バカの末路はこんなもん
桜が散って新緑の葉が美味しそうな季節の昼下がり。
俺は平和を満喫しながらウトウトしていた。
ピリリリ。ピリリリ。
電話が鳴った。
「はい。ぼくドラえもんです」
「は? なに呑気なこと言ってるの!」
妹からだった。
「なにか用?」
「お兄、今どこ?」
「家だけど」
「いますぐTVつけて! 大変なことになってる!」
「は?」
よくわからないが、言われた通りTVをつけた。
映し出された画面には見覚えのある男が・・・親父だった。
なぜ親父がTVに?
一瞬意味が分からなかったが、ニュースの内容を聞いて何となく納得した。
内容を掻い摘んで説明すると……。
インサイダー取引で得た財産を着服し、脱税容疑がかけられた。個人宅へ税務署のメスが入ったのだが、その際、会社の贈収賄路と知的所有権侵害が見つかった。さらに会社の金を使い込み業務上横領も発覚した。
企業犯罪のオンパレードじゃねぇかよ。なにやってんのこいつ?
「ねえ、どうする?」
「どうするって、放っておけば?」
「会社潰れちゃうよ」
「別に潰れても何の問題もないだろ?」
「でも……」
「俺らには関係のないことだ」
「お父さん、逮捕されちゃうのかな?」
「だろうな。ザマーミロって感じだ!」
数十年ぶりに見る親父は年を取っていた。が、何の感情も湧かなかった。
それどころかアップで写し出された顔を見ると吐き気さえしてくる。
あの事がなければまだ許せたろうに……。




