8話、落葉剣とエルダー
やらかしました
「さいってい、、、村でも一番人気な女の子を傷物にしようとしてたなんて、、絶対に殺す、、!」
目の前の少女の語気の荒さに呼応するように森が騒めく
、、なぁクソ神、最善策は逃げるだろうけど逃げ切れると思うか?
ー今のままじゃ無理だろうね
だよなぁ、、逃げるならどう逃げようか?多分俺死ぬよ
少女のオーラが真っ赤だもん、確実に俺の生命の危機だわ
ーわかった、じゃあとっておきを力を渡そう
どんな力だ?
ー 自分の力を具現化する力だね、空真以外は使えない
今の状況を打開できるなら、教えてくれ
ーいいかい?初めてだからちゃんと声に出して詠唱してね
ーあと、ここから逃げたいと本心で思うんだ
わかった、やってみる
詠唱を始めると強い風が周囲を包む、風に合わせて土埃が俺と森を断絶する
ーー我は時を重ね時を止める者、我が求むは何人にも掴まれない走りの力
我に応えよ!逃走する落葉剣!(めいそうするらくようけん)
風が止み、俺の前に出てきたのは柄は鍔は西洋剣をした一体型で手にフィットする大きさの茶色の柄をしている
俺はそれを握り、勢いよく引き抜く!
柄の先にある剣の部分は、、その先は、、無
無?
無い、刃がない!柄のみだ!?
クソ神!?どういうことだよ!?
ー当たり前じゃんその剣は戦うための剣じゃないよ?
試しに本来はのある部分に手を出して確認したけど透明な剣でもない
目の前を見ると少女の空気に違和感を覚えた
必死に何かを探してるようだ
「あいつはどこ行った!?消えた上に精霊でも感知できないなんておかしい!」
なんだこの空気、まるで俺がいないみたいだ
ー君は今落葉剣のおかげで存在を消せてるんだ、逃げる前段階だね
ーそして使い方は念じるんだ、どこにどう逃げたいかをね、どこに行きたい?
エルダーと呼ばれるエルの母の場所に行きたい、とりあえずエルのことを説明しときたい
ならエルダーを知ってる人に剣を向けて
一応目の前の少女に向けた、するとヤイバのあるはずの部分から少女のオーラを風ごとほんの少し喰らい
薄い青い光を放つ半透明の刀身ができた
ー 成功だよ、最後に行き方を指定して!
森の全体を見るために飛んでいきたい!
念じるとガード(鍔)から剣と同じ色の光が大量に溢れ出す
大声でこう叫んで!トレケインと!
トレケイン!、、、、ちょっと待っ、、、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
いきなり剣が真上に某RPGの移動魔法の如く初速なしのフルスロットルで急上昇、なぜか手が離れない
俺は不思議と重力は感じなかったが物理法則が適応されたら確実に首を折ってる体の良い自殺道具になる
しかし景色は一瞬で変わり、森全体を一望できる高さまで来た
かなり広いな、、まっすぐ行っても歩いて一週間はかかりそうだ
そしてどんどん俺の体は森の中心に向かう
ある程度進むと、、止まった
クソ神、止まったぞ?
ーごっめーん!言い忘れてたけど飛んだら自由落下で着地だからね?あと色は元に戻しといたよ☆
、、、、確認してみよう、クソ神、、まさか俺は今から、、
ーうん、落ちるね☆ でもこれは僕が選んだことじゃないからね?
、、、下を見る、優に200mはある高さ
自由落下開始
ーまぁ、枝に当たるでしょ?多少はダメージ減るかも?
普通に硬い枝ならピンポイントにダメージ入って枝に当たった箇所が骨折するわ!
「うぁぁぁぁぁぁぁ!」
落ちる、自由落下でさらに加速する!加速してる!
