改善版『雨宿り』
掲載日:2025/12/17
土砂降りの夕暮れ、僕たちは駅前の古いバス停に駆け込んだ。
屋根の下に並んで肩を濡らしながら、ただ雨の音を聞いていた。
灰色の空を見上げると、雲が重く垂れ込めている。
そのとき、誰かがぽつりと呟いた――
「レイ・チャールズに空の色を教える?
悪いけど、あいつの目は最初から曇っている。
だから僕たちは、目の前に真っ白な雲を突きつけてやる。
『ほら、お前の目とお揃いだぞ』ってね。」
「けれど、本当に伝えたいのは雲じゃない。
雲が集まれば、やがて雨が降る。
その雨は、僕たちがずっとこらえてきた涙を、
空が代わりに流してくれるものなんだ。」
「だから、諦めずに空を指差し続ける。
彼が光を“見る”必要はない。
魂で感じ取ってくれれば、それでいい。
音楽はきっと、その雨のように降り注ぐから。」
「一緒に濡れよう。
涙も雨も、音楽も同じだ。
それが僕たちの約束だ。」
「――レイン・チャールズ、なんてな。」




