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はじまりの刻 ~Shall we sweet?~  作者: 蒼良美月
第一章 出会い編
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13.プリンアラモード

 ──とりあえず、皇子様に「菓子」を食べていただくタイミングは考えるとして、中将様のご実家の権威、皇后陛下になんとかお取次を頂き、皇子(みこ)へ献上品と言う形でお出ししてみることに決まった。


「なんとかなるよ」と笑顔で言われた、光様の意味が分かった気がした。

 ある意味「なんとでもなるよ」の方が正しいのかも……

 恐ろしい御方だ。


 皇子様と言えばまだ御歳3歳の親王であった。


 ならば、プリンが良いかしら? なめらかなトロトロプリンがきっと良いわ!



 それからの私の行動は早かった!


「中将様~湯呑茶碗を数種類集めて貰えないかしら?」

「この絵の感じが良いのか?」

「うーん。器にするわけだから、皇子殿下が食べやすい形が良いとは思うんだけど……」


 でもどうせなら果物やクリームを添えて……


 !


「プリンアラモードにするわ!」


「プリンあら?もど?」


「違う違う。アラーモードよ~~」


 ──トントントン


 ドアをノックする音が聞こえた。と同時に「シ」の音がした。


「失礼するよ。どうやら決まったようだね?」


「はい! 決まりました! プリンアラモード! にします!」


 私は雅に微笑む御仁に、どうだ! と言わんばかりの胸を張って背が大きく見えるように背筋をピンの仰け反るぐらい上を向いた。


 この世界の人は、顔立ちは日本人とあまり大差ないが、少し西洋より? 黄色人種とは異なり比較的色白で、黒髪や茶色、茶褐色な人が多い。中将様はその中でも明るめな茶色で巻き毛だった。

 光様は黒髪だが、漆黒と言うよりは紫かかった黒だ。


 一番気になるのは背の高さだ。私が平均的女性より低かったこともあるが、この世界の人は男女共に背が高い! 女性でも165~170ぐらいはあるのではないか? と思うぐらい皆さん高いのだ。


 以前に「女児」と言われたのはそれもあるかと……それとも何か? 大器晩成型の丘の方の話からか?


「凛花、そんなに背伸びしたら、こけるよ? あと、その靴と衣装だが……興に欠けるねぇ。────。」


 暫くの間があき、光様が続けた。


「あ、大事なことを伝えに来たんだった。盛り上がってるところ悪いが、()()()その「プリンアラモード」とやらを作ることは出来ないよ?」



「え?」


「あ!」


 私の驚いた顔とは対照的に、中将様は、何処か納得な顔、しまった! と言う顔をした。


「理由は惟光、話ておやり」



 そう言って、光様は珍しくドサッと大きな音を立ててソファに座った。

 と、思えば目をつぶっておられる。

 かなりお疲れ気味の様子だ。


 中将様より()()で調理が出来ない理由を教わった。調理器具が無いとかの物理的問題なら持って来ればできるが、そもそもの大きな問題点があったのだ。


 此処、私が配属された「政務秘書官室」は「内宮」と「外宮」の丁度中間点にあった。皇族である光様と、武官である中将様のどちらもが行き来しやすいように考えてのことだろう。武官の修練場と同じで、両方行き来できる場所にあるが、「内宮」前に門があり、24時間交代で門番がいる。「内宮」内には限られた者しか入れない仕組みとなっている。


 宮廷で使用される食料も全てこの「()()」内にある、しかも、かなり奥地「料理番所(皇族専用)」で一旦は一括管理されていた。


 外部からの持ち込みなど厳しい検閲で到底出来ない。もし無許可で持ち込んだ者は死罪と決められていた。暗殺や病気の感染含めの処置だろう。


 当然、食料庫の在庫も厳しく記帳されている。卵一個勝手に持ち出すと死罪であった。

「料理番所」と此方は残念ながら遠く離れて居て「料理番所」勤めの者以外が、材料の入手など到底あり得なかった。


 この状態でどうやって皇子様に「プリン」を食べて貰う?

 そもそもが、その材料を何処で調達し、何処で調理する? 外部購入持ち込み完全禁止の箱の中で?



 と、説明された。



 ──振り出しに戻った。








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