仮面の言葉遊び 冬の雨 陽射し
<仮面の言葉遊び>
わだかまり
ただでさえ
沈む想い
端っこにある
抱きしめたはずの
レモン
を
茜色の空へ
いくつも
透きとおらせた
流刑の囚人と
残してしまった 偽りの
仮面
<冬の雨>
灰色の空から
雨
住宅街の小道を
想いが通り過ぎる
雨足に消されないよう
間を縫うように
記憶の中のおもかげを追いながら
<陽射し>
錆び付いた車の窓から雑草が顔を出す
初夏の太陽がフロントガラスに反射して
これから訪れる暑さを象徴している
生い茂った木々に囲まれた空き地で
逝ってしまった時間を取り戻そうとするかのように
誰かが置き忘れた 枯れた花束に
陽射しが注がれている
いつも近くにいながら 大事な何かを
伝え損ねたもどかしさを感じていた
君に出会ったこの場所で
今 気付いた
私は この陽射しを抱きしめながら
これからも想い続けるだろう
今更ながら
君に出会えたことは やはり奇跡だったに違いないと
想い続けるだろう