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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第四章 親と子編

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4.爆弾発言

 ついに、謁見の日がやって来た。二回目とは言え、流石にあの圧倒的な存在感、空気感の中では緊張するな。と言うほうが無理だ。光様とはまた違う威圧感があった。

 権政を退き、奥に下がって尚も「女帝」と言われるのはその存在感だろう。


 と、ふと横の御仁に目をやる。



「おい? 大丈夫か? 宣?」


 殿下が笑っている。


「はっ、はい!! ちょっと席をはずします!!」


 大丈夫じゃなさそうだ。 朝から何回目の厠かしら?


 そんな心配とは、関係なく無情にもその時がやって来た。





 ◇



 奥の離宮に到着し、以前と同じ謁見の間の次の間で私達は待つ。

 ただし今回は私が謁見の申し出を入れた。あくまでも支宣様は私の付き人、私が皇太后陛下に贈る「贈り物」を持つため役目だ。




「入りなさい」


 中から女官殿の声がした。

 ドアを開けた女官殿は、私に静かにお辞儀をする。

 非公式ではあるが、殿下との婚姻の証(現在の婚姻届のような物)の後見人の欄には香瞬皇太后陛下の御名が刻まれていた。


 皇族が正妻を迎える時に限り、その全ての責任を負うのに後見人が必要だった。

 大抵は両親か、祖父母など縁者の方がなられる。

 慣例に習い光君の母である皇太后陛下が記名された。


 法律上はすでに私達は夫婦であったのだ。

 ただ公式発布前なため、以前として秘密の関係であることには変わりない。


「本日は、皇太后陛下様にはご機嫌麗しく~~~お目通りの~~」


 私が挨拶の口上を述べていると


「嫁が姑に会いに来るのに、そのような堅苦しい挨拶は要らぬ、凛花よ。母様で構わん」


「……そうは申されましても」

 困ります……の言葉は飲み込んだ。


「女帝」と言われているからどれ程恐い御方かと? 最初はかなり緊張したが、比較的こんな感じの方なのだ。


「今日は此方を、皇太后陛下様、いえ鈴蘭の御方様に是非とも御覧戴きたく、馳せ参じました」

 支宣様が私に「白珠」こと「本真珠」のネックレスが入った箱を渡す。

 私は受け取り、丁寧に箱を開ける。



「ほう? 中々の逸品だな? 其方は宝珠か?」

 皇太后陛下が少し身を乗り出したところで、女官殿に箱を託す。


 女官殿が、真珠のネックレスが入った箱を皇太后陛下に御渡しになった。


「宝珠の類では御座いますが、其方は鉱石ではなく、貝が育てる宝玉です。貝の中で結晶粒が何年もの期間を経て偶然玉になった物で、其方は真に年月を経て育った天然の「白珠」です。ただ、此方は貝に人工的に結晶の粒を入れ、養殖することが可能になり、只今、此方に()()()()()()()()国の繁栄の助けになれば? と開発途中で御座います」


 真珠養殖事業の中心者と支宣のことを、それとなく宣伝しておいた。

 当の本人は、頭を下げたまま少しばかり私を横目に見たような気がした。


「ほほう。其方がのう? 面をあげよ」


 うん。計画どおり! 第一関門突破である。支宣様の謁見の許可が下りた。


「本日は主の~~頂き誠に恐悦至極~~~太政大臣為時が次男、支宣と申します」

 支宣様が皇后陛下に挨拶を行う。


「ほう、()()の家の者か」


 ?


 口上の最初はにこやかだった皇后陛下の御顔が、支宣様のご実家の父様の名前、太政大臣家の次男であることを告げたら、顔色が変わった。


「わたくしは()()で御座います故、冷や飯の存在で御座います」


 え??


 支宣様って???

 養子だったの???


 いきなりの爆弾発言!! 


 私は声が出そうになったが、御前であるためなんとか、踏みとどまることが出来た。


 えええええええええええ?


 そんな爆弾発言、先に言っておいてよーー! と支宣を少し恨んだ。


「ほおう。では安岐のことも?」

 皇后陛下が支宣様にたずねる。


「はい。()()父上より」

「で、殿下の側に仕えたのか」

「はい」

「凛花は?」

「いえ」

「相分かった」


 何がわかったんだ!! 

 支宣様と、あんなに仲の良い惟光様が本当の兄弟でなかったことの驚きで、その後の二人の会話が全く頭に入ってなかったのだ。


「皇后陛下に、主である皇弟殿下より文を預かっております。宜しいでしょうか?」


 言った!


 流石は支宣様。冷静沈着で落ち着いている。本来の目的を忘れてない。

 支宣様は光君より下賜された、扇子を出し広げ文を載せる。

 やんごとなき御方からの手紙を臣下が直接手渡ししない為に扇子を使うことがある。


 女官殿が丁寧に受け取り、扇子ごと皇后陛下の御前に差し出す。


「……懐かしいのぅ」

 皇后陛下は文を一旦置き、扇子を目を細めて見つめた。

 光様が幼少期に描かれた、庭の風景と餌を啄む鶯と梅の木だった。


 一通目は光様が託した「桜」の紋章の話だ。それは、許可願いを出して意匠となる画を光様の御手自ら描かれた物だった。女官が漆器の盆をそっと差し出す。そこに広げたまま皇后陛下が置く。


「見事な桜よ。凛花、大切にせい。印を持て」

 そう言って皇后陛下は玉璽と同等の御印の印を押し、再び盆に戻した。


 二通目……


 先程までの穏やかな表情とは打って変わり、明らかに不快な顔に皇后陛下のご尊顔が変わった。


「相分かった」


 一言だけ短く皇后陛下が述べた。


 え? 了承したってこと?


 え?


 ええええええええええええ?


 まあ、それをお願いしには来たんだけど、一発オッケーってこと?




「全ては我の責であるな……明日にでも書を用意しよう」


 そう言って私達のお礼の言葉も聞かず、皇后陛下はすっくと立ち上がり、即座に背を向けさっさと奥に去って行ってしまったのである。


 自分の息子を事実上咎める行動になるのだから、思うところはあるのだろう……


 私達は女官殿に丁寧に挨拶し、女官殿達にも持って来た「プリン」や「ゼリー」などの菓子と、今度店で出すことになっている、「ダブルR」のロゴマークを刺繍した「ハンカチ」を数枚渡した。


「ハンカチ」を贈るのは「別れ」のイメージだが、まぁ考えないことにしよう。

 宣伝には女官様達はとても良い広告塔であるので。



 ちゃんと仕事をこなして帰る真面目な二人であった。













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