14話、竜と不快害虫
森から一気に変わります
目を瞑ったまま、とりあえず使わないであろうアナライズアイ、天真爛漫な風帽子、ありがとう、戻って良いよ
ハットと眼鏡がボロボロになっておちた
俺が目を開けたら視界が真っ暗になっていた、けど周りにはカサカサやら何かの唸り声がするから確実に何かが居る
クソ神、ここはどこだ?
ーえっと〜、、、、とりあえずとんでもなくまずい状況
まずい?なんで?
ーだってそこ、、魔物の巣だもん
、、、ぇ?まさか、、?
指先に力を入れて火を出して周囲を照らす
岩だらけの鍾乳洞の中に俺はいて、少し離れた目の前には、、、
必死に抵抗をする竜を捕食しようと群がる俺くらいのデカさはある不快害虫ども達の狂宴が始まっていた
さて、状況整理だ。クソ神
あれはなんだ?オーラを集中して見たら青ではある
竜からだ
ーまず竜は恐らくドラゴニュートっていう人間に近い龍だね
人間要素どこにいった!空を飛ぶための羽にトパーズがついてるんじゃないかと見間違うくらい美しい鱗に戦い補食するためだけあるような強靭な顎じゃねーか!
人間になる要素全くないじゃないか!
ー人間に変身できるんだよ、内臓も全て人間になるお墨付きだよ!
どうやってなるかっていう疑問に対しての欲しい答えじゃないがまぁいいや
じゃああの真っ赤なオーラの不快害虫たちは?
ーあれは魔物だね、本能しかない虫たちだし殺してもダンジョンなら幾らでも湧いてくるよ
なんか湧く原因があるのか?
ーこの奥の祭壇から出されてる瘴気で構成されてるから意識もないし死んでも同じ個体になる場合もあるんだよ
龍をとりあえず助けるか
ーそれは空真にまかせるよ?僕が決めることじゃない
なら、、あいつらが気付く前に、、
「俺はあの竜を助けたい、、!」
ーー「我は時を重ね時を止める者、我が求むは癒しの力と結界の力」
我に応えよ!白焔の細剣!
左側の腰の高さにある空間が割れ、美しくすら感じる白を基調とした柄が出てくる
複雑な格子状、いうなら螺旋を丸くしたような球が刺さったような護拳付きの柄を俺が右手で掴み空間から引き抜いた
刀身には純白な鞘が付いており左手で鞘を持ち引き抜く
刀身は美しい白、銀をさらに白くし光沢を残したような色をしておりイメージは雪原に近い色だ
俺が握ると格子状の護憲の金属が淡く光だし、、護拳の中が白い炎で燃え出した
手の近くで燃えてるが全然熱くはない、むしろ心地よいぐらいの暖かさを感じる
あまりの綺麗さに剣を目線ぐらいまで持ち上げ見てみると頭に剣の使い方が浮かんできた
なるほど、こう使うのか、、
この剣は切りつけたり刺しても相手は痛みもなく切られた感覚もない、なぜならこの剣は切りつけると傷が癒えるし病気の箇所を刺せば剣が魔力の供給源になり治癒をする
刺し続けてる間は外の空気を指してる相手の力に同調し相手の免疫力や治癒力、四肢の再生、臓器、難病でさえ何とかすることができる
しかも対象にはデメリットがない
そしてもう一つの能力を今から使う
まず左手の鞘についた引っかけで腰につけた
そして右手のレイピアの先端を龍に向かい突き出し
念じると先端からその場にとどまるような粒子が出た
粒子で目の前の空間に縦線を書き、縦線の中心を通るように×をかく
すると線が雪の結晶になった
そして俺は左足を前に出し少し腰を落とした後に叫ぶ瞬間に結晶の中心をレイピアで突き刺す
「目の前の龍に届け!雪結晶の陣!」
突き出された結晶はレイピアほどの小ささになり超高速でドラゴンに飛んだ
ドラゴンに当たり、皮膚が薄い光の膜が出来始め瞬時に全体に広がった
傷口に群がってた虫が頭をあげた、俺はそれを凝視すると虫の口が膜に邪魔されて龍まで届いてないようだ
龍も驚き、虫に攻撃をしようとするが膜が邪魔をして虫に攻撃が出来ない
これが結界の力、結界に包まれた対象は自分に害がある攻撃を防ぐが自身も他者を傷つけれない
言わば結界は病室で剣は点滴だ
次にあの虫たちを倒すぞ、正直あの6本足は精神的にきつい
多分虫なら火に弱いから、、もう問答無用で、、
「あいつらを焼き払いたい、、!」
白焔の細剣を左の腰につけた鞘に入れてから右手を前に出して詠唱をする
ーー「我は時を重ね時を止める者、我が求むは烈火で岩石を溶かすくらいの灼熱の力」
我に答えよ!烈火の溶岩剣!(マグマソード)
割れた空間から細い布が巻きついた柄が出てきた、俺はそれを握るが違和感を感じる
あれ?何だこれ?鉄を触ってる感じじゃない!?
