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第四十九話、油断と切り札と時々うさぎですか?(2)

 苦労しました。


 まず俺がやられた場所がわからず、記憶の頼りに適当に右往左往。

 対複数のモンスター戦は、それだけで俺終了の可能性を秘めているため出来るだけ隠密活動に尽力する。


 以上の事を繰り返しながら進んでいった結果……スキル、気配遮断を拾得しました。


 意外は意外なんだが、普通に普通のことをして予想されるスキルを覚えるなんて……なんか、OOじゃないみたいだな。


 で、結果件の場所までたどり着いた。


 名称は子鬼の里と言うらしい。


 子鬼ね……そりゃゴブリンしかでないわけだ。


 小鬼って、もろゴブリンのためのフィールドじゃないか。


 どうもスキルの影響はかなり大きいらしく、ゴブリン達は隠れながらだが、真横を通過しても、全く俺に気が付かなかったりする。


 いやいや、迷って良かった。まあ、時間はその分かかったが。


 さて、まずは敵情視察。適当に動き回り、フィールドとロックリザードの分布地帯を把握する。


 やはり数は少ない……だが、結構ゴブリンから離れた場所に生息しているようで、無駄に連戦にならなそうなのが助かる。


 バットの時のように周回ルートを作った俺は、まず目の前にいるロックリザードを相手にする。


「油断は捨てた。クロウ、行け!」


 まずはいつものようにクロウ達を差し向ける。


「さて、ここで一気に、油断なく攻め立てる!」


 俺も駆け寄って跳び蹴り。気配遮断のお陰でギリギリまでばれない。

 そして、そのまま踵落とし。頭の下がったところでしゃがみながらの足払い。


 これでロックリザードは横向きに倒れ込む。以前はここからスタンガスが飛んできた。

 だから、最後までその口からは目を離さない。


 横から更に蹴りつけて、仰向けの姿勢にしておく。


「スキル、魔人の左手!」


 そしてスキルと共に殴る。殴る。殴る。


 MPが無くなった……一回距離を取る。


 ダメージは大したこと無いが、あいつは起きあがれない。

 クロウがチクチクとダメージを与えている。


 そして、MPの回復した俺はがっつりとぶん殴っていく。


「くるか? 同じ手は二度は食らわんよ」


 口を開いて吐き出されたスタンガスをバックステップで回避する。

 クロウ達は一気に落とされてしまったが、再度召喚して続ける。


「ほっさほっさ……あたたたたたたたたたたたたたたたた!!」


 殴る蹴るの暴行を繰り返したあと、最後に助走からの踏みつけでフィニッシュ!


「そして、スキルゲエエエエエエエット!!」


 早速確認……って、いきなりスタンガスかよ!?


「俺リアルラック高すぎだろ!」


 ま、消費5じゃまだ使えないが。今のMPは4なんだから。


「ん? 4?」


 いやいや、俺のMPは3だし……なんか見間違えたか?


「MPは……4? やはり4だな。どうしたんだ? なんか上がってるんだけど。なんかスキルコピーでもしたか?」


 急いで確認。


 …………………………………………ん?



 MP+1が、レベル2になってMP+2になってる!?

 ステータスアップ系のスキルってレベルあるのかよ!?


 俺は願ったり叶ったりだが……マジか!?


 よっしゃ! 経験を積めばよりレベルが上がるはず。

 なら、どんどんMPを使っていくぜ!


 スキルを取得した俺がどのモンスターを襲うのかなど最早関係ない。


 心の内に芽生えた、目に付いたモンスターの殲滅指令をこなしながらがんがん進んでいった。










 ゲットしました。


 頭突き。


 早くね?


 頭を使って使用するスキルなんて……使い勝手良くないスキルだな……と思っていた頃がありました。


「クロウ!」


 四匹のクロウをゴブリン村民兵に襲いかかる。

奥に向かって歩いているので、今までより高位のゴブリンが現る。


「的確にクロウを狙おうとしてるな、あの竹槍」


 手にした竹槍を振り回したり、突いてクロウを仕留めていく。


「だが……俺が全くのノーマークなのは変わらないな」


 気配遮断が発動しているのを自覚しながらゴブリン村民兵の背後に回る。


「さて……スキル、突撃!」


 俺は体毎ぶつかっていく。


「ぐきゃ!?」

「ここで、スキル、頭突き!」


 頭突きを受けて硬直するゴブリン村民兵。 


「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 両手でゴブリン村民兵のボディーを力一杯ラッシュする。


 そして3秒……。


 動き出した瞬間に足を払うことで、その動きを封じる。


 実際には足払い、踵落とし、サッカーボールキックと続けて蹴り飛ばす。 


「グギャァア……」

「ん、これはいい」


 そしてそのまま消滅したゴブリン村民兵。それを尻目に俺はヒーリングに入る。


 さて、わかっただろうか?


