女子高生をなめるなよ
次の日。
学校帰りに寄り道もせず真っすぐ俺の家に来た。
俺の家に寄った時点で寄り道だと思うが、今回はそんなことはどうでもいい。
リビングに来るなり凛をとっ捕まえて事情聴取した。
「お前、何かしただろ!」
「エヘッ」
案の定、弁護士を揃えたのは凛であった。
郵便物を受け取った凛は、法律事務所の文字を見て「これヤバイ状況かも」悪いとは思いつつ中身を開けて読んだ。
そして書かれていた内容を父親に伝え相談した。
凛の父は会社でも地位が高く、将来社長候補と言われている。しかも会社はその業界じゃ最大手の超有名企業だ。
凛パパは、偉い地位にも関わらず腰が低く人当たりがいい。頭の回転もキレッキレで、容姿も素直にいい男である。俺が女だったら速攻で抱かれるだろう。
さらに、頼まれたらイヤと言わない親分肌なので、娘が世話になっているという理由だけで会社の顧問弁護士を紹介してくれた。
次に友人に相談した。
凛が通う学校は有名私立高で、いわゆる富裕層の家庭が多い。
職種もさまざまで医者から政治家までありとあらゆる人脈が揃っている。もちろん弁護士を父に持つ子もいる。
いつも俺んちに遊びに来ている仲良し4人組の竹内という子の父が偶然にも弁護士らしく、凛の話を聞き、正義感むき出しで協力すると言ってくれた。
さらに彼は「この事案は今後の勉強になる」と言い、仲間の超優秀な弁護士にも声をかけてくれたらしい。
その間、凛は友人知人のツテを辿り、独自に弁護士事務所を訪れ話を聞いて回ったという。
なんだ、こいつらの行動力は!
正義の味方って本当にいるんだな。仮面ライダーだけかと思ってたよ。
結果、祖父1人、妹1人 凛パパ1人 竹ちゃんパパ3人という総勢6人のドリームチームが完成した。
弁護士ドリームチームは心強いが、問題は報酬金額である。
有名どころを集められても支払い能力には限界がある。
「なあ、気持ちはありがたいけど、いくらかかるか怖いんですけど」
「大丈夫。タダでいいって言ってたから」
「はい? タダ?」
「うん。みんな知り合いだし、困ったときはお互い様だって」
「けどなぁ」
「竹ちゃんちのお父さんなんか張りきっちゃって、今から万全の体制を整えているらしいよ」
凛パパも竹ちゃんパパも本当に凄い。他人のためにここまで出来るのだから尊敬に値する。
やはり仕事の出来る男たちは一味も二味も違う超一流ってことだ。
それに比べて……なんか俺が一番役に立ってなくね?
おい凛、君の胸、ちょっとだけ借りていい? 泣きたくなっちゃった俺。
話を聞いた俺は、急いで祖父に電話をして状況を説明した。
受話器の向こうで男泣きする祖父がいた。
感動なのか、安堵なのか。
「ありがとう」
そう言って電話は切れた。
結果がどう出るかは今後の展開によるが、負けは120%ありえないだろう。
なにせ6人の侍がタッグを組むんだから、もはや歴史に残るかもしれないな。
母さんへ
母さん、あなたのためにみんなが協力してくれてます。じーちゃんも寛子も頑張ってます。よかったですね。上手くいくよう応援してください。
俺は草葉の陰から祈ってます。




