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105.事情を説明
エイプリルフール話、まだ終わりませんでした……。
「えっと、敷布を届ける途中ですから失礼しますね」
出会ってしまったものは仕方ないものの、せめてこれ以上の会話はしないようにとラシディアは立ち去ろうとしたが、それは阻まれた。
「ちょっと待ってください」
「え、あの、リアン様?」
不意に右腕をとられ、ラシディアは驚きと困惑でオリアントを見上げた。
オリアントは騎士で真面目な青年だから、このように急に触れてくるのは珍しい。それでも、敷布を抱えている左手ではないところが彼らしくはある。
「断りなく触れて、すみません。ですが、シディが逃げ出すような気配だったので。……その、先ほど、私の名前を口にしていたでしょう? それで逃げ出すのは、なにか私に知られては具合の悪いことでもありましたか?」
ラシディアの逃げ腰がしっかりばれているし、なんとなく妙な誤解もされかけている気がする。
ここは、きちんと事情を説明するべきか。
そもそもの発端は彼の上司であるし。
やましいことがある気配を、オリアントは敏感に察します。




