1.プロローグ
※久しぶりの新作です。
思いのまま書いたご都合主義なところや、矛盾点が多くありますが、あまり気にせず軽い読み物として読んでください。
※最初は人物紹介が主になります。二人の恋愛話は21話「薄紅色の君」辺りから展開します。前置きが長く不要な方は、飛ばしてその辺りからお読みすることをお勧めします。
いつもと同じ朝。
いつもと同じ天井。
いつもと同じ窓から見える風景。
ゆっくりとベッドから起き上がり制服に着替え、一階のダイニングへと向かう。両親が、いつもと同じように「おはよう」と言う。
が、その声のトーンは少し高くうわずっているように感じる。「シ」の音だ。
普段ならせいぜい「ソ」か「ラ」である。
─「あ、おはよう!」
いつもと同じ光景。いつもと同じ時間。いつもと同じ教室。
いつもと同じメンバーが、いつもと同じタイミングで朝の挨拶をしてくる。
ただ、やはり「シ」の音だった。
イタッ! ピンと張り詰めた空気の中、ほんの少し動くだけで頬にスゥーと切り傷が入るような感覚。手足が硬直し、ひんやりした汗がしたたり落ちたような錯覚に陥る。
指先の感覚が徐々に薄れていくのが自分でもわかった。
──ハァ、ハァ、ハァ……
呼吸がうまくできない。あれ? 呼吸って?
どうやって息を吸うんだっけ?
「キャァ!!」
「大丈夫?」「誰か! 誰か来てーーー!!」
──いつもと同じ朝。
いつもと同じ天井。
いつもと同じ? 天井?
天井………
いつもと同じじゃない!!
同じじゃなーーーーーいい!!
いつもと同じ窓から見える? 風景。
無い!
え?
なーーーーーーーい!
窓の外にいつも見えていた高層の建造物群や、無数に広がる道路や車。
え?
何処ここ?
イタッ! 驚いて立ち上がると低い天井にドンッと頭をぶつけてしまった。
痛ったぁ……
あまりの痛さに先程までのモヤっとしていた躰の怠さと眠気が一気に吹っ飛んだ。
ベッドが違う───。
長年私が愛してやまない我が寝床は、無垢材で出来たきれいな木目の寝台だった。
ふわふわの敷き布団に、柔らかで軽く、それでいて暖かい羽毛布団に包まれてベッドの上でゴロゴロ回るのが大好きだった。至上の幸福な時間だった。
何これ?
硬い古ぼけた木だけが、大きな石の上に乗っていて、薄い布きれが敷かれてあるだけの寝台のような物。
でも驚いたのは、そこではない。
眠気が覚めた目を見開いて、窓の外を再度凝視してみる。
───平安絵巻? 源氏物語?
仮装行列? にしては町の風景や建物に至るまで、あまりに精巧すぎる。
それに今は3月である。ハロウィーンにしては滑稽だし、新入生歓迎会の花見にはまだ早すぎる……
お忙しい中、最後までお読み頂き大変ありがとう御座います。真面目で聡明だけど、ちょっと鈍臭い主人公「凛花」と古絵巻の甘い世界を共に歩んで行こうと思います。宜しくお願いします。
活動報告に、簡単な人物紹介を順次載せて行こうと思っています。
良ければ覗いてみて下さい。




