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【R15】婚約破棄されたけど、気にせずエルフの後輩と魔法特訓してたら、いつの間にか彼の最愛になっていました〜キスから始まる甘い魔法〜  作者:
side.Liam

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12/21

交わされる約束〜運命は僕らの手に〜

アリシア編の最終話『未来の約束〜ずっと、傍にいてほしいんです〜』のリアム編です。

アリシア編はここまでですが、リアム編はあと一話あります。

 アリシアとの特訓は、更に甘い時間になっていた。

 気づけば一日に何度もキスをするのが当たり前になっていた。彼女は僕のキスを、もう嫌がっていない。むしろ、求めているようにも見える。


「え、もしかして、先輩……僕とのキス、嫌じゃなくなりました?」

「ち、ちがっ――」

「それとも、好きになっちゃいました?」


 僕がからかうように顔を近づけると、アリシアは耳まで真っ赤に染めた。


 ――可愛い。


 堪らなく愛おしくなり、もう一度唇を重ねる。


「……んっ……」


 アリシアの唇が触れるたびに、僕の胸の奥が甘く痺れる。それは、魔力のせいだけじゃない。

 彼女を抱き寄せ、こうして何度も触れるたびに、僕の中の何かが確実に変わっていく。


 最初は、ただアリシアを僕に夢中にさせるつもりだった。

 特訓という名目でキスをねだり、彼女の心と体に僕の存在を刻み込む。

 そうやって、少しずつ、僕なしではいられないようにすればいい。


 ――そう思っていたはずなのに。


 今、僕の心を支配しているのは、そんな計算なんかじゃない。

 キスをするたびに、もっと触れたくなる。

 彼女の名前を呼ぶたびに、もっと強く抱きしめたくなる。

 離れたくない。ずっと、ずっと、彼女の隣にいたい。

 そう願ってしまう自分に気づいたとき、僕はもう後戻りできなくなっていた。

 アリシアのいない未来なんて、想像もできなくなってしまった。


「……ねぇ、リアム」


 ふいに、アリシアが僕の名前を呼んだ。

 僕の魔力に蕩けていたはずの瞳が、どこか真剣な色を帯びている。


「あなたは、卒業後はどうするの?」


 心臓が、強く跳ねた。

 この話題は、できれば避けたかった。


「どう、って?」

「学園を卒業したら、エルフの国に帰るんでしょう?」


 彼女の言葉に、僕は言葉を失う。

 アリシアは今年、卒業する。僕は来年。

 卒業後、僕はアリシアのそばに残る理由を持てるだろうか。


 いや、待てない。

 僕はエルフの王族。いずれ祖国へ帰らなければならない。


「……はい」


 絞り出すように答えた瞬間、胸が痛む。

 僕が答えたことで、アリシアも何かを感じ取ったのだろう。


「そうよね」


 小さく呟いたその声が、どこか寂しげだった。

 その表情を見た瞬間、僕はどうしようもなく衝動に駆られた。


 ――言ってしまえ。

 彼女を離すな。


「先輩」


 声が震えそうになるのを、必死で抑える。


「……なに?」


 アリシアがこちらを向く。

 迷いが生まれる。

 僕がこの言葉を口にすれば、彼女はきっと戸惑うだろう。

 もしかしたら、悩ませてしまうかもしれない。

 でも、それでも、伝えずにはいられなかった。


 彼女の手を取りーー告げる。


「僕の国に、一緒に来ませんか?」


 ーー言ってしまった。

 アリシアの瞳が、驚きに揺れる。


「え?」


 僕はもう、引き返せなかった。


「ずっと、傍にいてほしいんです」


 掴んだ手に、力がこもる。


「僕はずっと先輩が好きでした。だから、一緒に来てほしい」


 これは本音だった。僕は、アリシアがどうしようもなく欲しい。

 でも同時に、無理に選択を迫るようなことはしたくなかった。僕の言葉が、アリシアの自由を奪うものになってはいけない。

 彼女が何かを諦めて僕の国に来るのではなく、自ら望んで来てくれることを、僕は願っていた。

 だから、この告白に迷いがないわけじゃなかった。

 もし、彼女が「行けない」と言ったら――僕は、彼女の答えを受け入れなければならない。

 それがどんなに辛くても。


 けれど――


「……ずるいわよ、こんなの」


 アリシアが、僕の手をぎゅっと握り返した。


「ずるくても、いいです」


 次の瞬間、僕はもう彼女を抱きしめていた。

 震える唇を重ね、想いを伝えるように優しく触れる。

 魔力が溶け合い、心まで蕩けるようだった。


「……いいわ、リアム。私、あなたと一緒に行く」


 その言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた何かがほどけた。


「本当ですか?」

「ええ。でも、一つだけ条件があるわ」


 僕は真剣に頷く。


「何でも言ってください」

「あなたの国で、ご褒美をねだるのは禁止」

「えー!? それは無理です!」

「無理じゃないわ!」


 彼女の表情が柔らかく緩む。

 僕も、堪えきれず笑ってしまった。

 僕がアリシアを愛しているように、彼女も僕を想ってくれている。

 お互いが望んで、手を取ることができた。

 その事実が、何よりも嬉しかった。


「ふふ、冗談よ。……まあ、半分はね」

「ええっ、半分は本気なんですか!?」

「当然でしょ。あなた、甘えすぎなんだから」


 アリシアがふっと微笑む。

 僕はその笑顔を、一生守りたいと思った。


「でも……本当に、ずっと一緒にいてくれる?」


 アリシアの瞳には、不安の色が浮かんでいる。

 そんなの、当然だ。


「もちろんです」


 僕は、彼女の手を強く握った。


「先輩が嫌だって言っても、ずっと隣にいますから」


 アリシアは、少しの間じっと僕を見つめ――そして、ふっと微笑んだ。


「……ふふっ、それなら安心ね」


 繋いだ手の温もりが、心の奥までじんわりと染み込んでいく。

 彼女が、僕を選んでくれた。

 それだけで、どんなものにも代えがたい幸福感が胸を満たしていく。


「……ありがとう……絶対に、幸せにします!」


 ただその一言に、僕のすべての想いを込めた。

 誓いのように囁くと、アリシアはふっと微笑んで、僕の手をぎゅっと握り返した。


「ええ、期待してるわ」


 その仕草が、何よりも彼女の覚悟を示していた。


 これから先、どんな未来が待っていても、この手を絶対に離さない。

 ずっと、二人で一緒にーー。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回、リアム編最終話です。


次話『真名の囁き〜運命に導かれし誓い〜』

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