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ハート・トゥ・ブレイド  作者: アリステスリア
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第13話 不穏な情報

「ヤタガラスからの任務……ということは」


「ああ、私もヤタガラスに所属する人間の一人だよ」


 そう言うと大国(おおくに)は、懐から取り出したカードに『心力(しんりょく)』を通す。

 そこにはヤタガラスの一員である事を示す、三本足のカラスの模様が浮かび上がっていた。

 カードには、持ち主の『心力(しんりょく)』にのみ反応する加工がしてあるため、偽造することが出来ないようになっている。


「と言っても、もう歳でサポートメンバーだがね。これでも、昔は君のお爺さんと沢山の心喰獣(ナイトメア)と戦っていたんだよ」


「そうだったんですね。それで、任務とは?」


「君も知っていると思うが、ヤタガラスは各地に点在する城郭都市内で独自の権限を認められている」


「はい、それは僕も知っています」


 ヤタガラス教導傭兵団。

 それは教導団であり、傭兵団でもある心装兵(しんそうへい)集団だ。

 その構成員は世界各地に存在し、心装兵へ教導を行ったり、都市内の心装兵だけで対処しきれない心喰獣(ナイトメア)に対応したりしている。

 だからこその教導傭兵団。

 その活動は心喰獣(ナイトメア)が現れ始めた当初から行われており、その経緯もあって多くの都市で都市防衛軍とは別系統ながらも、同等の権限が与えられていた。


「では、改めて任務の説明をする。大和都市防衛軍からの依頼だ」


「はい!」


「都市周辺を哨戒していた心装兵が心喰獣(ナイトメア)の集団を発見したそうだ。先日到着した都市間行商人(キャラバン)からも、同様の報告があったらしい」


 都市間行商人(キャラバン)とは、心喰獣(ナイトメア)が跋扈する“外”の世界を移動し、都市間で人・物・技術・情報のやり取りをする集団の事だ。

 “外”の世界を移動するリスクは大きいが、この集団が居るお陰で都市間での交流・発展が細々とながらも続けられていた。


「ここに向かっているのですか?」


「いや、今はまだ動きはないそうだ」


「でも、依頼があったということは……?」


「うむ、集団の中に伝説級らしき存在が確認されたらしい」


「伝説級……それは、確かに1都市の戦力では対処が難しいですね」


 心喰獣(ナイトメア)は五つの階級に分けられている。

 下位から順番に伝奇級、伝承級、伝説級、幻想級、神話級とされていて、階級が上がる毎にその強さの差は10倍にもなると言われている。

 伝奇級一体に対して、一般的なBランク心装兵十人で対応出来るとされていることから、伝説級の恐ろしさが分かるだろう。


「大和都市防衛軍は、この事態を重く見て警戒態勢を敷くそうだ。君には非常時の都市防衛をお願いしたい。アイツから“抜刀斎”の二つ名を継いだ君なら、伝説級にも対処できるだろう」


「……分かりました」


「ありがとう。正直、君が受けてくれなければ絶望的な状況だったよ。やはり、彼女(・・)がいるからかね?」


「まあ、そうですね」


 純一が戦う理由。

 その内容について、ヤタガラス上層部では共有されていた。


「はっはっはっ、アイツから聞いた通りなんだな。たった一人の人間以外に興味はなく、その一人を護るためならばどこまでも強くなれる」


「そのために“外”へ出ましたし、ヤタガラスにも入りました」


「いや、責めている訳じゃないんだよ。君のお爺さんも同じような人だったからね。本当に、懐かしい」


 そう言って目を細める大国は、視線の先に純一の祖父を幻視していた。

 自分と同時期にヤタガラスへ入った純一の祖父、その戦う理由も人類のためではなく家族のためだった。


「さて、私からは以上だ。学園生活で何か困った事があれば言ってくれ、出来るだけ力になろう」


「ありがとうございます」


「ああ、そういえば。入学早々に模擬戦をしたそうだね。君の事だから大丈夫だとは思うけど、手加減をしてやってくれよ?」


「それは……あいちゃんの害にならなければ」


「そのブレなさは君の力だな。よろしく頼むよ」


 愉快そうに笑う大国に一礼し、純一は学園長室を後にした。






 純一が学園長室で大国と話しをしていた頃、学園内でも心喰獣(ナイトメア)集団発見の知らせが流されていた。

 唯一、伝説級が確認されている事は伏せられていたが、警戒態勢に入ったことと一部の学園生には出撃命令が下る可能性も示唆された。

 そんな状況であっても、学生たちは落ち着いていた。

 過去に何回か心喰獣(ナイトメア)の襲撃があったが、そのいずれも大和都市防衛軍と一般には知られていないが、ヤタガラスの協力もあって退けられていた。


 今まで大丈夫だったのだから、今回も大丈夫。


 そんな無責任とも言える空気が学園内を包んでいた。


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