第29話 反省と工夫
「ねえねえゼン、シャチー様どうしたの?全然元気ないんだけど」
「うーん、多分自分の部下がやられたんでショックなんじゃないかな」
「あーなるほど」
あの戦いの中で自分の部下を全部守りながら戦うなんてことは絶対にできるわけがない。
そんなことは分かっているのだろうけど。ひょっとしてシャチー様にとって初めての挫折なのかな?
何とか元気づけるにはどうしたらいいかな。うーん。そうだこういう時は
「シャチー様何か美味しい物でも食べに行きませんか」
「うん。今はあんまり食べたくないのだ」
「あ、そうですか。それなら、俺と訓練しませんか」
「訓練か。ゼンはそう考えるのだな」
「はい。過ぎたことはどうにもなりません。だからこれからを変えるために少しでも強くなろうと思います」
「うむ。そうだな。それがいいだろう」
俺はシャチー様と二人で瞬間移動した。ここは町からかなり離れた平原だ。
「あれ?何だ、シャチー様の部下達だ」
「何だお前たち、来ておったのか」
「「「はっ!前回は不甲斐ない戦いをしましたので」」」
結局シャチー様は自分の部下を先に鍛える事にした。約1時間後ようやく俺の番が回って来た。
「それじゃあ行きますよシャチー様」
「うむ。かかってまいれ」
俺は得意な槍で勝負することにした。しかし余裕でかわされてしまう。何か絶対的に手数が足りない気がする。
武器を短めの剣2本にして打ち込んでいく。更に蹴りを加えながら全力で打ち込む!
「やるなゼン」
するとシャチー様は左手にも剣を取った。俺と同じ二刀流だ。今の状態で互角に渡り合っている。だがこのままだと埒が明かない。
更に速くなるようにスラッシュを連発した。これで全力だ!
「む!やるではないか。魔法も使ってよいぞ」
「はあはあ、そうですか。それじゃあ行きますよ」
俺は剣先からエアーカッターを連発する。これならあたるだろう!
「うおーりゃー!」
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!
「もらった!」
ガイーン!
「残念だったな」
なにー!剣が増えた?いや腕が増えたのか!!腕が4本になってる。
「なんですか!そりゃ」
「うむ。ついな。ゼンがなかなかやるもんでな」
そういやこの神様はアシュラ神の娘だったな。腕が増えても不思議じゃないか。
「あのーその腕まだ増えるんですか?」
「うん、まあな。しかしゼンは強いな鍛錬になる」
こりゃいくら手数を増やしても勝てないな。最速で重い一撃が必要だな。
だがそんな重い一撃は余裕でよけられてしまうだろう。うーん、どうしたもんか。
シャチー様にじっとしてもらって俺の攻撃を受けてもらう・・・なんてできるか!
「どうしたゼンもう終わりか?」
「うーん!」
俺は剣をしまいこん棒を出した。もちろん金属製だ。これでたたきまくることにした。
ビュンビュン。ブン。やはり当たらない。全部かわされてしまう。
受けに回るとシャチー様の物凄い攻撃が飛んでくる。俺の体は細かい傷でいっぱいになった。
エアーカッターを連発して四方からシャチー様を狙う。外れても壊されない限りまたシャチー様を狙い続ける事ができる。
刃が30位に増えたときに一斉に攻撃をした。これなら当たるだろう。どうするシャチー様?
すると最低限の刃を破壊しながら俺の方へ迫って来た。俺はこん棒で迎え撃つ。
こん棒が当たる直前でシャチー様にかわされ右腕と右肩を刺されてしまった。
「う、負けですね」
「しかし強くなったなゼン」
訓練は終わりにして町に帰ってきた。
「マスターご心配をおかけしました」
「もう大丈夫です」
ベリーとグレープはエミリーに治してもらったようだ。
「二人共よかったね」
「「はい!」」
見たところ二人共特に変わった所はない。だがあいつらと戦うには戦力アップが必要だ。
「ゼン〜、今あなたこの二人が前と変わってないと思ったでしょう?」
「えっ!そうだろ?見た目は前と同じだし」
「んふふ〜ん。それが強化はしてあるのよ」
エミリーの話では体全体に防御魔法をまといやすくしたそうだ。それにある程度ダメージがあると自動でシールドが働き保護されるとか。
流石エミリーだ。これは俺も戦力アップをしないとな。と言っても何をアップすれば?
剣はもう限界だし。やはり魔法しかないかな。相手を異空間に飛ばす魔法、究極まで冷やす魔法、これが俺の切り札だ。
工夫はできるかな。例えばファイヤーストームは約3000度の熱渦だがそれに鉄を溶かして相手に打ち込めば威力は増すだろう。
あとは、あとは、う〜浮かばない。まだまだ考えないとな。




