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【R15】婚約破棄されたけど、気にせずエルフの後輩と魔法特訓してたら、いつの間にか彼の最愛になっていました〜キスから始まる甘い魔法〜  作者:
after story

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14/21

エルフの国・フィルヴェルデ

アフターストーリーです。

リアムが卒業して、二人でエルフの国に帰郷します。


 リアムの故郷、エルフの国へ向かう馬車の中、アリシアは緊張で膝の上に置いた手をぎゅっと握りしめていた。

 窓の外には、次第に人間の国では見られない深い森が広がるようになり、空気すら神秘的な気配をまとっているように感じる。

 隣に座るリアムは、いつもと変わらず優雅な微笑みを浮かべ、アリシアの手をそっと包み込んだ。


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。お父様もお母様たちも、きっとアリシアのことを気に入ってくれるから」


 そう言われても、緊張しないほうが無理というものだ。

 アリシアは深く息を吸い、ふと気になっていたことを口にした。


「リアムのお父様って、エルフの国、フィルヴェルデの王様なのよね……?」

「うん、そうだよ?」


 さらりと肯定され、アリシアは思わず固まった。

 リアムがエルフの王子であることは知っていたが、王族とはいえ学園ではあまり意識することはなかったから、そこまで深く考えたことはなかった。


「そういえば、リアムは兄弟がたくさんいるって言っていたけど……ひょっとして末っ子?」


 リアムは甘えん坊なところがあるし、末っ子ならば納得がいく気がする。上に王位継承者がたくさんいるなら、そこまで重い立場ではないのかもしれない。

 だが、返ってきた答えは予想を覆すものだった。


「ううん、僕が一番上だよ」

「……っ!」


 一瞬、思考が停止する。

 つまり――


「ってことは、リアムってひょっとしなくても……第一、王子……?」


 アリシアの震える声に、リアムはきょとんとした顔をしたあと、思い出したように頷いた。


「うん、そうだよ? 言ってなかったっけ?」

「言ってないわよ!」


 アリシアは思わずリアムの肩を掴んだ。

 リアムが王子だと言うだけでもプレッシャーなのに、まさか第一王子ーーつまり、次期国王になり得る立場だとは……!


「兄弟が多いって……王位継承者がたくさんいるって言ってたのは……?」

「うん、弟が四人、妹が七人いるよ。フィルヴェルデは女性も王位を継げるし、正直、王太子の座なんて面倒だから誰かに譲りたいんだけどね」

「王、太子……」


 もはや衝撃の連続で、アリシアは言葉を失った。

 その様子を楽しむかのように、リアムはくすくすと笑い、さらに追い打ちをかけるようにさらりと続ける。


「あっ、お父様は僕のお母様も含めて六人の妻がいるんだけど――」

「えっ!? 六人!?」


 アリシアは思わず馬車の座席からずり落ちそうになった。

 エルフの王族は一夫多妻制なのだろうか?それともエルフでは珍しくないのか?いずれにせよ、自分の価値観では驚きを隠せない。

 アリシアが混乱している隙に、リアムはさらなる爆弾を落とす。


「でも、僕はアリシアだけだからね。国に帰る前に側室の権利はとっくに放棄してるし。正妻(アリシア)さえ居てくれたら、むしろ他は邪魔なだけだし」


 その言葉に、アリシアの心臓が跳ねた。


「子どもはたくさんできたら嬉しいけど、アリシアの身体が一番大事だから。無茶は絶対にさせないから安心してね」


「……っ!」


 顔が一気に熱くなる。どうしてこんなにさらりと恥ずかしいことを言えるのか。

 いや、それよりも――


「ちょ、ちょっと待って! 誰が子どもを産む前提で話してるのよ!」

「アリシアは、僕との赤ちゃん欲しくないの?アリシアは僕の運命の人だから。ずっと一緒にいるんだから、僕はアリシアと、アリシアによく似た子どもたちと、賑やかな家族が作れたら嬉しいんだけどなぁ」


 リアムは悪びれることなく、優しくアリシアの髪を撫でる。その手つきがあまりに優しく、愛に満ちていて、アリシアは何も言えなくなってしまった。


 ――確信犯だ。絶対にわざとだ。


 それでも、こんなにもまっすぐに愛を囁かれて、心が揺れないわけがない。

 アリシアは顔を伏せ、何とか冷静になろうとするが、リアムの温もりがすぐ隣にあるせいでうまくいかない。


 そんなやりとりをしているうちに、馬車はエルフの国・フィルヴェルデの城門へと辿り着いた。



   ◆



 城門をくぐると、そこには想像を絶する美しい宮殿が広がっていた。

 樹々と一体化したかのような荘厳な建築に、アリシアは思わず息をのむ。


「……すごい」

「気に入った?」

「う、うん……でも、やっぱり緊張するわ……」


 リアムが第一王子で、国王の息子で、王太子で――ただの子爵令嬢である自分が、そんな相手にふさわしい振る舞いができるのか、正直不安しかない。

 そんなアリシアの手を、リアムはそっと握りしめた。


「大丈夫。アリシアはそのままでいてくれればいい」


 その言葉に、アリシアは少しだけ肩の力を抜く。

 そして――王宮の大広間へと足を踏み入れた瞬間。


「おかえりなさいませ、王太子殿下!」


 一斉にひざまずく貴族たち。その圧倒的な光景に、アリシアはますます緊張を覚えた。

 さらに、奥の玉座に座る長身の男性――リアムの父であり、エルフの国王が、ゆっくりと立ち上がる。

 リアムの父は、まさに威厳そのものだった。


「リアム、よく戻った。そして……」


 鋭い金色の瞳が、アリシアを見据える。


「其方が……リアムが選んだ伴侶か」


 その一言に、アリシアの心臓が止まりそうになる。


(まって、伴侶って……まだちゃんと、具体的な結婚の話もしていないのに……!)


 アリシアが焦る一方で、リアムはまるで当然のことのように微笑み、王に向かって堂々と告げた。


「はい、私の愛する生涯唯一の伴侶、アリシア・ウィステリアです」


 リアムの手が、アリシアの腰をしっかりと引き寄せる。

 王の厳しい視線が、ふと緩んだ。


「歓迎しよう。これから、リアムを頼む。其方とリアムの結びつきが、フィルヴェルデに永遠(とわ)の繁栄をもたらさんことを」


 ――確信犯だ!


 王宮の大広間中に広がる寿ぎの言葉の裏で、アリシアの声にならない悲鳴が静かに消えていった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本日もう一話投稿します。


次話『夜の花、甘い誓い』

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― 新着の感想 ―
リアム確信犯…第一王子だってあえて言ってないでしょ(笑) いつも読ませていただいています!イチャイチャ成分補充できるお気に入りの作品です!
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