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第四十九話、油断と切り札と時々うさぎですか?(3)

「あのさ……微妙に不具合? が生じたんだが」


 美玲の屋敷でお茶を飲みながら一言。


「不具合って、OOでですか?」

「勿論」

「どんなのだ? お前が言う位だから、よっぽどの事だと思うが」


 最大の疑問はあるが、他にも幾つか疑問に思ったことも同時に言っておくか。

 その方が後腐れないだろうし。


「まとめて言うぞ。まず、ちゃんとしたことをして適正なスキルを覚えるようになった。今まで無かったんだが、これは何か変わったのか?」


 スキル、気配遮断を会得したときの事を話す。


「そんな変更聞いてないな。美玲は?」

「私も知りません。愛さんはどうですか?」

「いえ、生憎ですが……そのような話は恐らくプレイヤーの間にも無いのではないかと愚考いたします。こちらは確認しておきます。他にもございますか?」


 誰も知らないって事はバグか? ま、勿論他にもあるから続けさせてもらう。


「これはコピースキルの魔人の左手関連だから何とも言えないが、ステータスアップ系のスキルがレベル標記になってて、レベルが上がると能力値があがったんだ」


 スキルのMP+の量が増加したことを説明。同時に使用した事で上がった為、これも適正なレベルアップであることを同時に話す。


「後、コピーしたスキルに、説明外の追加効果が付与されてた」


 これは頭突きにスタン効果があること。


 しかも、格上でも必ず3秒固定で発生する絶対スタンであることを。


「3秒って……いやいやいや、長すぎるだろ!? そんな長いスタン初めて聞いたぞ」

「それもですけど、ステータスもレベルになってるなんて、他ではないですよ。私も魔攻+のスキルありますけど、増えたりしないですし」

「……ふむ。他には御座いますか?」


 ん、一番重要なのがある。


「うん。これが一番なんだが……MPがレベルアップで5になったんだが、ドライアードが召喚出来ないんだ」


 そう、まずそれを目標にやってきたんだが、何故か黒字で標記されており、選択出来なかったんだ。












「スキル、頭突き! 魔人の左手! ららららっ!」


 近づいてきた鈍器を持ったゴブリン調査隊に、跳び蹴りと共にスキル頭突き。


 そして、早速魔人の左手を叩き込む。


「あたぁ! あたぁ! ほわちゃぁ! よし!」


 打ち込んで即逃走を開始する。


 どうせ倒せない格上なので、スキルさえ打ち込んだら逃げてタイミングを見計らう作戦を行っている。


 スタンの効果が切れる前で、尚且つ他の二匹のゴブリンご来る前ならなんとか気づかれず撒く事が出来るのだ。 


「………………………………」

「ギギ!!」

「ギガヴ!」

「ガガギャウ!」


 隠れる場所ももう決まっている。


 少し戻ったところに二つに分かれている路地があり、左の通路に絶好の潜伏ポイントがあるのだ。


「よし、行ったか」


 そのままヒーリングに入る。


 回復したらクロウを召喚。ゴブリン戦で囮に使わなければならない為、フルで喚び出す。


 MPが足りないため、ヒーリング後更に喚ぶ、


 そして、またヒーリングする。


「レベルは上がらんが、スリルもあるしスキルももらえるしで、ウハウハですな。これがウィンウィンの関係って奴か」


 そんな事を永遠と続けた。


 流石に腹が減ったと思って時計を確認すると、既に開始から12時間経過している。


 この集中力を別の何かで生かせれば、もっと人生代わったかもしれないな。


 ……天上院の婿ならこれ以上はないのか?


