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104.名案
エイプリルフール話のつづき。あと一話くらい、かな。
騎士団長が去った後、ラシディアは困っていた。
かの団長が言うには、今日は「いちばん親しい異性に嘘をつかなければならない日」なのだという。
「じゃあ、私はリアン様に嘘をつく必要があるのかしら」
いやいやそんな、オリアントに嘘をつくなんてできそうにない。
ではどうすればいいのか。
「そうだわ。リアン様に会わないようにすればいいのね!」
「――私が、なんですか?」
「ひゃあっ」
名案が浮かんだと同時に割り込んできた声に、驚いたラシディアは抱えていた敷布を宙に放り出した。
「おっと、」
だが声の主がすぐに腕を出し、受け止めてくれた。
「驚かせてしまいましたか」
「い、いえ。こちらこそ失礼しました、リアン様。それから、敷布をありがとうございます」
振り返ればそこに立っていたのはオリアントで、せっかくの名案はあっさりと消えてしまった。
ここでオリアントが現れたのは(たぶん)偶然ですが、たとえラシディアが会わないように避けたとしても、あっさり捕まえに来たと思います。




