「十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」という言葉があるけどSFな筈のVRMMO物の内容が殆ど異世界ファンタジーな事とは特に関係無い
毒メイン回
"Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic."
高名なSF作家、アーサー・チャールズ・クラーク先生の御言葉です。
「クラークの第三法則」と呼ばれる言葉で、一般的に「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」と訳されています。
念のための説明をするまでもない有名な言葉ですね。知らない筈がありません。
……ご存じ、ないのですか? またまた ご冗談を
ちなみに終わり括弧の前の句点は、会話文の場合は省略されますが、引用文の場合は省略しません。注意しましょう。
作家とは言っても、このお方、従軍中に開発にも携わったり、論文が科学雑誌に載ったり、衛星通信の構想を示したり、などの科学者でもあります。
なので、そこらのなろう作家のトンデモ理論と一緒にしてはいけませんよ?
尤も所属してたのはイギリス空軍ですが。(英国面? ナニソレオイシイノ?)
§§§
前回で二重引用符は使わないようにと言いながら冒頭から使っていくスタイル。
原文が 英文だから 仕方ない。詠み人:干菓子。よし、自己弁護完了。
さて、いつもと違う出だしの今回のお題ですが、
VRMMO物と異世界転生・転移物の内容ってあんま変わらんよね
って事です。
前置きの御言葉と似たようでいて、その実、内容は天と地ほどに違います。
もっとも、これはVRMMO物より、異世界物の側に原因があります。
魔法と見紛う程の科学があるのではなく、ゲームと同程度の事しかできない(しない)異世界ファンタジーに問題があると言えるでしょう。
VRMMO物の中には、異世界ファンタジーだけで無く、スペオペやロボットバトルな物とかもあったりしますからね。あまり数は見ませんが。
一方、異世界物の方は、全部がそうなわけでは無いけれど、その殆どが、やれレベルだスキルだステータスだ経験値だ、と、現実を表現するには不的確な物ばかり(実際は筋力一つ取っても部位によって違うし疲労によって低下もするのだから一律同じ数値で表せる物ではありません)。キャラクターの強さを表現するのに描写ではなくゲーム的数値だけに頼るような、お粗末な物で溢れています。チートなんてその最たる物ですね。
魔法だって、ファイヤーボールだとかゲームのような攻撃魔法ばかりで、メルヘンな物は殆どありません。飛行魔法など、空を飛ぶという人類の夢を体現するロマン要素満載な筈なのに、単なる移動手段としか見なされずファンタジー感が薄かったりします。
世界がゲームシステムと同レベルでしか表現されていないからです。
世界観も、作者がよく理解せずにナンチャッテ中世ヨーロッパ風にしたりするせいで現実味が薄れるのも、それを助長します。
冒険者とかそれに関わるギルドのシステムとかも、ゲーム的な御都合主義で溢れています。軍の存在意義を疑いたくなるようなモンスター退治の依頼や、逆に殆ど危険のない子供のお使いレベルの薬草採取の依頼など。
何より生態系とかお構いなしにモンスターが無限に湧き出るダンジョンの存在なんて、ゲーム以外の何ものでもありません。それを誰が何の目的でそのように造ったのかなどの背景があるならまだしも、殆どは特に理由も無く冒険者に金と経験値を(時には無限湧きするモンスターを間引くためという存在意義を)与える便利なギミックとして存在しています。
正直な話、異世界召喚物なら、死に戻りもログアウトもできないデスゲームなVRMMOと大して変わらない気がします。蘇生魔法があったらむしろ難易度低いぐらいですね。転生だと幼少時があったりクリア条件が無かったりと多少の違いがありますが。
デスゲームではないVRMMO物でも、NPCが全てAI制御で生きている人間と同じような反応するような代物になると、蘇生有りの異世界に行っているのとほぼ変わらないですね。こちらはむしろ「魔法のような科学」の範疇ですが。あぁ、それと学園に通ったりしないという違いもありますか。
ゲームのような世界ではないファンタジーにもっと頑張って欲しいと思います。
ちなみに同じように異世界が舞台でも、「ゲームのような世界」では無く、「ゲームの世界」そのものの違う意味でファンタジーな悪役令嬢物などの方がゲーム的な描写が少なかったりしますね。これは単に小説のジャンルとゲームのジャンルの二重の意味でジャンルが違うせいですが。尤もこちらも、フラグ管理だったり好感度に関わるパラメーターだったりシナリオ強制力だったりと、ゲームシステムに支配されている物も少なくないようです。
と、まぁ、「自分で書きもしないで文句ばかり言うな」と言われそうな事を色々書きましたが、一番重要なのは「面白いかどうか」ですね。
小説は所詮娯楽。いくら緻密で奥深い設定であっても、趣味に合わず読むのが苦痛だったり退屈だったりしたら意味がありません。
内容さえ面白ければ、時にはイメージが容易なゲーム的世界の方が余計な説明が省けて良いという事もあるのかも知れません。安易にそのようなテンプレに頼っても他と差別化できるだけの面白さがあればですが。
ほぼ愚痴のような内容なので今回は纏めなし。
VRMMOの話題と見せて、その実、異世界物が主題になってしまったので、次はVRMMOを主題にしてみようと思います。
思うだけになる可能性はあります。
第2話に、引用文の句点は省略しない旨を追記