傍に付く。


「皆の者、今日はご苦労である。昼からも頼むぞ。そして怪我のないよう気を付けよ」


 よく言った! 天上人が民に頼むぞ と。 本来はありえない御言葉だ。

 臣下にすら「頼む」の二文字は使わない。 

 その御方が目の前で頼みごとを庶民にしたのだ。


 こんな効果な宣伝は二度とない。


 皆はざわついた。


「静まれ! 皇太子殿下の御言葉である!」


 あーあ、言った…… ()()は本来の台本にはなかったことだ。 

 支宣様が、高貴そうに見える御方の身分を明かしたのだった。



 皇太子殿下? え?

 え?? 皇太子? 天子様?

 馬鹿! 違うわ! 今はまだ天子様じゃーねーわ!

 でも、年が明けたら天子様になるってもっぱらの噂じゃねーかよ!



 うん、この収拾どうしてくれようか? 支宣くん?


 殿下がすっと立ち上がり、一瞬扇子をずらして片方のお顔を見せたと思ったら、片目をつぶりながら、ほんの少し薄く紅を引いた、ほのかなピンク色の艶やかな口元の前に、白くて綺麗な長い人差し指を一本立てた。


 案の定瞬殺だった。


 男も女も、この世のものとは思えない妖しにあったかの如くポカンと口を開けていた。


「で、殿下……」

 支宣が慌てて、殿下を傘で隠した。


 殿下は悪びれる様子は全くなく、扇子で今度は全て顔を覆い

「な? 静かになったろ?」

 と、一言自信げに言った。


 ムカつくけど仕方ない。

 この仕草が計算ではなく、素で出来るこの御人の罪深さに私はちょっとムカついていた。


「ちゃんと褒美は考えとけよ? この前のマッサージとやらの続きが良いな」

 そう言って扇子の影からこの色気お化けが、言って来た。


 やっぱりバレていたか、パンダに使ったことを……


 先程までのざわついた雰囲気は収まり、今は和やかな昼食タイムに変わっていた。

 よく見るとちらほらと、男女のグループが出来上がっていた。


 ん? これって合コンじゃん!!


 定期的に開くかなぁ?


 凛花はまたよからぬ計画を密かにたてていた。



「此方はなんと恐れ多くも、皇太子殿下が御手自ら握られた「おにぎり」じゃ! 本日は無礼講である! 一番の功績の者に与えるぞ!」


 うそ! 皇太子殿下様が? あの御方が? 天子様が?


「此方も恐れ多くも、皇太子殿下の許嫁様である御方様、御手自ら握られた物じゃ! 功績順に与えるぞ」!


 おい! 今何つった?


 私は支宣を思わず探した。


 ……。


 何と彼は、お姉さま方、奥さま方に囲まれていたのだ。


 まぁ狙い通りではあったが、何となくちょっと気の毒なことをしたような気も……

 頑張れ柴犬!


「此方はその許嫁様の母上様、御手自ら握られた「おにぎり」であるぞ~~~」

「此方は御方様の側近の女官様が握られた~~」

「此方は御方様付きの侍女殿の~~」



 おいおい! なんにでも付けるのはやめなさい……。


 後は皆に任せて、私達は先に退出することになった。


 そんな帰り際にも、あの御方は()()()()()()のだ。

 裕進様の配下の者が持つ傘の下、退出する際に、にっこり微笑みながら、なんと御手振りのサービスまでしてしまったのだ。顔半分は扇子で隠してはいたが、それがまた変に色気があって艶やかな所作だった。

 根っからのスターである。


 これで「殿下教」の信者が一気に増えたことは言うまでもない。


 この後数名の女性が気絶して、医療所から苦情が殺到したのは、また別の話。








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