反省
それからの俺は充実していた。
妹が来ない自由な時間、何かをやり遂げた達成感。丸1年もの歳月をかけ、悪戦苦闘を繰り返しながら作り上げただけのことはある。
ハンダゴテを指にくっつけて夜中に「があぁぁ~」と叫んだり、寝不足過ぎて体育の時間にバスケのボールが顔面を直撃し、マーライオンのように鼻血が吹き出てそのまま保健室へ運ばれたり。
図書館で獣のようなイビキをかき、綺麗なお姉さんに「ダメよ。静かにしましょうね」と、優しく頭をコツンとされ、惚れてしまったり……。
今となってはいい思い出である。
調子の良い時は何をやっても上手くいくもので、クラスの可愛い女子から告白された。
妹以外と触れ合ったことのないチェリーの俺には彼女の笑顔は眩しすぎた。
手を繋いだ時「なんて温かいのだろう」そう思った。
並んで話してるといい香りが漂ってきて、目がトローンとしてしまった。
いつだったか友人が、好きな子のイスの匂いを嗅いで恍惚としていた。
それを見て「お前、バカじゃねぇの?」と大笑いした。
あの時はバカにしてすまなかった。今なら分るよ、その気持ちと行動が。
ついでに成績も赤丸急上昇だった。辞書を片手に小難しい本を何冊も読み漁っているうち変な知識が身についたのだろう。さほど勉強しなくても授業の内容が理解できるようになっていた。
情けは人の為ならず。
世の中無駄なことはないと証明された瞬間でもあった。
一つだけ反省するならば、ホームセンターでの母とのやりとり。
「妹のため」という大義名分で押し通したが、実は「エロ本を好きなだけ読みたい」という不純な動機が原動力だ。
だが、そんなことは口が裂けても言えない。
本心を言ったら100%の確率で頭を叩かれ、次の日から汚物を見るような目で口も利いてもらえないだろう。母しかり妹しかり。
ちゃんとした理由もなしに言い訳と気合だけでねじ伏せてしまったことは謝りたい。
母さん、あの時はごめんなさい。でもあなたの息子は大人になりました。
一皮むけました!