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6.宝珠屋

 ──手ぬぐい屋で買い物をした後、屋台の団子を三人で食べ、甘酒のような物も一緒に頂いた。うん。これはこれで不味くはないが、未成年で酒を飲んだことが無かった私には、味の善し悪しは何とも言えなかった。ただ、甘酒って酒類だったかしら? とちょっと? だったけれど、この手の話はあまり得意じゃないので、誰かに任せよう。


「昆布茶の方が良いんだけどなぁ」


「ん? 昆布茶?」


 私のひとり言のような呟きに一早く反応したのが、父様だった。


「先日作った「桜茶」に似た感じで、昆布を適当な大きさに切った物を塩付け乾燥して、それで飲むお茶ですね」


「おお! それは美味しそうだねぇ。昆布じたいが出汁にしても美味しいしねぇ。佃煮にしても、ふりかけにしても」


「ご飯にのせると最高よね!!」

 母様が声を弾ませて言った。


「本当に凛花のおかげだよ!!」


 以前の主食とされていた「粥」から「白飯」が主流が定着して来て、それに伴うように、「ご飯の友」が色々開発された。


 漬物は勿論だが、味噌を使用した「ものみ味噌」や、定番のふりかけ、わかめを乾燥したふりかけなど。今では「ご飯の友」だけを扱っている店まで出来た。


「粥」と違って「米飯」の利点は、持ち運びが出来ること、以外にもおかずが「ご飯の友」と汁だけでもなんとかなる。ことだった。粥だけだと、少し物足りなかった食事が「ご飯」だと、腹持ちも含め、満足感が大きいのだ。その代わり、「米」の消費量が著しく上がる為、現在、農地の開墾に中央は大忙しらしい。


 そのせいで? 最近光様と支宣様のお顔を見ないのかしら? ちょっと悪いことをしたような気も……

 農民だけでは人が足らず、武官達も開墾、農地作りに借り出されているそうだ。ちょっと気の毒なような……。

 太政大臣宰相様と、左膳様は、「良い鍛錬になる」と新人武官を進んで貸し出ししてくれるとは言っていたが。


 とは言え、今年の収穫にはまだ間に合わないだろう。米だけじゃなく、主食になる物をそろそろ用意しとかないとなぁ。と私は思った。


 パン? パスタ? 


 麦焼酎は今年は我慢してもらうかなぁ……


 麦の量産含め、農地の開墾は頑張って貰うしかないか。と、比較的作りやすい芋の量産よね。

 また「提案書」を書こうかしら? 今度こそ間違えないようにしないとね。でもこれって至急案件よねぇ? でも流石にいきなり光様にって訳にはいかないか……


 遠い存在──


 分かっている。あの御方は雲の上の方。


 それでも胸が痛くなり、呼吸がしにくくなるこの現象は……



 ──全く恋愛経験無し、勉強ばかりしていた堅物娘が、それが恋だと気づくまでは、まだ暫く咲く先のお話でした。




「母様、ちょっと此方の店に寄っても良いでしょうか?」


「あら? 宝珠? 石屋? かわいらしいわねぇ」


 母様も興味があるのか、ニコニコしながらついてきた。

 先ほど買った大量のハンカチの包み袋は、熊男、いや父様が両手に抱えていた。


 連れてきて正解だったわね。


「ん?」


 恐るべし熊男! やはり野生の勘の持ち主だ……


「何かようかい? 凛花?」

「え? 大丈夫です。それより父様、荷物を持って頂きすいません」

「何をこれしき。軽い軽い! ガハハハハッ」


 とりあえず誤魔化せた。



 私達が入った店はアクセサリー屋と言うか「宝珠」を多く扱っている店だった。


 水晶や、珊瑚、瑠璃や瑪瑙、翡翠など、色とりどりの「石」があり、研磨してない小さめの物は比較的安価だった。小さめのローズクォーツと、アメジスト、翡翠を中心に選び、銀粒も一緒に選ぶ。


 でもこれでは使えないのだ。私は店主に穴が最初から開いている物、出来れば研磨しており、丸い形の物が無いか? とたずねた。


 すると置くから店主が何やら高価なビロードを張られた箱を持って来た。


「これだ!」


 箱に入っていたのは正に私が望んでいたもの。簪や帯留めにも使用されている穴が開いていてる宝珠! あれだけの精巧な髪飾りや帯留めをつくる技術があるんだから、絶対にその元になる材料屋が存在していると思っていたからだ。



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