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興味ないんです
私は、恋というものがよくわからない。
「夏川さんっ!好きです、付き合ってください!!」
このクラスメートの山田?山本?
さっき呼び出されて、私はこの人と共に屋上に来ている。
深々とお辞儀をされ、すっと右手を出された。
これは世で言う告白なのだろうが、私はそこでドキドキも、嬉しさも微塵も感じない。
俯いた顔まで確認できないけれど、髪から除く 赤い耳は可愛いどころか、
タコだ。
としか思わない。
反応に困った私は、できるだけ優しい笑みを浮 かべ、ぶりっこして可愛い声を出し、こう返した。
「顔上げて。
私恋愛とか興味ないの。だから付き合えない。ごめんね?えーと、山田君」
私がそう言うと、山田君は少しだけ目を潤ませてゆっくりと顔をあげた。
そして、
「………吉野です」
とだけ弱々しく言うと、どこかへ消えてしまっ た。