7/20
ドライなのかな
まさに乙女という名前が似合う彼女は、ちょっぴり恋に関してうるさい。
私が恋した事がない事を教えた時なんか、軽く失神しそうになってたくらいだ。
しばらく沈黙が続き黙々と家路につく中、先に口を開いたのは日向だった。
「……こうして二人で帰るのも最後だね」
今までと異なり、暗い声を発する日向に目をやると、少し涙ぐんでいたようだった。
今日は卒業式。つまり二人で帰るのも今日でおしまいだ。
「そうだね」
私も同等に声のトーンを少し落とした。
――が、正直日向のように泣きそうにはなれなかった。
勿論、日向が嫌いってわけではない。大好きだ。
でも一生のお別れでもないし、家も近いんだから何も別れ惜しむ必要はない。
寂しいと言えば、私が少しいい所の都立高校に合格したため、あまり日向と会う機会がなくなるぐらい。
でもそんなのLINEも電話もすればいい話。
それでもしゅんとする日向の頭を、私はよしよしと撫でた。
私って、意外とドライなのかも。