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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第五章 東宮編

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7.策士

 朝から、執務室は何やら皆が忙しくしていた。時に声を荒げる者、女達は忙しく茶の用意や、書物をまとめて各所管に持って行く。今は「政府秘書官室」が公務の中央となっていた。


 そこには凛花達が集うから、と言うだけではなく、新たに造られた場所と言う利点もあり、その動線まで非常に考えて作られていたのが最大の理由だった。


 武官の司令塔の詰所の目の前、その裏は武官達の寮もあり、警備には問題ない。

 執務室の左横は渡り廊下繋ぎで各省と繋がっている。「料理番所」にも近く、移動距離が最低限ですみ、大変効率的に設計されていた。

 左手の庭の向こうには今は皇太子になった、光君の住まいの宮。

 大きな庭の中央には池があるが、橋が掛かっていて急げば数分で到着可能。予め、何かの時には橋は直ぐに切断される設計となっている。


 全ての国の中央が即座に集まれる場所が「政務秘書官」だったのだ。

 現在は大所帯になり、主要人物用の「執務室」もどんどん増設されており、侍従衆の休憩できる場所も多く併設されていた。



 そんな中での、今日の賑やかさは、少しばかり異様な光景だった。


「支宣様、此方はこのまま残す形で宜しいですか?」

 一人の若い文官がたずねる。


 支宣が、即座に赤い筆で丸で囲んだり印を入れたりし、男に指示する。

 昨日までの童のような彼は、もう何処にも居なかった。


 幾ら切れ者と言えど、そこはまだ若干十六歳。親の顔を知らない彼も、たまには甘えたい日もある。

 昨夜、たっぷり飴を貰った彼は、いきいきと仕事をしていた。


 一番人を使うのが上手いのはやはり、光の君であった。


 そしてそんな彼にも頭があがらない人が、たった一人だけいた。


「殿下、邪魔です! そこにおいでなら資料室に行くか、宮に戻るか、そこの荷物運んでください!!」


 狭い台所で、皆の差し入れの握り飯を用意していた母と娘。大きな男性は邪魔でしかなかった。


「邪魔って……凛花……。あ! 俺もおにぎり握ろうか?」


『ありえません!!』


「ちょっと待て? 俺が駄目なら、お前も駄目なことはないか?」


 真面目な顔で光君が言った。至極当然だろ?と言いたげに


「私のことは誰もまだ知られておりませぬ故、何ら問題ありません!!」


「いやいや、ここに知らん者なぞ? おらんだろ?」


「言わなければわかりません!!」


「なら、俺だって同じだろ? 俺が作ったって言わなければ?」


『同じな訳がないでしょう!!』


 本日二度目、いや三度目の雷が落ちた。


 だが、そこで直ぐに引き下がるような男ではなかった。

 衣の袖を捲りあげ、その辺にあった紐で縛る。そしてあろうことか、御手自ら「ご飯」を手にのせ「おにぎり」を握りはじめたのだった。



「殿下ーーーー!!」


 どこの世界に、御尊顔を拝謁することさえ赦されない、神の末裔と崇められている存在の天子様。(数ヶ月後に継ぐ予定ではあるが血筋は間違いない御子である)が、宮の改築作業に来た大工や職人他、労働者に配る仕出し用の「にぎり飯」を自ら握る御方が存在すると?


 ありえない。


 が? ちょっと待てよ??


 凛花はよからぬことを思いついた。



「これって、使えるかも?」



 皇族ってある意味、一般庶民にとっては、雲の上の存在。

 しかもこのルックスである。

 ファンが増えることには多少懸念はあるが……

 でも、それも国がまとまる為には、致し方ない。


 現代日本と違い、三権分立もなければ、総理大臣制でもない。

 ある意味天皇独裁国家である。


 その天皇になる御方が、身近に感じれる存在ならば??



 光君の実力、容姿含め、次期天皇として人気なのはあくまでも彼を知っている「内宮」の者だけだ。

 しかもそれも極一部に過ぎない。


 高貴過ぎ、崇められ過ぎるのは悪いことでは決してないが、民に寄り添い、国政を任されるのが本来の上に立つ者の正しい姿だ。


 開かれた皇室! うん、良いではないか!!


 しっかり、客寄せパンダになって貰いましょうえではありませんか!!



「殿下、此方のだけで構いませんので、ではお願いしますね?」


 そう言って、凛花は少しだけしっかり既に冷えている「ご飯」の桶を光君の前に置いた。


「凛花さん? 何を企んでおるのかな?」


 流石鋭い!!!


 凛花は結と進を呼び、殿下に計画の一様を話す。


「凛花様、良い案であるとは思いますが……失礼ながら……支宣様、いや……兄上でさえ、その案は反対すると思いますが?」

「間違いなく……」


 二人の同じ顔をした若者が、言いにくそうに凛花に言った。


「ならば、あやつらに内緒にしておけば良かろう?」


『そういう問題では御座いません!!』

 全員の声が揃った! 最近は中々のチームワークだ。


 コソコソするのは間違っている。


「進、支宣様と、惟光様を此方に呼んで来てもらえるかしら?」


「承知しました。御方様」



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