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第五十話、訓練は隠れて夜中がいいんですか?

 さて、色々言いたいことはあるが、とりあえずMPも5に増えてスキルが幾つか解放されたことだし、一寸使い勝手を確かめておかないとな。


 夕方からは柚子との約束がある。立場柄学校はサボるわけには行かない。

 だから、この時間な訳だ。


「二時間くらいしか寝てないな……いや、早く終わらせて寝ればいいんだ」


 なんか、試験前みたいで……何でこんなゲームに生活使ってるんだろう?


「ま、いいか。楽しければよしってな」


 さ、とりあえず解放されたスキルは……。


「複製、超音波、スタンガス、か。他は武器制限があるから使えないな」


 複製はそのまま、5秒間だけ対象を複製させるスキル。

 継続時間もスキルレベルによって伸びそうだから、使えそうなスキルではあるんだが……。


「如何せん俺に複製してまで必要な物がないな。武器もメリケンサックだし。クロウって複製可能なのか?」


 敵やパーティーメンバーや武具とかも複製出来るなら兎も角、今の俺には必要性の薄いスキルだな。


 じゃあ、次は超音波か……初の遠距離攻撃なんだが……。


「威力が30%か……普通なら許容範囲なんだろうが、全MPを消費してまでやる価値があるかどうか」


 しかも、この超音波が対象が個人か、複数かでまた使い勝手が変わってくる。


「これは要実験だな」


 思い立ったら即日実験。


 街を出て、その辺のラビット二体に対して使ってみる。


「位置は……難しいな。出来るだけ近付いているときで、巻き込めるような位置関係を作らないと行けない……」


 ぴょんぴょん飛び跳ねて移動するラビットに対して、慎重に機会を見計らう。


「今だ! スキル、超音波!」


 それっぽく指を差し向けてスキル発動を促す。


 すると、俺のその指先から小さな金の輪っかがいくつか現れ、ラビットに向かっていく。


「あーやはり一匹だけか……なんかあれ、何処ぞのモアイが吐きそうな攻撃だな。音波ってああやって表されるんだ……」


 ダメージ自体は大したこと無いので(攻撃力4の30%だから1)、そのままリンクして俺に向かってくるラビット二匹。


 まあ、その戦闘についてはいつも通りなので割愛する。


「悪くはないが、今の全MPを使う価値はやはりないな。闇属性だっけ? それを生かす場があれば別だろうが……それに、俺にはクロウがいるしな」


 だが、指から出たのは俺がそう思ったからなんだろうか?

 だとしたらおもしろいな。


 スキルとしては使いにくいが、もし俺の認識や想像力がスキルのあり方を変えられるなら……実に面白い。


「もう一回やってみるか」


 ヒーリング。


 ああ、ウネウネミミズがくねってるのを見ながらヒーリングなんて、回復するこの電子データが憎らしい。


「よし、じゃあ、対象は一人だしこのままあのストーンイーター行ってみるか」


 さっきは指から出たから、今度は……口だ!


「スキル、超音波!!」


 ホワーー!!


 出たよ! 口から!


 変な輪っか。


 これはこれは……太刀筋の決まってる武技より、全然応用効くじゃん!


 ミミズさんは早急にご退出してもらったので、ここの記述もしません。


「手、口が可能だったんだ……もしや、全範囲に放出する事も可能なのでは?」


 思い立ったら即実験。


 早速ヒーリング。


「結局個人にしか当たらないなら、不作為に放てても意味ないかもしれないけどさ……」


 ま、もし出来たら、動きの早い奴に適当に当てるには丁度いいかもしれないな。


「じゃあ次は……お前だ! 蜂さんや」


 飛んでるビーは丁度いい。


 石つぶてを投げて、気づかせる。


「よし、来た来た……じゃあ、全身から超音波が出る事を意識して……スキル、超音波!」


 おお! 出たよ、体中から音波の輪っか……見た目気持ち悪い。

 出した本人が言うんだから間違いない。


 しかも、とんでもなくダメージ低いな。


 構わず体当たりを敢行してきたビー。当然回避して踵落とし。


 その後は……言わずもがな。


「出来たな……ん? 通知……スキルか……って音波壁? 今の体から出した奴か?」


 実験で対象に上がったからスキルを拾得する。


 これはこれで正しいのかもしれないけど……OOとしてはやっぱりおかしいよな。

 ま、今の俺には恩恵だから、使える内に使わせてもらうか。


スキル

音波壁、レベル1

闇、音波属性

消費MP5

継続時間5秒

継続時間内に敵が近づいた場合、自動で10%威力の闇属性の音波攻撃を行う。

このスキルは対象の攻撃に対して防御を行う物ではない。


 なんか途端に便利なスキルに早変わりだな……あれ、俺そう言えばそんなスキルが変わるスキルを持ってたような……そうだ、魔人の才だ。


 でも、進化って言うより新しく拾得したけど?


 ま、いいか。


 うん、で、後がこれか。


「じゃあ、最後……スタンガスか」


 これもきっと俺のイメージでガスを発生させる場所が違うはず。

 実際口からボワーとかやってやれない。


 でも、ガスだし、手からシャワーみたいに出したり体中にまとわせるとかかな?


「さ、思いついたら早速試しましょう」


 これは流石に複数対象だろう? またいい所にウサギさん達が……じゃあ、お付き合い願おうかな?


「まずは手に……スキル、スタンガス……と、来た来た……手がもくもくしてるな」


 じゃあやるか……この右手に宿ったスタンガスを火炎放射をイメージして……発射!


