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出し過ぎ注意
「皆さ、結局は誰でもいいんだよ。きっと彼氏彼女の肩書きが欲しいだけ」
呟くようにそう言うと、勢い良く日向が顔をあげた。
ポソリと言ったつもりだったのに、聞こえていたのかとぎょっとして日向を見る。
「そんなわけないじゃん!!」
声を張ってそう言う日向に、まずいと思って周りを見渡したけれど、人影はなかった。
日向はというと、周りの事なんかどうでもいいようで、興奮しながら話を続けていた。
「好きだ、この人と付き合いたい、って思うから告白するんだよ!誰でもいいわけないじゃん!!」
そう叫ぶ日向。
ダメだ、完璧に興奮しきっている。
人がいないとはいえ、住宅街で大声を出したら近所迷惑だ。
私は口に指を立てなだめると、日向は我に返って軽く謝った。