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胸を張って
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あの人………かっこ良かったなぁ……
電車から降りてからも、私はあの人のことをずっと考えていた。
残念ながらたくさんの人混みのなか、あのイケメンを見失ってしまった。
あの人の事を思うと胸がドキドキするのは、やっぱり私が恋しているからなのだろうか。
初めて味わうこの感じがうれしくて、私はむんと胸を張った。
そんな事を思いつつポテポテ歩いていると、すぐに鎌津高校へ到着した。
校門には沢山の人が賑わっていて、受付の人や先生と思われる人がガヤガヤと集まっていた。
うう〜、緊張する。
やっぱり知っている人は全くいないみたいだ。
中高一貫校だし、結構女子はグループができているようで、一人ぼっちなのは私ぐらい。それが恥ずかしくて私は少しだけうつむいた。
……いや。ここで縮こまったら本当に一人ぼっちになってしまうかもしれない。
楽しい学校生活を送るんだ。
私はせめてもの気持ちで顔をあげ、背筋をぴんと伸ばした。




