空回りする想い
今日もベッドの中、あなたに愛された気がした。
―――離さないで…
熱くなる彼の腕の中で呟いた。
―――もっと…
呼吸に合わせて彼の耳元で囁いた。
―――好き…
キュッと胸が苦しくて叫んだ。
2人で寄り添ってベッドにいるこの時間が愛おしい。
何も話さなくても、あなたの心音を聞いていると幸せなの。
「今日は…まだ一緒にいれる?」
「そうだなぁ」
カチッ……ライターの灯りがぼぅっと彼を照らす。
「ふぅー」
いつも最初にタバコの煙を吹き出すときは、伏し目がちになる。
―――香りが前のと違う……
「……タバコ変えたの?」
「あー前のは飽きたから」
「へ…へぇ。そうなんだ」
カチカチカチ……
わたしには目も暮れず、携帯を取り出した彼。
―――あぁ、今日もこのまま帰っちゃうのかな……
「あっ、そうだ。今日ね、ケーキ……」
ベッドから起き上がって冷蔵庫へ。
「なぁ、ごめん、呼ばれたから行くわ」
「え……あ、うん」
「悪い。また連絡する」
わたしは手に取りかけたお皿を隠すように、立ちすくんでしまった。
―――今日は……一緒にいてくれると思ったのに……
ズボンを履いて、上着を着て、何事もなかったように髪を整えて
「じゃ」
別れの挨拶をして出て行く。
―――どうして引き止めなかったの……わたしのばか……
振り返って、冷蔵庫からケーキを取り出す。
昨日、朝から何度もスポンジを焼き直してやっと出来た苺の生クリームケーキ。
―――2人で一緒に食べようと思って作ったのに……
―――おいしい、すごいじゃんって言って欲しくて……
―――もっと愛して欲しくて……
涙がボロボロ溢れてくる。
前のタバコ飽きたって、まるでわたしに飽きたって言われたような気がした。
彼は今頃、新しい女の子に会っているに違いない。
ううん。
新しいどころか、ずっと浮気相手がいたのかもしれない。
ううん。
わたしはもう彼女じゃないのかもしれない。
だって……あなたはいつも事が済むと足早に帰ってしまう。
ベッドでしか「好き」って言ってくれなかった。
何度会っても、何度体を重ねても、隙間風が通っているようで寂しかった。
いつか振られるんじゃないかって怖かった。
だからわがままの一つすら言えなかった。
一人で仕事もせずに、心から信頼出来る友達もいなくて、あなたがいるだけで嬉しかったの。
スカスカだった寂しいわたしの心を埋めてくれた気がして…
でもね、もうあなたといると辛くて、しんどいんだ。
あなたのことを考えて過ごすのは、もう嫌。
わたしは胸が張り裂けそうになりながら、彼にメールを送った。
―――もう会いたくない。さようなら
これが最後。
そのまま電話帳から彼のアドレスを消した……
今日は泣きながら、思いっきり苺ケーキを食べよう。
だって……
今日はわたしの誕生日なんだもん。
―――HAPPY BIRTHDAY―――
うまくいかない、空回りしてしまう恋。それは付き合っていても、片思いでも辛いですね。いつか断ち切って前に進んで欲しいです☆