2話 プロローグ 2
私の手足が繋がり赤い部屋に立つと急に大きなブザーが鳴り私のいる部屋に放送が流れた。
「まだ生きていたかアリシア。貴様のことは全ての国に伝わりこの世界全てで貴様は手配されている。貴様を見つけたら即殺すことになった。残りの人生を楽しむんだな。そうそう言い忘れていたが二度と我が家名を名乗るな。」
一方的な話で放送は止まった。あたりに散らばる肉片を見る。
「この人達も襲ってきたってことは本当にお尋ね者なんですね私。なら今すぐ逃げますか、軍隊が来たら私でも勝ち目ないですしね。」
するとドアが勢いよく開き武装した集団が部屋に入って来た。
「ほ、本当だ!情報通り居やがった!お前らやるぞ!こいつを殺せば一生遊んで暮らせる!」
入って来たのは軍隊でもない人達だった。お尋ね者となったから賞金でもかかったのだろうか。戦闘の訓練を積んでいるとは思えない人達が私に襲い掛かる。
「悪いですけど簡単に殺されるわけにはいかないんです。それじゃさよならです。」
私は振るわれる武器を避け霧となり鉄格子の隙間から外に出た。すると外には魔法を唱える人、剣、弓を構えた軍隊たくさんの人が私を狙っていた。
「これはまずいですね……。」
隊長の号令とともに魔法、矢が雨のように飛んで来た。私の目の前に来た瞬間私の身を謎の突風が私を守った。魔法と矢は風に吹かれ私に当たることはなかった。
「……今のは、一体……。」
軍隊が驚いている隙にこの場所から飛び去った。
ドラキュレア王国 ドラキュレア城〜
「あぁフィール、実の姉に食われ死ぬなんて……。私が仇を討つからな。」
王は息子だった物の腕を抱きながら泣いていた。しかし少しずつ修復されていることには気付いていなかった。そこに王子直属の召使いが到着する。
「お、王よ……。肉片が……フィール様が少しずつ戻って来ています!フィール様はまだ死んではおりません!」
そして少しずつ少しずつフィールの身体は修復され原型を留めていなかった身体が人の形を取り戻していった。
郊外の森〜
「なんとか逃げれたのはいいんですけどこのままじゃ私死にますね……。森に入る人達もいっぱい居ましたし……。ここの森も早く出なきゃいけないですね…。」
少し休憩を挟み森を出ようと立ち上がると何か洞窟の中にあるような気がした。
「何でしょうこの違和感。あの洞窟なにかある気がします。」
私は逃げることを忘れ洞窟の中へ足を踏み入れた。中は至って普通の洞窟だがもっと奥になにか何かがあるような気がした。それに誰かが自分を呼んでいるような感覚だった。奥へ奥へと進んでいく。
「ここの洞窟いるんじゃないか?」
入口の方から急に声がする。私のことを追って来てる人が洞窟の中に入って来たようだ。私の元へと来る人たちなど気にせず進む。奥に着くと空間が歪んでいるような場所についた。
「居たぞ!撃て!撃て!」
叫び声と共に私の身体を銃弾が貫く。
「身体じゃない!頭だ頭を撃て!」
足から腰、胸と銃弾が徐々に上へ上がってくる。私の身体は銃弾が当たる衝撃に耐えきれず空間の歪みへと押し込まれた。歪みの中に入ると私の身体は目も開けられないほどの光に包まれた。
「悪魔は……悪魔はどこに消えた!?」
残された人達はアリシアの事を探し回る。この洞窟にはもう空間の歪みは消えていた。
「仕方ない。一度軍の人に報告して指示を待とう。」
そして洞窟を後にした。
「ここは……?」
目を開けると夜の街。大きな建物と建物の間にいた。見たことのない物、鉄の塊がすごい速さで走っている。
「私はどこに来てしまったのでしょう……?」
アリシアは見たこともない不思議な街に一人で立ち尽くした。