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今日から学校と仕事、始まります。②莞

春風の見守り人

作者: 孤独

涙を流した春の別れを経験した後、また新たな出会いの春が訪れる。

それは冷たい風から、温かい風に変わるようなもの。

この小さなゲーム会社にも、そんな時期を知れる出来事が起こっていた。


「三田ちゃんが中学に入学するんだよ」

「あの目をつけてた子ですね」


そんな温かい情報も零れる時であるが、


「あの小学生とは思えない胸をした子が、ついに」

「中学生ですかーーー!!大ニュースですねぇっ!!」


職場の近所に通う、将来アイドル候補の女子小学生が中学生になった事。本人の知らないところで盛り上がる、ちょっとしたストーカー共の声。

それでも、それは春風と共に消えていく。風のようにその成長を見守るのが、見守り人というものだ。


「そこで入学式の午前中だけ、午前中だけ!休みをくれ!」

「三田ちゃんの制服姿を記録したいだけなんだ!」


バギイイィィッ


上司というわけではないが、グループの管理を務める者にお願いをした2人だが。

管理者は花が入っていない花瓶で2人をぶん殴る。

中に入っていた水は瀬戸に振り被った。


「なんで他人の入学式を理由に休みを申請すんだよ!!松代さん!瀬戸ぉぉっ」

「み、三矢。お前……お前だって、この前!俺達が撮った三田ちゃんの写真を見て、可愛いとか、おっぱい大きいとか言ってたじゃねぇか!!」

「そーだそーだ!三田ちゃんの晴れ舞台は大事じゃないか!」

「お前等が乱入した方が、彼女の晴れ舞台が壊れるわ!!」


まったく馬鹿共が……って、室内にいる女性3人も溜め息交じりな反応を示す。



「気持ち悪っ。男ってホント、キモイ」

「女性に対する目がイヤらしさしかありませんね」


友ちゃんは本格的に嫌悪を吐くが、林崎は至って普通の感想であった。


「松代さーん、瀬戸くん。なんでそんなに入学式に拘るの?」


安西だけはイーブンぐらいの気持ちで、そんな質問を投げかける。


「良い質問良い質問!よくぞ訊いてくれました!安西!」

「それはね」


松代と瀬戸はハモって


「「この時期は強い風が吹くから」」


いかない……


松代「スカートがめくられるパンチラ映像のチャンスがあるかもしれない!!」

瀬戸「慣れないスカートを手で抑えるキュートな映像があるかもしれない!!」


しかし、内容はほぼ同じ……。


「お前等、タダの変態じゃないかーー!」


友ちゃんの大激怒など、まったく気にせず。松代と瀬戸はどちらの言い分が正しいか、双方の良さを訴える。


「瀬戸!お前、今日は下着だろ!!入学式は1回きりの特別な行事に、穿くパンツ気になるだろ!気にするだろ!!」

「松代さん!違います!絶対に違います!!穿き慣れない瞬間は、入学式しかありません!!手で抓む仕草でいくか、オーバーアクションで両手で抑え込むか!そのポーズに注目するべきですよ!!今後の三田ちゃんの動きに注目です!」


入学式というのは、外で写真撮影があるものだ。確かに知っている人もいるかもしれないが、知らない人もいるかもしれない。

そんな一歩。緊張ある一歩。止まらない時の中で、確実に動いたその日は、意識するのも無理ない。

とりあえず。松代と瀬戸には


「休みなんかしばらく与えない。いや、それがこいつ等の労働には丁度良い」

「おいおいおい!ダメだろ!労働基準とかあんだろ!」

「変態犯罪者のお前達に、人権が適用されると思ったら、大間違いだ!はい、却下!!」



当然のように、他人の入学式を邪魔する権利は与えられませんでしたとさ。



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