表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【R15】婚約破棄されたけど、気にせずエルフの後輩と魔法特訓してたら、いつの間にか彼の最愛になっていました〜キスから始まる甘い魔法〜  作者:
extra story

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/21

【番外編】愛され過ぎて魔力が暴走!?甘い香りでお城がパニック!

番外編です。

相変わらず、リアムはアリシアが好き過ぎて暴走しがちです。

 朝、執務室の窓を開けると、ふわりと甘い香りが流れ込んできた。バラと蜂蜜が溶け合ったような、思わず思考が蕩けそうになる芳香。


「……あれ?この香りは……」


 リアムは室内を振り返った。そこでは彼の側近たちがいつも通り仕事をしていた。

 いや、よく見ると様子がおかしい。皆、ぼんやりと恍惚とした表情で、どこか夢見心地な顔をしている。


「まさか……」


 彼の脳裏に、昨夜のことが蘇る。

 愛しい妻、アリシアとの甘い時間。


 リアムは毎晩彼女を甘やかしている。というより、愛する妻を溺愛しすぎていると言ってもいい。腕の中で恥じらう彼女の頬を撫で、額にキスを落とし、たっぷりと愛を囁く時間は至福のひとときだ。


 だが、どうやらその影響が出始めているらしい。


「……アリシアの魔力が、また溢れたのか」


 フィルヴェルデに来てからというもの、エルフの土地の影響か、リアムの魔力との交わりの影響か、アリシアの魔力はどんどん強くなっている。

 そして、魔力は感情と強く結びついている。リアムに甘やかされて幸福感が増した彼女の魔力は、時としてその強さから甘い香りとして顕現し、無意識のうちに周囲に幸福感が伝播するようになった。


 とはいえ、普段はほんのり『なんだか今日は気分がいい』と感じる程度で、ここまで顕著に影響が出るのは初めてだ。


(昨夜、ちょっと可愛がりすぎたかな……?)


 リアムは口元に手を当て、考え込んだ。

 アリシアが自分の影響で薫るほど魔力が高まるのは嬉しい。しかしその影響で周囲がこんな状況になるのは困る。何より、アリシアの香りは自分だけが堪能したい。


「よし、対策を打とう」


 妻の魔力暴走を止めるために、彼が考えた方法――それはアリシアの服に自分の魔力を込めることだった。リアムの魔力で彼女の魔力を包み込むことで、外へ溢れるのを抑えるのだ。


 『アリシアの魔力暴走を止めるため』と言えば聞こえはいいが、本音を言えば、これは彼女が常に自分を思い出すようにする作戦でもあった。

 リアムの魔力に包まれているということは、すなわち、リアムの気配を常に感じ続けるということ。彼女は無意識にリアムのことを考え、思い出し、気づけば彼を求めるようになる――。


(うん、完璧だ)


 ーーそしてその思惑は、予想以上に当たることになる。



   ◆



「……なんだか、おかしい……」


 アリシアは困惑していた。朝、リアムの魔力を纏ったドレスを身に着けた瞬間から、妙に落ち着かない。

 ふとした瞬間に、リアムの温もりを思い出す。昨夜の甘い記憶が蘇るたびに、頬が熱くなってしまう。仕事中に会話の中でリアムの話題が出ると、心臓が跳ねる。書類に目を落としても、視線の端にリアムの筆跡を捉えた瞬間、胸が苦しくなる。

 一日中、リアムのことを考えてしまうのだ。


「……こんなの、変よ……」


 ――リアムに会いたい。彼の温もりを直接感じたい。


 彼の魔力に包まれているだけで、こんなにも意識してしまうなんて。

 アリシアの心の中は、リアムの狙い通りに彼でいっぱいになっていた。



   ◆



 その夜。執務を終えたリアムは、静かに二人の私室の扉を開いた。


「アリシア、ただいま――」


 言い終わるよりも早く。


 ーードンッ!


 柔らかな衝撃がリアムの胸にぶつかる。すがりついてきたのは、もちろんアリシアだった。


「……アリシア?」


 驚くリアムの首元に、熱を帯びたアリシアの顔が埋まる。

 彼女の細い指が彼の服をぎゅっと掴み、まるで離れたくないと訴えるように震えていた。


「……っ、リアム……」


 潤んだ蒼い瞳が、彼を見上げる。その表情は、羞恥と焦燥がないまぜになりながらも、彼だけを求める強い欲求に染まっていた。


(……ああ、これは)


 リアムは確信する。ドレスに自分の魔力を纏わせたのは、大成功だ。愛しい妻が、自分を求めてくれる。それも、こんなにも焦がれるように。


 堪らなくなったリアムは、くすりと笑い、アリシアの腰を引き寄せた。


「どうしたの、そんなに甘えて?」

「ち、違う……わたし、こんなつもりじゃ……」

「ふぅん?」


 リアムはわざと意地悪く首を傾げ、アリシアの頬にそっと指を這わせる。その指先が耳の後ろを撫でると、アリシアの肩がピクリと震えた。

 可愛すぎる。


「僕の魔力を纏っただけで、そんなに我慢できなくなっちゃったんだ?」

「ち、違……っ」

「ーーほんと?」


 囁くように言いながら、リアムはゆっくりとアリシアの顎を持ち上げた。

 いつもなら恥ずかしがって逃げるはずのアリシアが、今夜は逃げなかった。むしろ、リアムの手を掴むようにして、顔を近づける。

 その姿が、堪らなく愛しい。


「……リアンディール、触れて……」


 掠れるような声が、リアムの理性を溶かす。


「もちろん」


 リアムは満足そうに微笑み、アリシアを甘やかすべく、静かに夜を迎え入れた。



   ◆



 だが――その結果、翌日。

 アリシアの魔力は、さらに暴走していた。

 甘い香りが増し、城の男性陣がことごとくアリシアに惹かれるという異常事態に発展してしまった。

 側近たちはうっとりとした顔で「王太子妃様、なんて素敵な……」と呟き、庭師は仕事の手を止めて見惚れ、果ては警備のために放している犬までアリシアにまとわりつく始末。


 リアムの理性が吹き飛びかけた。


「……これは、許せない」


 やりすぎた。完全にやりすぎた。


 こうして、アリシアは魔力を鎮めるために、一時的に郊外の聖域へ避難することになった。



  ◆



 数日かけて魔力が落ち着いたアリシアは、魔力抑制のネックレスやブレスレットやピアスや……多くの重そうなアクセサリーを身につけて、なんとか城に戻ってきた。

 道具で魔力を抑えながら、強くなりすぎてしまった魔力制御のトレーニングをすることになったらしい。


「魔力制御を一からやり直しなんて……こんなの子どもの頃以来よ……」


 その悔しさから、彼女は 『魔力コントロールが身につくまでリアムとのイチャイチャ禁止』を言い渡した。


 ――それは、リアムにとって最も過酷な罰だった。

 結局、リアムは一ヶ月以上お預けを食らうことになる。

 そして、彼は深く反省した。


「もう二度と、無謀な悪戯はしない……!」


 リアムは、心に固く誓った。

 ……が、その誓いが守られるかどうかは、また別の話である。

番外編は一旦ここまでです。

また二人のイチャイチャが書きたくなったら追加します。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

よろしければ、評価、リアクション、ブクマいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