25話、存在意義と号泣
「運命を変えるということは責任が生じる、、」
「そうじゃ、責任もなくいたずらに運命を変えるのはただの傲慢、、、いや」
「タチの悪い身勝手な偽善の押し付けな上、自己満足で周りを乱す邪神じゃ」
「いや、下手したら邪神よりひどいわい。何しろ本人は良いことをしたって思ってるんじゃからな」
クロノスに頼まれてこの世界に来たけど内心は嬉しかった
実際に死にかけたりもしたがこの世界に来て楽しかった
無気力な歯車人生で初めて世界が輝いて見えた、嬉しかった
変わらないと思っていた人生が変わった
楽しくて、嬉しくて、誰かを助けれるのが嬉しくて
エルに出会って悲惨な運命を変えた
エルダーに初めて抱きしめられて、好意を向けられるのが嬉しかった
嬉しくて守りたいっていう同情に似た偽善を誓いにした、ただの偽善だったのに
偽善、、いや、驕りだな
エルとエルダーの運命が確実ではないが代わったかと思った
でも、もしかしたらエルとエルダーはギリギリまで俺に会わない方が悲惨な結果になるまでの間に2人が関わって幸せにした人を俺に出会ったせいで不幸にするのかもしれない
インティアムの時も悲惨だったから何も考えずに変えた、本当はレナードがいない方がインティアムには良かったのか?
レインさんだって、、本当は死ぬはずだったけど助けた、アディスタの言う通り本当はトーマさんは必死に頑張って死を乗り越えて何回りも成長したのかもしれない
ターニングポイントを変えるとはいえ、そんなことは考えなかった
そもそも俺自体が異物なんじゃないか?周りを不幸にして撒き散らしてるただの幸福吸いの化け物じゃないか?
俺は、クロノスの成長以外でなんのためにここにいる?
多分森で死ぬ人を助けるとその場で死んだ人は森の養分になり森は実をつけたり成長する
その虫たちや実をたべる熊たちの運命も養分を抜き取った分枯れるんじゃなかろうか
もしあの場で死んでたら俺は養分になって森が喜んでたんだろう
俺は時の支配者に興味ないって言っておきながら歴史をめちゃくちゃにするためか?最悪の未来を変えるってことは、当然変えた未来でも不幸な人はいるってことで、それを助けたら、、、沢山の幸せになるはずだった人たちを不幸にするんじゃないか?
考えれば考えるほど自分がやった事、これからやるかもしれない事に恐怖を感じる
クソ神、なんで言ってくれなかった
ーえ?聞かれなかったから
こんな重要な事を聞かれなかったから言わないのか?
ー僕には
まった、嫌な予感がする、、その予感が当たらない事を祈る
ー空真がすることだから
嫌な予感と重なってるから言わないでほしい、けどクロノスの言葉は止まらない
ー全くもってどうでも良いことさ☆
やっぱり、嫌な予感が当たった
クロノス、あの空間でいったあの悲惨な世界を変えたいってことは嘘なのか?
ー失礼な、本心さ!
ーただ、悲痛な運命も人の生き死もそれは、、
ーあんな地獄じゃなければ美しいはずだ
クロノスは悪びれもなく
間違いなくいつもの口調で本心で言った。何故か俺の心を抉る。
、、、ヒビ入った何かが壊れそう、何かが壊れそうで泣きそうになってる
多分自分が死ぬ瞬間なんだろうな、、でも俺は異物なんだから死んでも良いのかも、、
「空真!落ち着くのじゃ!」
「っっ!」
アディスタの怒気で正気に戻された
「いいか、空真よ。考えてる事を読ませてもらった!」
「既にインティアムの未来を変えた時点でここは違った未来なんじゃ」
「だからあまり深く考えすぎはダメじゃ」
「だけど、、俺は、、偽善で本来幸せな人を不幸にしたかもしれない。」
「俺はいたらいけない人間、居場所がない人間なんだから居たらダメだろ、、」
「まず前提が違う、お主はこの未来が本来の未来になると思うか?」
「放置してたら、、なる、、」
「そうじゃ、だがな、、」
「ならない可能性もある」
「え?」
「未来はわからないんじゃ、お主は来てからな」
「え、じゃあ俺自体が異物か、、?」
つまりこの世界でも1人、、ってことか?だとしたら何のために、、
「それは違う、異物なら世界は空真を殺そうとするはずじゃ」
「最初に来た時に襲われたか何かされなかったか?」
「された、、、」
「その後は?ずっと襲われたのか?」
「いや、エルは俺を襲おうとはしなかった」
メルはちょっとやらかしたから不味かったが、、
「お前が好きな彼女や、インティアムや我らは攻撃的だったか?」
「違う、、向こうは言葉だけしかわからないがエルダーに相棒、村の人は攻撃的じゃなかった」
むしろ友好的だ
「じゃからの、お主はその時点でこの世界に迎え入れられたのじゃ」
「気にする必要はない、お前はここに居て良いんじゃ」
「あとな、運命を変えようと抗う力を皆は持っている」
「運命を変えられた人はお主の偽善は神が試練を与えたと思うじゃろうて」
「誰も空真を責めぬよ、一人一人の人生じゃからな、、」
「皆不幸が嫌なら努力するさ、絶望的じゃないならな」
何故か、涙が出た
初めてそんな事を言われた、温かい言葉に泣いた
すごい号泣してるや、、、
「すまん、クロノス、、」
「ここに、しばらく居ていいかな、、、、?」
「僕は全然オッケーさ☆」
やっと俺の村生活がスタートした、、、出だしは泣きすぎて辛かったけどね、、
「では、わしからは以上じゃ」
「わかった、ありがとう」
戻り、、たくないなぁ、、目が腫れてるよ、、
「ねね?空真、エルダーに会いたい?」
いきなり何を言い出した!?
