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卒業試験 1

世界が混沌に包まれぬよう勇者に祝福を与えよう

その力をもって世界を導かんことを


「アストラ教 聖書 第一章 神の言葉」より





一人の魔法使い見習いの男の子がいました。

彼は、未来の勇者を目指す子供たちが学ぶ学校の生徒でした。

希望あふれる学び舎で彼は思いました。


「だりーねみー 休みてー」


……希望あふれる学び舎で彼は志しました。


「ひここもりてー」







「あーだりーねみーしー」


本当に眠いマジで寝たい。そう思いを込めながら俺は欠伸をする。


「授業とか意味ねーしまじで」


誰に言うでもなくぼやく自分に、独り言とかマジねーとよくわからない思考回路に陥っていた。


「あいかわらずだねルイン」


そう言って俺に話しかけるのは、俺より少し……結構身長が高いすらっとしたイケメン

シーズだ。彼は落ち着いた赤茶色の髪を肩で緩く結った将来、お姉さま方から非常に声を掛けられることが予想されるイケメンだ(大事なので2回言う)


「寝癖ついてるよ」


シーズはそう言いながら俺の髪を撫でてくる。


「平気だって」


さすがに男に髪を撫でられるのはごめんだと俺は彼の手を払いのける。

シーズは見た目がイケメンなら、中身もイケメン(?)だ。

優しくて面倒見がいい。勿論俺にではなく、他のやつらにもだ。しかも男女平等ときた。


「次の授業は魔法の実技試験だけど、大丈夫?」


手を払いのけられたことを気にするでもなく問いかけてくる。正直、いつもの光景だ。


「問題ないし。試験とか俺には意味ないって」


俺も気にせず答える。

正直、魔法の実技とか俺にはなんの問題でもない。自分で言うのもあれだが、実技に関しては学年いや学校でトップの実力だ。


「そういうシーズはどうなんだよ」


あまり意味をなさない質問をシーズになげかける。シーズは俺ほどではないが彼もかなりの実力者だ。俺ほどではないが(ここ大事)


「僕も問題ないだろうね」


「だろうな」


イケメンで性格もよくて実力もある。もしかして、神の祝福ってやつじゃないのか?と何度思ったことか

そうこうしているうちに俺らは試験会場となる鍛錬所に到着したわけだが、


「遅いですよお2人とも」


正直面倒だと思った。


「まもなく授業開始時刻ですわ。試験の場合、ウォーミングアップは休み時間に行わなければならないのですよ。いくらお二人が実力があるとしても卒業をかけた試験なのですから、なるべく準備をしておくべきですわ」


小言を言いながら寄ってきたのは同じ魔法科の少女セレナだ。彼女は、小さな頭に大きな目、ぷっくりした唇と整った顔立ちに黒いストレートの髪を腰まで伸ばしたパッと見可憐な少女だ。

ただし、可愛いのは見た目だけで、中身は正直うるさい。いいやつなんだけど、細かいというか真面目というか正直俺とは相性が悪い。見た目は好みなのにもったいない。


彼女が卒業をかけた試験と言ったが、ここで少し説明しよう。

俺らが通うこの学校は未来の勇者を育成する戦闘を特化した学校でアシュトレイン学校という10歳から15歳の子供が通う学校で学科は俺らの所属する魔法科の他、騎士科、戦士科、レンジャー科がある。

魔法化は魔法を専門とする生徒、戦士科は槍もしくは剣を専門とする生徒、騎士科は戦士科と同じく槍もしくは剣を専門としてさらにマナーが加わっている。レンジャーはそれ以外を専門とする生徒に分けられている。随分大雑把に分けられてはいるが、授業は多くの専門分野に分かれていて、生徒は科に関係なく授業を受けることが可能だ。科は所詮簡単なクラス分けみたいなものだ。途中で適正があるのならば転科も可能である。

ただし、最終学年までにどれかの分野を極めなくてはいけない。その結果が卒業試験で試されるのだ。

卒業試験はそれぞれの所属する科の専門分野を試される。俺ら魔法科は魔法を使いこなせなければならない。

勿論他にも座学があるが、試験の難易度は比べものにならない。もしこの試験で合格することが出来なければ卒業が認められず、下手をすれば退学になる場合もある。その代り、無事にこの学校を卒業できれば就職に有利とされる。最初に未来の勇者を育成と言ったが、勇者とは昔、神様から祝福をもらい世界を救ったとされる英雄伝説で実際は勇者という職業は存在しない。ま、夢のファンタジーだな。


「ちょっと聞いていますの!?」


「聞いてる聞いてる。今更騒いだってしょうがねーし」


正直聞いていないが問題ないだろう。



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