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6話

遅くなりました6話更新です。

「お前、異能がないから産まれる前に殺されそうになったんじゃないのか?」


「産まれてから気付いたんですよ。でも暮らしを良くする異能じゃなくて人に危害を加える異能だからお父様からはいつも酷い扱いでした。」


「まあそんなことはいいんだ。それよりお前これからこの世界で生きていくのか?それとも元の世界に帰りたいのか?」


「元の世界に帰ったら殺されるだけですしできればこの世界にいたいです。」


 帰りたくない。そういった彼女の顔は初めて年頃の女の子に見えた。


「だったらこっちの世界で生きていけるように協力する。でも弟とかは良いのか?元の世界に友達もいるだろ?」


「友達がいないわけではないんですけど流石に追われる身の私は二度と会えないし会っても友達に殺されるかもしれません。それに弟はまだ幼くて私の事をわかってない。だからいいんです。この世界で生きていきます。でも一つ聞かせてください。」


 少し悲しそうな顔で言う。口ではいいと言えるがまだ気持ちの整理がついていない。


「一つじゃなくてもいいんだぞ。それで何だ?」


「この世界は楽しいですか?」


 俺にはとても答えるのが難しかった。今でさえ楽しいと思っていなかったから。だから曖昧な答えしか出せなかった。



「俺はこの世界を楽しいとは思えない。お前と何かすれば楽しいと思えるかもしれない。だから今は答えを出せない。でも前の世界になかった事が出来ると思うぞ。」


「だったら私とこの世界を楽しみましょう!」


 彼女の言葉が少し可笑しくわらってしまう。


「ならまずは偽の戸籍作らなきゃな……。お前催眠とか都合のいい魔法使えたりしないよな。忘れてくれ。」


 アリシアは途中で遮った言葉をしっかりと聞いて居たらしい。


「催眠くらいなら使えますよ。基礎中の基礎ですし小さい時習いました。」


「まじかよ。そうしたら戸籍とかは簡単に作れるな。一応書類に書くから年齢教えてくれ。生年月日は適当に書いておくから。」


「一応今年16歳の15歳です。あなた達と数え方が同じかわかりませんが2003年5月5日が誕生日です。」


 彼女の言葉に少し驚いた。アリシアの世界は俺たちの世界と一緒なのだろうか。それともただの偶然なのだろうか。でも少し気になる点があった。


「多分数え方は一緒だでもお前吸血鬼なのに今年で16歳なのか?てっきり100歳越えだと思ってた。」


「女の子に対して失礼ですね。吸血鬼の年齢が100歳を来れることは滅多にありません。超えるとしたら古い世代の吸血鬼とかです!」


 怒ったように彼女は言う。


「そうだな失礼だった。謝るよごめん。でもこの世界で生きていくなら何個か約束をしてくれ。」


 きょとんとした表情でアリシアは首をかしげる。

「約束ですか。約束するだけでこの世界で生きていけるならいくらでもしますよ!」


 そう言っている彼女は子犬のようだ。本当にこの世界で生きることが楽しみなんだろう。


「まず一つ目は俺の居ないところで人を食べたり、殺さないこと。じゃないとすぐにばれてこの世界でも指名手配になるからな。」


「相手から挑発して来てもですか?」


 俺は頷く。


「……わかりました。我慢します。」


 少し間を入れ俺から話し出す。


「まずは一つだけだけど少しづつ増えてくと思うから守ってくれよ。」


「さて戸籍作りの続きだけど、この世界で名字がないのはおかしいだからまずは名字から考えないとな。」


 アリシアの名前を考えていると最近見たテレビの特集を思い出した。それは彼女に良く似た犯罪者の話だった。


「こっちの世界には人を食べた大犯罪者、ハンニバル・レクターって言う人がいるんだ。だからそこから名前を貰ってアリシア・レクターでどう?」


「いえいいです。……アリシア・レクター……。気に入りました!これからは私アリシア・レクターです!」


 とびきりの笑顔で彼女は言った。その笑顔は俺には少し眩しかった。

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