 ま、細かくはいいや。


 とったスキルを確認しておくか。


 初めにコピーしたのが、足払いな。で、その後が確か……剣を持ってる奴を優先したから、二段斬りとスラッシュ。で、次が槍の為、ピアース。最後が棍棒タイプだったから、攻撃+1、と叩きつける、だった。


 全員が覚えてるのに、魔防+は覚えられない。


 変な所で運が悪いと言わざるを得ない。


 時間も時間だから、とりあえず終了するか。いや、最後にもう一回やるか。


 ヒーリングが終わった俺は立ち上がると、そのまま繰り返しのゴブリン道場に向かった。














「それ、魔人の左手! 左手! 左手! ……ん? MPが余る……レベルアップか! よし、魔人の左手! ……!! キターー!!」


 そして暗転する世界。


 視界はミカールの街の市街。


「帰るつもりだったからいいが……油断したな」


 帰りは道が長いため、どの道死に戻りで帰ってくるつもりではいたんだが……なんか最後にけちが付いた感じになったな。


「だが、ついにきたか……MP5! どれだけこの日を待ったか……」


 コピーのスキル群もMP5からが幾つもあるし、何よりMP5からは幻獣ドライアードを召喚出来る!

 出来るって言うか、早速喚ぼう。


 まるで3分しか存在できない某ヒーローのように、左手を高くあげてスキル発動を行う。


 ユンは普通に召喚していたが、俺は念のため街の外に駆けるように移動してこらだ。


 そして沈黙。


 なにも起こらない。


 そして、街の外。俺は小首を傾げている。


「……出てこない。スキル、召喚、ドライアード! ……やはり出てこない」


 MPは足りてる。ちゃんとスキル発動のやり方も他と変わらずやってる。

 でも、こない。

 マニュアルでやってみるか。 


「目標をセンターに入れて……メニューをスキルにカーソルを合わせて召喚……項目をドライアードに合わせて召喚……むう、選択できない、だと?」


 これは一体……やはり、無理に別キャラのスキル……召喚をぶっ込んだからバグったか?  


 意味が分からないので、永遠と同じ動作を繰り返し続ける。が、やはり結果は変わらない。


「こんな時に誰にも連絡が付かないなんて……俺ではわからんな。ログアウトしたら聞いてみるか……」


 残念ながら……非常に残念ながら、俺は失意のままログアウトする事にした。


 後、魔防+1も憶えました。 

 ミッションコンプリート!










「と、言うことなんだ」

「長い、話が! 別にゴブリン一体一体の口頭描写なんていらないから!」

「だが、お前、止めずに聞いてたじゃないか」

「その中に問題があると思ったからだよ!」

「まあまあお兄さま。純也さんのお話は聞き応えもあって、とても楽しいんですからいいじゃないですか」


 そういってくれるとうれしくなっちゃうな。よし、頭を撫ででやろう。


「えへへ……」

「みれい……まさかそれが目的か……我が妹ながら、恐ろしい子……」


 翔……気持ち悪い~ハンカチを噛みしめるな。


「純也様。純也様の御意見、確かに不具合と言って差し支えないかと思います。早急に確認して、然るべき処置をとらせる事としますので、純也様は変わらずOOをお楽しみください」

「まあ、今までのやり方をする分には変わりないしな……ん、わかった。芽依もよろしくな」

「直接純也様に影響がでている物は少ないようで、、しかも、メリットとなっているものも多いご様子。問題ない物はそのままでも?」

「そうしたいと思わなくはないが、やはりそれが大きなバグを生むかもしれないし……やはり全て修正して構わないよ。芽依、期待してる」

「はっ! お任せくださいませ。天上院家、筆頭メイドの相沢芽依の名に賭けまして、必ずやこの不具合を是正させて見せます」

「あ、ああ……ほどほどにな」


 敬礼!?

 なんか物凄くやる気なんだが? ネタ? なんかのネタなのか? あまりの超反応に俺が一寸引いてしまったがな。


「それにしても、純也さんはやっぱり凄いですね。結局、レベルが6も上の相手にそんなに出来るなんて。しかも、結局スキル全部憶えちゃうなんて」

「10時間位だよな? 無理だろ、普通! だってどれも確率10%台だぜ!? このラッキースターめ……」


 そう言われても出来た物は仕方ない。それに、ラッキースターってどういう罵倒だ。


「そう言えば柚子がカードサマナーとか言うジョブになってたぞ……」


 後は簡単な近況報告で時間は過ぎていった。

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