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末期的世界の救済者  作者: チャッピーミイタン
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第2話 冒険者ゼン 

「う、うーん。あれ?ここは?」


「よかったわ。気がついたのね」


「あの、あなたは?ああ、俺は気を失って助けられたんですね」


「いえ!助けられたのは私です!お陰で慰み者にならずにすみました。感謝します」


彼女は町に住む道具屋の娘でエミリー。17才。金髪碧眼のグラマーさんだ。


俺は本名は名乗らず名字の別の読み方でゼンと名乗った。


たっての願いというのでしばらくここで厄介になることにした。


しかし、あのいまいましい三面野郎の招集までに少しでも強くなっておかなくてはならない。


いまいち自分のスキルが分からないから、これをはっきりさせなくてはならない。金も稼がんといかんし。


「あのー、エミリーさん。お金を稼ぎたいんですが何かいい仕事ないですかね」


「ここで働いたらどう?」


「あー俺は少しでも強くならないといけないんだよ」


「ん〜それじゃあ冒険者はどう?」


「冒険者?」


なるほど、これなら力もつけられるし金にもなるな。


「あのー」


「ああ、冒険者の登録料ね。銀貨数枚でいいはずよ。どうぞ」


「あ、はい。借りておきます」


この町はアルゴスというらしい。かなり大きな町だ。南門の方に冒険者ギルドがあるそうだから行くことにした。


「ここが冒険者ギルドか。なかなか立派な建物だな」


三階建ての大きな石造りの建物だ。一階は飲食店になっている。受付は二階らしい。


両開きのドアを開けると冒険者たちが飲み食いをしていた。


「おいおい、ここはガキんちょが来るようなとこじゃねえんだ!さっさと帰りな!」


俺は19才だけどそんなにガキに見えるのかな。無視して奥に進むと上に受付が見えてきた。


「おい!あんちゃんよ。なめてんじゃねえぞ!」


バキッ!


「うあ!」


いきなり頬を殴られ吹っ飛ぶ俺。


「ぎゃははははは、またペレジの新人いびりが始まったぜ」


相手は俺より10センチは大きく180センチ100キログラムはある巨漢だ。だがすぐに立ち上がり殴り返す。


「この野郎!」


しかし、パンチは空を切り足払いで転がされる。何で立ち向かう?魔物の群れとの戦いで度胸がついたのか。


「くそう!」


「へ、やるかい坊主」


「この野郎!」


ガシッ!バキッ!今度は相手にパンチを当てる事ができた。しかし相手の力は強くまた飛ばされた。


「ふん!まだだ!うりゃー!」


ガコッ!


「うぐう・・・」


しばらく殴り合い相手を倒す事ができた。どういうことだ!?


「ふん!このバカタレが!ざまあみろ」


「やってくれるじゃねえかガキが!」


違う男が殴りかかって来る。もうその後は大混乱になった。だが俺は向かって来る男たちをことごとく殴り倒した。


はて、俺はこんなにケンカが強かったか?いや違う。こんなに強いわけがない。今強くなった!?


自分のスキルが分かった気がする。最初は弱かった。だが頑張るうちに強くなった。槍も、魔法もだ。頑張った分強くなれるみたいだ。


床には男たちが6人も転がっている。7人目が二階から来た。


「兄ちゃんここはこの俺の顔に免じて引いてくれねえか」


「は?」


バキッ!ドカドカドカッ!ドサッ!


「笑わせるな!お前の顔なんか立てても腹はふくれねえんだよ!くだらねえ」


「ぐええ、わ、分かった。これでどうだ」


偉そうな男は銀貨20枚を出してきた。


「分かった。これはお前の分な。あとは倒れてる連中からもらうわ」


結局倒れてる6人から迷惑料を銀貨90枚もらって二階へ向かった。


「冒険者登録をお願いします」


「ケンカはほどほどにしてくださいよ。登録料銀貨5枚になります」


「こちらから仕掛ける気はない」


「そうですか。あなたはF級ですよ。依頼はボードを見て選んでください」


「分かりました」


楕円のプレートをもらった。なにか文字が書いてあるが分からない。多分Fかな?


ボードを見ると採取系は安くて銅貨50枚どまりだ。強くなるには討伐系にするか。


ゴブリン討伐。一体銅貨30枚。うーん、微妙な数字だな。まあいいか。一度道具屋に戻りポーションを買おう。


「ただいま戻りました」


「おかえりゼン。早かったね」


「うん。これから仕事してきます。これは返しておきます」


「大丈夫なの?まだ仕事してないんでしょう?」


「先輩冒険者さんたちが面倒みてくれたんですよ」


「そう。いい人がいるのね」


治癒と毒消しのポーションを5本ずつ買い町の南にある森に向かう。


1時間ほどで森に着いた。ゴブリン、ゴブリン、ゴブリンはどこだ?いたいた。


穴の前に2匹いるから見張りかな。風下から近づく。


あと10メートル。これ以上は無理だな。


「ファイヤーボール!」


ボン!


「グギャー!」


あとの一匹は槍で突いて倒した。中から物音がする。仲間が出てくるようだ。


俺は木の陰に隠れて様子をみる。出てくる出てくる20匹は出てきた。


「ファイヤーボール!」


一発うつと走って草かげを移動する。そしてファイアーボールをゴブリンに向かって当て続けた。


10発で撃てなくなった。あとは走りながら槍でゴブリンを草かげから突いていく。


ゴブリン達はあわてて逃げにかかっている。背中を向けた奴を追いかけて槍で突く。そして隠れる。


あと6匹。こちらもかなり疲れたが姿を現しゴブリンに対峙する。


「ハアハアハアふん!うりゃー!とう!ハアハアハア」


全て倒す事ができた。ゴブリンの右耳を切り取り死体を集めて燃やした。


タイマツをたいて穴を探索する。剣や短剣を7本、盾を3つ見つけた。あとは特に何もなかった。


ゴブリン24体で銀貨7枚と銅貨20枚。見つけた剣や盾をいくつか売ったら銀貨60枚になった。


ギルドの受付嬢は俺の稼ぎに驚いていた。普通はどんなに頑張っても銀貨1枚だそうだ。


今回は槍と魔法の練習になったので良しとしよう。


帰りに着替えなどの身の回りの日用品を買い道具屋に戻った。


「ただいま帰りました」


「うわ。ゼン血なまぐさいわよ!裏で水浴びしなさいよ」


「わ、分かりました」


今度から川で洗ってこよう。石鹸はあるのか。ここらはいつも暖かいそうだ。だから水でも平気だ。


「背中洗ってあげるわ」


「え?恥ずかしいからいいですよ」


「男が何言ってんのよ」


「はあ、すみませんね。エミリーさん。助けたことは気にしなくていいんですよ」


「そうはいかないわ。ゼン、ずっとここにいてよ。母さんも喜ぶわ」


「俺はいつ死ぬか分からないから・・・」


「そんなのみんなそうよ。それでもいいから家にいてよ」


「はい。ありがとうございます」


人からこんなに必要とされたのは初めてなのでとても嬉しかった。

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