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はじまりの刻 ~堅物姫と麗し皇子の秘め事の始まり〜甘美な世界でイケメン皇子に溺愛される〜美しの君は実はドS皇子でした〜  作者: 蒼良美月
第八章 践祚編

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6.はじめての旅行(2)(幕間)

「おはよう御座います」

「凛花、ありがとな」

 そう言って殿下が優しく口づけをした。

 結局あの後、私達は二階で寝ることにしたのだ。


「あーー結局抜け掛けしてるー!」


 抜け掛けって……夫婦ですし……

「なあ? 側近変えるか?」

「いや、……仕事の時はちゃんとしておりますから」


「御方様、朝餉のご用意が出来ておりますので」

 惟光様が、廊下にいた方々より受け取って来てくれた。


「早く食べて行きますよーー」

 結が張りきっていた。



 全員で、近くにある池に釣りに行くことになっていた。


 私と、母様と結は、バーベキューの

 用意をはじめる。


 領主様より、野菜や肉や酒等の差し入れは頂いていた。


 あとは殿方の、結果待なのですが……


 ウズウズしている結を母様と二人で見た私は結に声を掛けた。


「結、行って良いわよ? こっちは大丈夫だから」


 一瞬、結の目が輝いたが、以前のこともあり、基本結が私から離れることはない。


 母様が結に無言で頷く。


「今日は無礼講だから」

 母様が微笑む。


「凛花も行って来たら? 折角ですからね?」

「そうですねぇ。ではお言葉に甘えて行きます!」


 私は急いで、結の後を追う。


「でんかーー」

「は? お前何しに来たんだ?」


『御方様!』

『て、結! お前!』


「やっぱりじゃじゃ馬……」 


「何か言ったか?」

「宣? それは小さい方のことだよなあ?」


「小さいとは? 殿下? まさかとは思いますが? 御方様では御座いませんよね?」


 結が殿下の顔を見た。


『結!』

 兄弟が咄嗟に殿下の前に立つ。


「よせ。今日は無礼講じゃ。にしても主に似てくるのかのう?」

 そう言って殿下が私を少し見ながら笑う。

「ご無礼を致しました」

 結が殿下に臣下の礼を取ろうとしたのを殿下が制した。

「侍女は余の臣下ではない。が、お前の行動の全ては皇后の評判に関わる。よく覚えとくがよい」


 殿下が諭すように結に言った。


「申し訳御座いませんでした」

 私は殿下に謝る。


「まあ、こいつらも大概だけどなあ」

 そう言って、犬兄弟を殿下が見ながら笑った。


「で? 何しに来た?」


「あ! 忘れてた! 私達も仲間に入れてくださいな?」


「はあ?」

『え?』

「やっぱりじゃじゃ馬……」


「誰がじゃじゃ馬ですか? へなちょこ!」


「はあ?」


「こらこら! やめなさい!」

 私は二人の間に割って入る。


「なあ? お前の趣味どうなんだ?」

「……殿下」

「御方様も、まぁまぁ……だとは」

「互いに苦労が絶えんな……」

「いえ、私はまだ……」

 若い二人の戯れ合いを、年長者二人は遠い目で見ていた。


「でんかーー来て来てーーかかった!! 早くー!」


『!』


 ──池の畔で手を大きく振る愛妻を見ながら、自然と顔が緩んでいたことに自分でも気づいていなかった。


「あ、結も急いで! 早く、早く!」


「はい! 御方様! 行くわよ! 支宣君!」


「支宣君って……お前……歳上! しかも太政大臣……」

「早く!」


 支宣は、この無礼で騒がしい女に面倒だなと思いつつ、ちょっと妹のような感覚を感じていた。


 末子として育ち、兄や偉大な皇弟君、姉達は常に憧れであり目標であった。

 ただ、友と呼べる者は自分には居なく、常に兄に追いつくことが目標だった。


 あの日までは……

 姉が皇弟君との婚約を皇弟君の母様、皇后が執拗に反対していると聞いた時。


 太政大臣宰相、藤の家の惣領娘、家柄的に何ら問題ないと思われたのに、否が突きつけられた。

 私は納得出来ず父上に初めて抗議した。

 その時だった。何故皇后陛下が二人の結婚を執拗に反対したか? を。


 そしてその原因が、自分の出自にも関係あることを。


 その後だった……

 あの、事件が起きた。



 ──そして自分が養子であることを知った。


 全てを知った上で、殿下は私を受け入れてくれた。

 一番辛いのは殿下だと言うのに。


 それ以来、あの御方は私の憧れから、鬼神となった。

 誰にも心を開かず、氷のような顔で笑う。いや笑っているように仮面を付けただけだ。


 それが、あの御方に出会って……


 彼は変わった。心から楽しそうに、あの美しい顔を破顔して笑っている。



「宣何してるんだ! 早く手伝わんか、跳ねっ返りとじゃじゃ馬が、どんどん釣って大変じゃ! 早うこい!」


「はい! ただいま!」


 私は彼らを一生護ると決めたのだ。



「殿下! 早く早く! また! きたー」

「こっちも! 惟光様、手をお貸しください!」


「宣! 網を早う!」

「宣! こっちも早く網だ網!」


「は、はい!」


「宣君、桶急いで!!」


「はい!」





 ◇



「大漁ですね……」

「こんなに食べれません……」


「あ、俺、魚あんまり。一匹で良いわ」

「駄目です! 殿下は肉ばかりじゃないですか!」


「あ、俺、魚派なんで」

「貴方一匹も釣ってないじゃない!」

 結が支宣を睨む。


「支宣様が居たから大漁になったんですよ? 結」

「まあ、意外と役に立ちましたしね」


「殿下、早急に新しい侍女募集しますね」

 結を無視し、主に彼が淡々と言う。


「ハハハッ結、宮内の従者全ての雇用を最終的に決めるのは、この男の仕事だぞ?」


「支宣太政大臣様、御肩を御揉みしましょうか?」


「いえ遠慮します」

 敢えて、彼は結の顔は見ずにぶっきらぼうに答えた。


「まあまあ、今日は無礼講と言うことで? ね? 支宣様?」


 私、支宣様に苦笑いしながら言う。


「さあ、さ、お昼ご飯にしますよ?」


「は~い」

「ありがとうございます」

 両親の声に皆が集まる。



 また、皆と来れたら良いですね?

 貴方。



「宣、食いすぎるなよ? この後、帰りまた馬だぞ?」

「為時と替われって」

「二人乗りで行きます? 支宣さん? 」

「いえ、まだ死にたくたいので……」


「結の体重なら支宣様と二人乗りでも大丈夫かもですわねぇ?」


「頑張ります!!」









「ゲホッ、ゴホッ…ゴホッ」

「だから言ったじゃないですか!」


「ゲホッ、ゲホッ」

「ほら、水」



「なあ? アレは良いのか?」

「まあ、それはそれで……宣には幸せになって欲しいですからねぇ」

「まあ、また探そう! なあ? 女は他にも沢山な?」

「殿下、それ慰めになっておりませんし……」





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