24話、アディスタと大事な話
意味を教えて欲しい、どういう事だ?
ー答えは身近にあるよ☆
煮えくり帰らないな
あ、俺のきた道からインティアムが来た
「ご飯食べたのか?」
「いや、朝食は食べてないね」
おもむろに2つ持っていたパンを俺に差し出してきた
「そうか、なら食べとけ」
「わかった、ありがとう」
差し出されたパンを右手で貰い、ワイルドにかじる
「うん、美味い」
味的にはコッペパンみたいな甘みがある、インティアムも俺の隣に座り、パンをかじり出した
ふとした疑問を聴いてみるか
「ドラゴンになって食事はする?」
「する時もある、が我々ルーメン族は絶対しない」
「なんでしないんだ?」
「ドラゴンになったら膨大な量を食べる」
「確かに力を発揮するならそれが良い、けどな」
「我は生態系を崩してまでそんな事をするつもりは、ない」
そうか、他の生物のことも考えてるのか。すごいな
「そういえば、我が主人が用があるらしいから言ってみてくれ」
「わかった、今から行くよ」
「ここは任せろ」
「ああ、任した」
俺は立ち上がり、最初に通った大通りを歩く
色々な工芸品があるんだなぁ、ふと左の店の奥が気になった
奥には手で編む機織り機があった、必死に女性がやってるのを見てしまう
やっぱり必死な人はカッコ良いな、、羨ましい
俺は目を離して歩く、街は肉屋が目立つな
焼き方が本当にワイルドだ、火で焼いて岩塩を振るだけなのか
どうやって肉を確保してるんだろ?
さらに歩く、左には野菜屋がある。店には誰もいない
見知ったような野菜も並んであるな、、ふと野菜屋の裏が気になった
む?あれは、、畑か?
歩を止めて見てみると
村の外に野菜屋の裏に一面畑が広がっていた、まるで大規模農家を見てるみたい
みんなに挨拶され、挨拶を返して2、3回程度の雑談も織り交ぜながら歩く
アディスタがいた洞窟についた、入り口の護衛が大声をだす
「空真様がお見えになりました!」
初めて見たときと同じように、のっそりとアディスタは顔を出した。それと同時に近くに居た人が何処かに行った
「ふぉっふぉっふぉっ、きたのぉ」
「他の人は居ないのですか?」
「無論、呼んでないぞぃ。無論人払いもした」
「え?なんでですか?」
「空真よ、お主に話があるんじゃ」
「私に何の用があるのですか?」
「あるんじゃ、あと敬語はいらぬよ」
アディスタの顔が笑顔から真面目な顔で空真を見た
俺はそれを見て真面目で重要な話だと察した
「お主は歴史を変えることについてどう思う?」
「どうもこうも、悲惨な人を助けれてみんなが笑顔になれたら良いよ」
「ふむ、このたわけが」
一瞬顔が怒りに語気を強められて萎縮しかけた
何故怒られた?
「レインを助けてくれたことには感謝する、あれは無事に出産をするだろうて」
「しかし、なぜあのお守りを作った?」
「レインさんがあのままだと死んでいたからあのお守りを作ったんだ」
「ふむ、、一つ問題を出そうか」
「問題?」
「例えば、そうだな、、遊んでいる10歳くらいの男2人に女3人がいるとする」
「空真は、輪の中心にいた女の子1人の未来を観測し1週間後にまともな死に方をしない悲惨な運命にあるとわかる」
「空真は助けるか?」
「ああ、助ける。わかってて変えれないのは嫌だしそうしないと気が済まない」
アディスタがやれやれとため息をつく、なんで?
「お主、この問題の意味をわかっとらんな?」
「どういうことだよ」
「付け加えよう、もし悲惨な運命を辿る子が空真の手で変わったとする」
「周りにいた子はどうなる?その親は?」
「問題の意味がわからない」
「全部幸せになり丸く収まるんじゃないのか?死別は1番ダメだろ」
そうか、、とアディスタが言葉を続ける
「もし女の子が居なくなってその4人がお互いに結婚して幸せな生活をしてたなら」
「それに助けた女の子が混じればまたそれも変わる、お前はその子達の運命も変えたことになる。親が辿る道も変えただろうて」
意味に気づいた、顔が青くなるのがわかる
「おぬしは今」
俺は
「自分の一時の感情だけで」
何も考えず
「不幸の種の可能性を」
わかった、わかったから言わないで
「ばらまいて他の本来なら幸せになるはずの運命を壊したんじゃ」
とどめを刺された、何か、理想にしてた物が壊れる
俺はもしかしたら知らない誰かを不幸にした、、?
じゃあ目の前のレインさんを見捨てるべきだったのか?
「レインを助けたのだって助けたいという本心からだったというのはわかっておる、、」
「だが、もしレインが死んでトーマが新しい人を見つけて愛したらどうなる」
「その新しい人はずっと孤独でやっとトーマが孤独をうめてくれたなら?子供に愛情を与えちゃんと母代わりをしてくれたらどうなる」
「子供はもし悲惨な運命を回避したとしても、さらに酷い運命が待ってるとしたら?」
「ずっとあの一家を末代まで幸せな運命に変え続けたら、それだけもしかしたら周りは不幸になるかもしれない」
「お前はすでに家族の運命を変えた、手遅れだ」
まるでそれは
最終宣告みたいに、俺の何かにヒビを入れた




