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女子のいる日々

なんか予定以上に長くなったので前後編にしていったん投稿します。いずれ後編も書きます。

それは、僕の元に現れたただ1つの運。


「秋斗、久しぶり……小学校の時以来かな?」

彼女の名は日向佐菜(ひゅうがさな)、小学校の時にはある程度仲の良かった……いわゆる幼馴染みだ。


「突然現れて……どうした?」

あの時の佐菜も普通に可愛かったけど、今でもやっぱり可愛いように見える。ただ、どうしてもなかなか目を合わせることができない。もし合わせてしまえば……きっと顔が緩んでしまいそうだから。なるべく平常を保たなければならない。


「さっきからどうして目を逸らしてる?もしかして………」

どうして目を合わせることができないのか、その理由なんてわかるはずがない。こっちは冷静を保っていれば大丈夫だ。大丈夫なはず……

その時、佐菜が僕の手を握る。体中が一気に熱くなる。無表情を保てなくなる。女子の手の感触が自分の手から伝わってきて、心拍数が上がっているのがわかる。




「女の子に免疫が無いとか………?」

「っ!?」

僕はすぐ逃げようとした。いくら幼馴染みとの再会といっても、そして滅多にない女子との会話であっても、この状況では耐えられない……っ!

なのに、佐菜は逃げようとする僕の手を掴んでいて離してくれそうもなく、笑いながら言うのだった。

「せっかくだし、ちょっと家に上がらせてもらおうかな。」





これまでにも、女子とほんの少しでも話せるんじゃないかというチャンスは何回もあった。だが、そんな時に限って何らかのアクシデントを起こしてチャンスを逃している。母方のいとこ(1つ下の女子)の家庭と一緒に母方の実家へ行こうとしたが、急用でいとこ側が来れなくなったり、個人でやってる英語教室の初日に来週から女子と単語のテストの出し合いをしろと先生に言われたら翌週からその女子は授業に付いていけなさそうだからと日程を変えられたり、そして何よりも問題なのは小6の時の自分自身だ。あの時何も考えずに男子校を受験しなければ………っ!こんな中高一貫で6年間男だけの学校生活だって無かったのに………っ!

親は僕が男子校に入って良かったと言う。どうやら男子校は共学や女子校よりも学習に力を入れているからだとか言っていた。親が満足しているからこそ、女子と話したいですなんて言えるわけもない。

だが、今回は違う。こうして、小学校以来久しぶりに女子が僕の元に現れた。しかもそいつは小学校の時ある程度話す仲だった奴だ。このチャンス、この僕に与えられたただ1つの運を、絶対に逃してはならない。





「ねぇ、私のことじっと見てみて。」

思い切って、佐菜の方を向いた。正直いって、この段階でもう耐えられそうにない。ただ、佐菜が家に上がった段階でもう決めたのだ。これはチャンス、絶対に逃すことなかれ……と。今できなくてどうする。これを逃せばいつ女子が現れるかわからないんだぞ!

「…………」

佐菜と目が合う。そして手を握られた。なんかどんどん佐菜が近づいているみたいだ……。体全体が熱くて、心拍数も高くなって、佐菜から甘い香りがしてきて、それがより僕を追い込んでいく。

すると佐菜は、いったん僕から離れた。なんか呆れているようだった。

「秋斗、あんた大丈夫?昔は普通に話せてたのに、4年間男子校にいただけでこんなになっちゃうの?今まで全く女子と話したりとかしてない訳?」

「あ、あぁ………全然機会が無くて……。」

「そう、わかった。とりあえず今日は帰る。それで私の家にはいつでも来ていいから。あとメルアド交換しよ。来れない日は連絡するから。」

そう言って、佐菜は帰ったが、いつでも来ていいって………本当か?こんな、女子相手ならどんな奴でもこんなになっちゃうような僕が、佐菜の家に行っていい?

………これは、今までにない、絶対に逃すことがないチャンスじゃないか!僕はこれに賭ける。佐菜ともう1度仲良くなって、自分の周囲に女子がいるようにするんだ………っ!





家に帰り、部屋に入ると、私は1人で大きくガッツポーズをした。

「まさか、こんなに上手くいくなんて……。」

永原秋斗、私の好きな人。小学校の頃から好きだった。だから中学入試のための塾も一緒に通って、私の印象を彼の中に深く残したまま、さり気なく男子校を勧め、そして彼は合格した。これで、 彼の中では『女子=私』になるはずだ。まさか中学に入ってから女子との関わりが全く無いだろうとは思わなかったけど、まさか本当に無かったとはね……。これは思わぬ幸運。私がちょっと手を握っただけで赤面してくるなんて、私が5年前に思いついた計画は正しかったようね。

現在高校2年生、そろそろ彼女とかも欲しがる頃だし、男子ばかりの環境からだいぶ時間もたった。これで私が現れて、そのまま彼の周囲の人間環境の中に上手く入り込めば、彼にとっての『女子』は私ただ1人。

5年間続いてるこの計画、まずは順調のようね……。





それからというもの、僕は何回も佐菜の家に行った。ちょっと行き過ぎかと思ったこともある。もしかすると狙ってるんじゃないかなんて思われているかもしれない。もし異性として狙ってるんじゃないかなんて思われたら気持ち悪いなんて思われるかもしれない。でも、佐菜がいいって言ってくれる限り、僕は佐菜のところに行くことをやめられなかった。いつも通りの男ばかりの空間、それが終わって佐菜のところに行けば、佐菜が癒してくれる。少しずつ佐菜と話せるようになってきた。佐菜と一緒に何気ない日常会話をする。それだけで、なんか癒されて、温かくて、そしてドキドキする。

このドキドキは『女子と話す』ことからきているのか、それとも『佐菜と話す』ことからきているのか。この前までほんの少しだけでいいから女子と話す機会が欲しいと考えていた。だから特定の誰かに異性としての好意があるってことがあまりよくわからない。ただ単純に女子といるのがいいのか、それとも佐菜でなければいけないのか。今の僕には、それがわからない。

ただ、今の僕は佐菜と一緒の時間がとても幸せに感じる。今はそれだけで十分だ。これ以上を望むなんて、今の僕にはできない。





そしてまた、今日も佐菜と一緒だ。

「なんかいつも来ちゃって、すまないな。」

「いいんだよ。私が来ていいって言ったんだから。」

今でもやっぱり、目を合わせるのは難しい。でも、こうして佐菜と話している時に、緊張よりも嬉しさが上回るようになってきた。

「ねぇ、そろそろ彼女作りたいとか思わないの?」

「彼女?無理だって、今やっと少しずつ女子と話せるようになってきたばかりだし。でも、それも佐菜のおかげだ。小学校の頃一緒に話したことがあったから、まだ何とかなったんだ。この後も少しずつ慣らしていけば、どんな女子とも話せるようになるだろうし、そしたら好きな人を作る余裕も出てくると思う。」

「そう、じゃあ彼女とか、考えてみたら?考えるだけでいろいろ思い浮かぶと思うよ。」

考えてみるかぁ、今度やってみようかな。

こうして、今日も佐菜と話して帰った。こんな感じで普段の生活が続く。今や僕の毎日の中には、佐菜が必要な存在になっていった。

僕自身、周囲に女子がいない生活を送っていますが、僕はそんな生活もそろそろ5年になります。


あー、幼馴染みがいればなぁ。


せめてほんの少しだけでいいから女子と話したいというのも僕の欲望から出てきたもので、この主人公永原秋斗と幼馴染みの日向佐菜は完全に僕の妄想なのですww

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