「あ、会いたいさ」
すごく会いたい、あって抱きしめて俺を慰めて欲しい
「けど今は会わない、、、」
それは傲慢で、エルダーには迷惑かもしれない
エルダーは心は読めても俺はエルダーの気持ちは読めないし
わがままを押し付けたくない、けどなにより
「なんでだい?」
「エルダーの前ではカッコ良くいたい、こんなみっともない姿は見せられない」
男として彼女の前では強くいたい
「見栄っ張り☆」
「うるせー、、、あ、そうだ」
ふと気付いた、白焔の細剣なら治せるんじゃないかな
「白焔の細剣、来い」
出てきた細剣を自分に突き立てた
痛みはない、すごく暖かい
エルダーがまるで近くに居るみたいだ
数秒してから抜いたら、涙を流す前に戻った
「じゃあ、インティアムのとこ行ってくる」
「行っておいで」
優しいアディスタとクロノスの笑顔に見送られて駆け出した
やれやれ、、お主も人がわるいのぉ
ー僕は人じゃなくて神だよ、アディスタ
ーけど、感謝するよ
ほっほっ、、、今言わなかったらどうなっておったんじゃろうな
ー気付いた時に重圧に押しつぶされてただろうね、多分ここが空真の精神に深刻なダメージを負うか負わないかターニングポイントだったんだ
なるほどのぉ、だから本当のことも言わなかったんじゃな?
ーなにがだい?
お主、レインにお守りを作る際にわざと近くに居なかったろう?
ーありゃ?バレてた?
当たり前じゃ、何故とめなかったんじゃ?
ー空真の成長は僕の成長にも繋がるからさ☆
素直じゃないのぉ、本当はお主がレインを助けたかったんじゃろ?じゃなきゃ具現化をするなと言い出すことも出来たはずじゃ
ー神は個人の意思で誰彼構わず助けたらダメなのさ☆
ー空真は僕がして欲しい選択をしてくれた、僕が選ぶのではなく空真が選んだんだ
ー僕は空真じゃないんだ、僕無しじゃ生きれない空真なら僕は 要らない
やれやれじゃのぅ、、ちなみにエルダーに会いたいと言ってたら会わせてたのか?
ーもちろんさ☆
ー今の会話も
ー空真の考えてたことも、今回は筒抜けだからね☆
お主、、
ーさて、エルダーはどうなってるかなー?
ーおよ?叫んでる
(辛くなったら私のところに来なさいよバカァァァ!)
(その叫び方、空真のことを嫌いになったの?)
(嫌いなはずがないじゃないですか、、)
(さっきの会話を聞いてて色々言いたかったですが、見栄っ張りな空真さんを見てたら何故かお腹の下がずっとキュッて締められてて余計に会いたくなりました、、、凄く抱きしめてあげたいのに会えなくて凄く辛いです)
(そっかそっか☆また何かあったら教えてあげるよ)
(ありがとうございます、、、)
(空真風に言ったら、お預けだね☆)
(、、、楽しみです)
(ちなみに会えるなら会いたい?)
(もちろんです!)
(わかったよ☆)
ーふふふ、レインのおかげで母性と女心をちょっとだけ理解したから楽しくなりそう☆
お主の性格を疑うわい、、
ちなみにいつ言うのじゃ?
紅の書の事を
時を変えるのは大変です