 なんと、スキル頭突き。これにもスタン属性がついていたのだ。

 しかも、時間は固定の3秒。MP消費は1と言う燃費の良さ。


 何故? こんなのスキル見た時は書いてなかったのに……適切なスキル拾得といい、なんか、最近おかしな事が続いてる感じがするな。


 今度聞いてみるか。


「だがそれはそれ」 


 今はこの二つの恐ろしく性能のいいスキルを武器に、ユンに立ち向かうしかない。

 これなら役立たずや寄生などと言われないだろう。


 気が付くと散発的にゴブリンが集まっている広場に出た。


 3匹か……動く様子もないな。あれは一寸無理か。しかも、あんなに開けた場所じゃあ隠密的な活動で奥の通路に向かうのも無理そうだな。


 しかも……なんか一寸強そうなゴブリンだし。


 ゴブリン調査隊か。どうみても格上だし。

 俺、あれからレベル上がって14になって、ここの敵は大体行けるようになったんだが……レベルが違いすぎるな。


 あの道を守ってる、と考えてもいいのかな?


 上位個体のようだし、別のスキル持ってないかな?

 まずはあのボロボロのロングソードみたいなのを持ってる奴。





ゴブリン調査隊、レベル20

所持スキル

凶化(0%)

(怒りと共に攻撃力を増加させ、防御を低下させる。攻撃力130%、防御、魔防30%低下)


スラッシュ、レベル3〈8%〉

(片手剣スキル、145%)


二段斬り、レベル2(5%)

(片手剣スキル、110%)


魔防御+1(10%)




 これは……まさかの所有してる武器に沿ったスキル……。


 しかも、凶化が内容が変わってる。更に種族特有? みたいになってるから、俺には関係ない! これはでかい。


 じゃあ、棍棒みたいなのを持ってるあいつは?


ゴブリン調査隊、レベル20

所持スキル

凶化(0%)

(怒りと共に攻撃力を増加させ、防御を低下させる。攻撃力130%、防御、魔防30%低下)


叩きつける、レベル3〈7%〉

(鈍器スキル、160%)


攻撃力+8、レベル2(3%)


魔防御+1(10%)




 こいつも凶化がコピー出来なくなってる。


 よし! いいぞ、ナイスだ!


 スキルも攻撃力アップか……武器が大したものを装備出来そうもない俺には願ってもないな。

 じゃあ、最後のブロンズ系と思われる槍を持ってる奴は……。






ゴブリン調査隊、レベル20

所持スキル

凶化(0%)

(怒りと共に攻撃力を増加させ、防御を低下させる。攻撃力130%、防御、魔防30%低下)


ピアース、レベル3〈10%〉

(槍スキル、130%)


足払い、レベル2(8%)

(槍スキル、110%)


魔防御+1(10%)





 予想通りです。


 ランクの高いゴブリンならスキルをいただける!


 でも、あの密集地帯はなぁ。


 どうみてもあれにちょっかいだしたら、皆まとめて襲ってくるだろ?


 あんなにスキルがまとまってあるの初めてだし、なんとかいただきたいなぁ。


 ま、駄目なら死に戻りでもいいや。


 いっちょやってみっかぁ。

 

 クロウもレベルが上がって6。相変わらずステータスは凶化されず、召喚数が6匹になった。

 より頭がよくなったみたいで、指示さえ出せば個々の自立戦闘可能になりおった。


「調査隊だからか? 向き自体は変えて周りを見てる……いけるか?」


 クロウを一匹派遣する。そして残り二匹がそっぽ向いてるタイミングを見計らって、棍棒を持ったゴブリン調査隊に急降下させる。

 

「グギャ! ギャギャ?」

「ククグ」

「ギギギ?」


 駄目か? ……いや、二匹はクロウを狙ってるような感じだな。


 なら、クロウに残りを攪乱してもらうよう指示を出す。


 さて、一番初めに俺に向かってくるのは……棍棒使いか。


 次に一匹のクロウを棍棒使いに派遣。


 殴ってる間に俺も跳び蹴り。そして、頭突きをかます。


「貴様のスキル、いただきます!」


 残りの全てのクロウも一緒に襲いかかる。


 俺は魔人の左手で殴り、MPが尽きたらそのまま時間までラッシュ。

 今までと同じように、時間終了と共に蹴り飛ばす。


「ギギギ! ギギギ!!」

「おわっ!」


 起き上がりと一緒に、槍を広域に振り回してくる。

 急だったのでそのまま足に当たってしまった。


 そして視界は暗転。













 ここはミカールの街。


 周囲の様子を見て、やられたことを自覚。溜め息一つ付く。


「あれが足払いか……やられたな。モンスターのあんな明確なスキル発動は初めてだな」


 今まではそれっぽいのがあるな、位にしかわからなかったのに。

 ラビット系の突撃やロックリザードのスタンガスしかり。


 やはり人型は油断なら無い。


 それが俺の今回の収穫であった。


 だが、俺の一日はまだ終わらないぞ! 絶対にあいつらのスキル群をいただく!

 そのためなら何度死に戻っても構わない!


 どうせ、この後の時間をロックリザードに使おうと思ってたんだ!

 さ、俺のターンはまだまだ終わらないぞ!


 俺はミカールの街の出口へと歩き出した。


 因みに先ほどの戦闘で、足払いを手に入れました。

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