地面が近くなる!多分すごい顔をしてるのを自覚しながら死を確信して木の枝に当たる
地面に当たる直前に急に速度がとまった
あ、死ぬときはこんな風に時がゆっくりになって止まるんだなと思う
体感時間3秒経過、あぁ、、、死にたくないってこういうことなんだろうなぁ
5秒経過、俺の人生は何しても諦めと無気力な癖に今は必死にいきたいと感じてるや、人生をもっと精一杯頑張ればよかった
体感時間10秒経過、木の葉が顔に落ちて来た、、俺の体感時間はこの木の葉より遅いらしい
、、、あれ?ちょっと待て?
体感時間なら木の葉も同じく遅いはずだよな?
顔を横に向けて左を見る、俺の体は徐々にゆっくりと宙から地面に降りている
体を動かすと足がついて立ち上がれた
、、、なぁ、クソ神?
ーなんだい?
これはなんだ?
ー、、、ドッキリ成功☆
絶対にあったら殴る、問答無用でだ
落葉剣が光をなくした
ー落葉剣はとりあえず要らないから帰れと念じてみて
ありがとう帰ってくれと感謝を伝えると落葉剣はボロボロになって崩れた
ー 次は念じるだけで落葉剣がでてくるよ
わかった、便利だな
「へぇ、、、ここに来るのは予想外でした」
いきなり気配もなく後ろから声がしたから振り返り、あたりを探すが誰もいない
「どこにいる!?」
「ここですよ、ここ」
右を見ると20歳前後のローブを羽織った青い髪の女性が木の後ろで微笑んでいた
オーラを見た、彼女は綺麗な青色をしている
耳は、尖ってないみたい
「初めまして、高城空真さん」
なぜ俺の名を?クソ神、この人がエルダーか?
「そうですよ?私がエルダーです」
「あれ?なんでわかったんだ?」
「心の声と加護の神が見えるのです、あら?貴方様は見たことありませんね、、、時の神クロノス様?」
「やぁやぁ、初めまして森の守護者をしている不老のエルダーさん」
俺が視線を戻すと、、、クロノスが実体化してた
俺は立ち上がり、、、クロノスの顔面に向かってサバイバルナイフを思いっきり突き刺した!
が、、ホログラムみたいに映像だけみたいで頭から股まで感触なくすり抜けた
「あっぶないなぁ、、もう」
「死ねやこらぁ!」
なんども切りつけるが映像だから切りつけれない、だが問答無用で殴りまくる
「なんでそんなに怒るんだよ!?」
「身に覚えがあるだろ!?」.
「覚えてないかな☆」
「早く実体化しろよー、殴りたくて仕方ないんだよな!」
俺たちがギャーギャー騒いでいると後ろでクスクスとエルダーが笑ってる、畜生、、、エルダー、こいつを殺せない
素振りをし過ぎて右腕が疲れた、、そだ、エルのことをなんて言おう
「精霊を介して見てましたから全て分かってますよ、気にしないでください。あとはなんとかします」
わかった、まかせた
「任されました」
にこやかに笑顔で応対してくれるエルダーが疑問の一つを解消してくれた
「あと、服ですが乾いたのは貴方の中にいる精霊のおかげですね」
「えっ?」
俺の中から丸い玉が出てきた、目の前をふよふよしてる
浮かび方からして滝にいた精霊か、心なしか胸を張ってるようにもみえる
「ありがとな」
短く声をかけたら、恥ずかしそうに俺の中に戻っていった
「ふふっ、精霊が恥ずかしそうにする所を初めて見ました」
エルダーがまるで子供を見るみたいに嬉しそうに微笑んでる
「さて、本題だ」
俺とエルダーにクロノスが語りかける
「空真、エルダーの頭を右手で撫でて」
「、、、なんで?」
「撫でたらわかるよ」
「どうぞ」
エルダーは空真に頭を垂れる
俺は右手で触ると、、平行世界、、エルダーが辿る本来の世界を観測しだした
落葉剣は行きたい場所を知ってる人がいないと機能しません、あと洞窟で飛びたいっていったら天井に直撃します