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覗きはいけません
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「舞桜、さっき告られてたっしょ」
家に帰る途中、親友の日向が突然そう言っ た。
突拍子のない言葉に驚き日向に目をやると、日向はニヤニヤ笑いながらこちらを見上げていた。
「いいねぇ、モテる人は。卒業式に告白されるとか、ロマンチック~」
そう言うと、日向は更に笑みを深めて私の腕を ツンツンっと肘で押してきた。
……いつみてたんだこの人。
――今日は、私の通う中学校の卒業式だった。
確かに私はその帰り際に呼び出されて、同じクラスの男子に告白されたけど……。
その時は日向に待っててと言ったはずなのだ が。
「まさか、覗いてたのー?」
私は日向の手を退けると、その童顔を軽く睨み つけた。
日向は悪びれる様子もなく、ヘラっと笑う。
「嫌な言い方しないでよ。見てないけど異性を呼び出す理由なんて一つしかないでしょ?」
独特の砕けた口調で話しながら続ける。
「まあ、どーせまたふったんでしょ」