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【R15】婚約破棄されたけど、気にせずエルフの後輩と魔法特訓してたら、いつの間にか彼の最愛になっていました〜キスから始まる甘い魔法〜  作者:
extra story

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17/21

【こぼれ話】キスの続きを、夜が知る

本編からはみ出たこぼれ話です。

「揺れる想いと、甘く蕩ける魔力 〜僕、頑張ったんですよ?だから、ご褒美ください〜(side.Alicia)」「天使で悪魔 〜運命の罠に堕ちて〜(side.Liam)」の後、それぞれの部屋で悶々とする二人です。

似たもの同士です。

《部屋に取り残されたアリシア》


「……っ、ばか」


 リアムが部屋を出て行った後、アリシアは崩れるようにベッドに倒れ込んだ。

 頬に残る熱が、まだ引かない。唇に残る感触も、肌に残る彼の温もりも、まるで焼き付いてしまったかのように離れない。

 彼の腕の中にいた時間――ただ温かくて、心地よくて、でも、心臓が壊れそうなくらいに激しく鳴っていた。


「……もっと、一緒にいたかった……」


 ぽつりと呟いて、アリシアは自分の言葉に驚く。

 まるで彼に依存するようなその響きに、耳まで熱くなった。


(だって、あんなふうに抱きしめられて、あんなふうに囁かれて……拒めるわけがないじゃない)


 もっとキスしたかった。もっと触れていたかった。

 だけど、これ以上一緒にいたら、もう止まれなくなってしまいそうで。

 リアムの目が、危うく揺らいでいたのを思い出す。自分だって、彼に溶かされてしまいそうだった。


「……っ、だめ、考えない!」


 枕に顔を埋めて、足をばたつかせる。

 彼の囁く声、優しく絡められた指先、唇が重なる瞬間……どれを思い出しても、頭が沸騰しそうだった。


「ばか、リアムのばか……!」


 こんなにも、彼のことで頭がいっぱいになってしまうなんて。

 今すぐもう一度会いに行って、抱きしめてもらいたい。

 けれど、それが叶わないからこそ、どうしようもなく切なくなる。


 ――離れたことに、ほっとしている自分もいるくせに。

 もっと一緒にいたかったのに、でも、一緒にいなくてよかった。

 彼の腕の中で、あのまま流されていたら、本当に戻れなくなっていたかもしれない。


「……でも、やっぱり足りない」


 指先でそっと、自分の唇をなぞる。ほんの少しだけ、名残惜しくて。

 また、リアムに触れたい。彼に触れられたい。

 それが、今はどうしようもなく、苦しかった。



   ◆



《自室に戻ったリアム》


「……はぁ」


 リアムは自室の扉を閉めるなり、壁に背を預けた。

 心臓がまだ、異常なほどに高鳴っている。


「やばい……やばいな、これ……」


 両手で顔を覆い、ゆっくりと息を吐く。

 アリシアの温もりが、まだ腕の中に残っている気がした。


 もっと抱きしめたかった。もっとキスしたかった。

 いや、それ以上に、あのままじゃ絶対に止まれなかった。

 彼女の震える肩、掠れた声、抗いながらも縋るように指を絡めてきた手。その一つ一つが、たまらなく愛おしくて、そして、危険だった。


「……っ、もう少しで、本当に……」


 思い出しただけで、喉が渇く。

 アリシアが唇をそっと差し出した瞬間、自分の中の何かが決壊しそうになったのを、今でもはっきりと覚えている。


 あれ以上いたら、絶対に引き返せなくなっていた。

 だから、途中で止めて正解だった。

 でも、それが今になって、どうしようもなく悔しくなる。


「もっと触れたかった……」


 ベッドに倒れ込み、無造作に髪をかき乱す。

 彼女の頬を撫でた感触、細い指の震え、そっと求めるように開かれた唇。全部、全部、たまらなくて――


「……くそっ」


 こんなにも彼女を求めてしまう自分が、怖い。

 愛おしさが募りすぎて、もうどうしたらいいのかわからない。

 今すぐ彼女の部屋に戻って、もう一度抱きしめて、甘い声を聞きたくなる。


 でも、それをしてしまったら――きっともう、戻れなくなる。

 自分のこの激情は、彼女を雁字搦めにして、逃げられないように閉じ込めて、愛し尽くしてしまうだろう。

 たとえ彼女の意思を無視してでもーーそれが怖い。


「……これでよかったんだ」


 言い聞かせるように呟く。でも、納得なんてできるはずもない。

 彼女を離したことに、ほっとしているくせに。

 けれど、彼女の熱が離れていくほどに、ますます欲しくなる。


(次は、どうやってアリシアに触れようか……)


 次に触れたら、今度こそ、止まれないかもしれない。でも、アリシアに近づくことは、やめられない。

 そんな危うい予感を抱えながら、リアムはゆっくりと目を閉じた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


あと一話こぼれ話を投稿し、その後、番外編を三話予定しています。

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