 それは正にイメージ通り。


 俺の手から放射状に広がっていき、ラビット達を飲み込んだ。

 そしてガスは即座に晴れる。


「成る程……ガスもスキルだからあんなに緩やかな展開を見せても、一瞬で消えるのか」


 で、観察する。


 と、すぐに動き出すラビット達。


「スタンしたのか? いや、動かなかった時間はあったから一応スタンはしたか。時間が短い?」


 きちんと数える暇が無かった。


 ラビット達はこちらも丁重にお帰り願って、再度ヒーリング。

 今度は時間もそうだが、体にガスを纏ってみよう。


「頭突きは3秒固定スタンとか言う滅茶苦茶な性能だからな……ちと期待しすぎたか?」


 MP回復後、今度は先程の超音波と同様に、体中にスタンガスを纏う。


 丁度いたゴブリンが対象です。


「ギギャー!」

「おお!? そうか、これも音波壁と同じか……」


 手にした錆びた短剣で切りかかってくる。反射的に身をかわすが、それが功を奏したようだ。

 短剣は止まることなくそのまま俺の居た場所を通過した。


「スタンはする……時間は1秒って所か。で、行われてる攻撃は止まらない……これが防御ではないって意味か……」


 ゴブリンも居なくなってから、新しいスキルを確認する。


「スタンカウンターね。意味合いも音波壁と同じだな……」


スキル

スタンカウンター、レベル1

無属性

消費MP5

継続時間5秒

継続時間内に敵が近づいた場合、自動で10%の威力の無属性のガス攻撃を行い、1秒間スタンさせる。

このスキルは対象の攻撃に対して防御を行う物ではない。


 と、言うような勝手のいいスキルだ。


 だけど、同じようなスキルが二個あっても使わないよな。


「どうせなら、魔人の才で一つのスキルに進化すればもっと使い勝手よくなるのに……」


 なんて言ったからだろうか?


 説明を呼んでる途中の、スタンカウンターが消失した。


「はい? 何、何で説明消えたの?」


 意味が分からないので、もう一回スタンカウンターをみる……と、スタンカウンター自体がない。

 何で?


 あれか。二個もいらないとか言ったから罰が当たったのか!?

 マジか?


「じゃあ、音波壁は……ってこっちもないし……口は災いの元ってか!?」


 俺、見張られてるのか? なんかOOの神にでも……無駄にマイナス思考になりながら、所有スキルを見回す……。


「ん? 何これ?」


 何なら初めてみるスキルがある。


「アーマードカウンター?」


スキル

アーマードカウンター、レベル1

無属性

消費MP5

継続時間10秒

継続時間内に 2 m以内に敵が近づいた場合、自動で 30 %の威力の無属性の魔力攻撃を行い、2秒間スタンさせる。

このスキルは対象の攻撃に対して防御を行う物ではない。


 なんですか、これは?


「遠距離攻撃のスタン付与つき? どっちのスキルのいいとこ取り? これって……」


 まさか、さっき俺が魔人の才を口に出したからか?


「いや、んなわけないよな……同型のスキルが出来たから偶然だよな? ……勿論、試してみるけど、成功はしない……よな? スキル、魔人の才、発動」


 音波壁とスタンカウンターが一緒になったなら、これが想像通りなら、前段階のスキルの超音波とスタンガスも出来るはず。

 そう思い、二つのスキルを考えてみる。


「ん、今のは……」


 そしたら、頭の中で何か一つの事を成し遂げた一体感のような物があった。


「……出来てる……チャクラム……いいのか? こんな弱スキルにそんな大層な名前付けて……」


スキル

チャクラム、レベル1

神聖属性

消費MP、5

威力50%

追加効果スタン、2秒


 うん。名前負けこそしてるが、このランクのスキルを考えるとあり得ない強スキルだ。


 考えて実行出来たことを考えると、やはり魔人の才か……。


 これは今あるスキルを使ってどんどん実験していかなければな。













 さて、早速ある程度の法則がわかりました。


 1、まず、ある程度近い性能でないと融合は出来ない。

 飛び道具のチャクラムと、近接スキルの突撃とかみたいにスキルがかけ離れてると駄目って事。


 2、消費MPが同じでなければいけない。

 特別説明の必要はないよな。これは突撃と頭突きが進化出来なかったから。


 3、ステータスアップ系はいじることが出来ない。

 これも試した結果だ。出来なかった……もしかしたらステータスをアップさせるスキルなら出来るかもしれないが、今は検討する事すら出来ない。


 4、召喚獣はこの対象にならない。

 クロウがスタン憶えたら無敵だな、と思ったんだが無理だった。

 そうだよな。確か、幻獣ってOOだと神聖な物として扱われてたはずだし、まあ、普通に考えて人型を合成的な物にはさせないよな。


 5、特殊なスキルはいじれない。

 これは魔人の左手が頭突きや突撃とかと進化出来なかったからだ。


 今の所この五点が大前提みたいだ。


 これって、結構魔人の才を使う順番が重要な気もする。

 パズルか!


「で、結局他に出来たのは……」


 突撃と叩きつけるで、突進。


 足払いとピアースとスラッシュで、一閃。


 で、残ったのが、二段斬りと頭突き、複数か。

 後は自動発動系の猪突猛進と、毒耐性。


 一閃か……懐かしいな。前ジェイルの奥の手だったな。

 ピアースが素体になったからか、防御無視になってる。

 それに、槍と剣のスキルだったからか、装備制限がその二つだ。


 槍で一閃って……広範囲だなぁ。


 突進って……イノシシか、俺は。


 とりあえずそれらも練習して……しかも、この後俺は最大の発見をした。


 これで俺も奥の手を手に入れた。


 夕方が楽しみだ……まだ30分は寝れる、よし、寝よう。

 そんなモンスター虐待とも言う訓練を行った夜中であった。

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