その疑問は引き抜いてわかった、全部が岩から切り出したような無骨なおおよそ剣とは言えないが剣の形をした何かだ
刀身は片側だけ剣先を模したように鋭くなっているし長さは俺くらいある
なのに、、軽い、、軽すぎとまではいかないが明らかに質量保存の法則を無視してると言っても過言じゃない
石剣を見ると不思議と使い方がわかる
烈火の溶岩剣は文字通り岩を広範囲に渡って溶岩に変えるのと自身を溶岩レベルの熱を出して切ることが出来る為に鉄や熱に弱い生物には極悪な威力を発揮する
そして自身に熱の耐性か
なるほど、これはエグいな、、虫たちがこちらに気づきこちらに向かってくる
俺は溶岩剣を両手で振りかぶる
「溶岩の遊泳場!(マグマダイブ!)」
地面を溶岩剣で叩く、剣は簡単に地面に当たった部分がめり込んだ
俺は剣を地面に対して垂直にまで立てて奥まで突き刺した
剣を中心に俺の立っている場所以外の地面がゼリー状になっていき、脈打つようにマグマに変化して行く
地面がマグマ化した場所に乗った虫たちはいきなり体を固め揺らめく地面の中にゆっくりと入って行く
体の水分が蒸発する煙を出しながらだが顔が動かない、多分即死したために身体が動かないんだろう
さっきまで機敏に動いてた触覚が熱で丸まり燃えている
龍の居る地面もマグマ化して見るからに狼狽してるが虫達みたいに地面に入っていかないし熱を感じてないようだ
光の膜はいかなる環境にも変化されないし干渉しないためだな
程なくして鍾乳洞の中の虫が全滅した、周囲に光が漂っている
俺は溶岩剣を地面に刺したまま龍側に歩いた
この光は何だろ?なんて思ってたら俺に全部光が飛んできた、しかも避ける暇もなく俺の中に入られた
ーこれは自身に取り込むと力や魔力が上がる経光玉だね、空真の世界で言ったら経験値が上がる玉だよ
なるほど、なんかRPGみたいだな、、ステータスとかあるのか?
ーそんなものがあったら僕も見てみたいけど近いものはあるよ
まぁそうだよな、、ってあるんかい!
ーでも人間が作るのはあと200年後かな
なるほど、まぁそれまで楽しみにしとくかな、それより目の前の龍だな
まずは近づいてみようか
「言葉はわかるか?」
歩きながら話すと血塗れの龍は警戒心が露わな眼でこちらを凝視し声を出す
「貴様、何者だ?なぜ我を助けた」
「いや、、それよりあの武器は何だ?」
「説明する前に見た方が早いかな」
俺は腰につけたレイピアを抜き、龍に半分くらい刺した
悲鳴に似たような声を出すがそれは刺すとこを見たことによる条件反射だった為に直ぐに平静に戻した龍は次に驚きの声を上げた
「これは、、周りの魔力を強制的に集めるだけじゃなく我の魔力と完全に同調して送り込んできてるだと!?貴様何者だ!」
「俺は高城空真、色々な所を旅しているんだ」
「あと、これは癒しと結界の剣。あそこに刺さってるのは岩を溶岩にすることも出来る溶岩剣だ」
「なぁ、龍って言い方も変だし名前を教えてくれないか?」
「、、、我はインティアムって皆からは呼ばれている」
インティアムは白焔の細剣の治癒のおかげで警戒はしつつも名前を教えてくれた
「ありがとう、呼びやすくて良い名前だな」
素直な感想を言ったら龍が少しぽかーんとし、そして笑い出す
「ははは!初めてそんなん言われたぞ!」
言われたことが無かったんだろうな、本当に喜んでる
あ、光の膜が消えた
どうやら傷もふさがったみたいだ、細剣を引き抜き鞘に入れた
「む、光の膜が消えたのか」
「ああ、治癒完了だ。本題だが此処は何処だ?」
「それを知らないとはどうやって入ってきたんだ」
「この剣の仲間で知らないとこに吹っ飛ばされる帽子があるんだ、それで入ってきた」
「にわかには信じられないがあの剣もある、信じるしかないな」
「話を戻すけど此処は?」
「ここは光の龍族の住処のラヒッピ山脈にある名も分からぬ神がいると言われるダンジョンだ」
うん、地名だけ言われてもわからないな
「なるほど、それでインティアムはなぜここに?」
「我が一族の悲願である名も知らぬ神に名をつけたいため最下層に向かっている」
クソ神、その名も知らぬ神は本来の世界ではどうなったんだ?
ー生まれてないよ、本来の世界じゃあね、、でも、生まれるはずだった神様だね
含んだ言い方をするな
ー行ってみたらわかるよ
やれやれ、わかった
「付いて行っても良いかな?」
「かまわぬ、我は最下層に行けたら良い」
「そうだ、人間に変身するか」
龍は体内から煙を出し始めた、そしてインティアムは固まり、生気がなくなっていく
さながらサナギが変体してる様な感覚で見てると、インティアムのお腹が割れて人間が出てきた
「ふー、久方ぶりにこの姿になった。お主となんか違うとこはあるか?」
少しハスキーな声に俺と変わらない身長に引き締まったボディ、俺よりでかい逸物
クッソ負けた
肩や腰を手で触り皮膚を確認し、右手で髪を確認した
頭を右手で触り、俺は並行世界の観測をすることにした
天真爛漫な風帽子は下手したらもっととんでもないところに行くギャンブル装備です




