表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/97

第四十八話、カードゲームは連携が命ですか?

 柚子にはオンラインオンラインの事も全て余すことなく説明した。


「はぁ~そんな事確かに人には言えないねぇ」

「わかってくれるか妹よ」


 そんな感じで簡単に納得してくれた……と、言うか納得せざるを得ないのだろうか?


 その場で芽依から言われた事。


「新しい街の名前が決まりましたよ」

「お、そうか。結構時間かかったな」

「それは、第一候補の方が辞退されましたので」


 そんな希有な奴がいるのか。


「お前だぞ」

「馬鹿言うな、俺達を選定する意味が全くないだろ」

「純也さんはいつも謙虚ですねぇ」

「兄さん……相変わらずです」


 そんなこんなで決まった名前は……。


「ベネトリアです」

「なんか聞いたことあるような、ないような名前だな」

「どっかの水の都市みたいだな」

「ピザが食べたくなってきちゃった」

「いいですね。今日はピザを焼いてもらいましょうか?」


 ピザって……もう11:30だぜ? 既に別のが準備してあるんじゃないのか?


 なんかいつものようなグダグダ感に、柚子が上手く入れたようで良かった。


 街の名前より、そっちの方が興味の関心レベル重大! って感じだった。











「はい、確かに。クエスト、畑を荒らす不届き物を倒せ、のクリアを確認しました。こちらが報酬の115ゴールドです」

「ん。無事落ち着いたな。今日はどうする?」


 クエストをこなして、所持金を増加させたユンに話しかける。

 俺、もう居なくてもいいのか?


「駄目だよ、兄さんはまだ一緒に居てね」

「……エスパー?」

「兄さんが読みやすいだけ。今みたいに一緒にレベルも上げられるクエストないかな?」


 ラビットがまだ適正だし、また同じ依頼受ければいいんじゃね?


 そんな感じに平和だった。


「マリアはログインしてないか……流石に昨日の今日じゃ無理だよな?」


 恐らくこってりご家族様に絞られているであろう我がフレンド様に、ショートメールで安否確認だけしておく。


 柚子いるからな、一緒にやれるよう頑張らないとな。


 まずはウサギ狩りの開始だ。


 俺は索敵を開始した(この位しか仕事がないから)












「……よもやここまでとは……」


 自動で動くメルクリウスを一寸侮ってた。


 汎用性ありすぎる。


 街から喚び出して連れてきたメルクリウスは、一撃でラビットのHPの殆どを刈り取っている。


 そしてトドメとばかりに追撃するラッキーラビット。


 そう、カードサマナーは複数の対象を同時召喚出来るのだ。


 これは召喚士にもなかった機能だ。


 時間制限こそあるが、MPコストさえ払えば複数召喚可能はこれまたとんでもないメリットだ。


 きっと制限はあるんだろうが、未だそこが見えない。

 短期決戦型だな。


「あ、メルクリウスが……」

「時間か……この辺は現状じゃあやっぱり不便だな」

「街の中からだから、時間大分減っちゃってるしね……でも本来の私じゃ喚べないんだから、使えるだけいいと思うことにするよ」


 ま、その通りだな。


 普通なら召喚した瞬間送還されるしな。


 レベルが上がってもMPは増えなかったし、もっと高レベルか、クエストみたいのでしか上がらないんだろうな。


「じゃあ、次行くよ。おいで、ラッキー」

「おう、頑張れ」


 やる気満々のユンに、パーティーメンバーじゃない俺はただ激励することしか出来なかった。
















「スキル、突撃!」


 俺は体を低くするとそのままストーンイーターにぶつかっていく。

 そして、そのまま両手でミミズを掴んで引っこ抜く。


 そしてそのままジャーマンスープレックス。


 仕上げは蹴りまくりで、大した動きをとるまもなく仕留める。


「さ、またヒーリングするか……ユンは……おおーあんな遠くに行ったか。一回合流するかな」


 とりあえず思っただけで、まだヒーリングの姿勢のままの俺。


 何をしてるかって? ただ待ってるのもあれだったんで、暇つぶしにスキルのレベルを上げてるのだ。


 上げられるのは突撃位しかないけど。超音波は消費5だからまたま使えないし。


 それすら一回しか使えないけど。こんな効率の悪いスキル上げないよな。


 ユンが俺を見て、大きく手を振ってる。一緒にラッキーラビットもぴょんぴょん跳ねてる。


 レベルでも上がったか?


「どうしたぁ!」

「……いさーん……て……さーい!」

「聞こえんがな」


 遠すぎたか。


 何かの喜びを伝えたいみたいなので、ヒーリングは途中で中断。

 ユンの元へ移動する。


「兄さーん! 早く、早く来てー!!」

「いや、ユンも一緒にこっちに来ればいいんじゃないか?」


 思っているが口には出さない。大人の良識ってやつだな。

 そらに柚子を呼ぶ位なら俺が移動するわ。


「はいよ、どうした?」

「兄さん、これ、見て、見て!!」


 予想以上に混乱状態だな。


 あ、ラッキーラビットが消えた。


 時間か。


 俺はユンに言われるままに、渡されたカードを見る。

 メルクリウスか?


「ほ、新しい奴か……今度は……またラビット? ま、でもおめでとう」

「ありがとう兄さん、でも違うの。それもあるんだけど、中身。スキルを見て! こっちが重要!」


 重要? まさかまたリンクバースト付きか? あれは初期召喚獣に対するボーナスじゃないのか?


 急いでこのノーマルラビットを確認する。


 ラビット

 召喚コスト5

 HP5

 攻撃2、防御2、魔攻1、魔防1


「やっぱりステータス的にはかなり弱体化してるな。しかも、消費5って、喚べないじゃないか」

「そこはいいから。早くスキル見て、スキル!」


 そうだな、フィールドのノーマルモンスターがあれを持ってるんだったら、ヤバすぎるしな。


 所持スキル

 突撃、レベル1

 ウェイトタイム、30秒

 威力、101%


 群れる力

 この能力はカードが手札内にある場合に限り発動可能である。

 フィールド上に「ラビット」と名の付くカードが存在している場合、このカードはコストなしでフィールドに召喚できる。






 うーん、本当にカードゲームの世界の記述だなぁ。

 リンクバーストじゃなかったのは安心したけど……これはこれでやばめなスキルだな。

 レベル標記がないって事はレア系のスキルだし。


「しかも、ノーコストって……ユン、今出来るか?」

「まだ試してないけど……やってみる」


 三枚になったカードを手にするユン。


 その姿は、本当にカードゲームをしてるみたいだ。

 ここだけゲーム違うんじゃないの?


「雰囲気だしてな」

「ええ~頑張る……おいで、ラッキー」


 カードの一枚が光に包まれ、ユンの目の前にラッキーラビットが召喚される。


「そしてもう一枚! スキル発動、群れる力! 私の前にラビットが存在する場合、このカードはMP消費なしで召喚される……ラビット!」


 全く問題なく喚び出されるラビット(ノーマル)。


「出来たな?」

「うん。出来たね」


 二匹のウサギがユンの前にいて、ユンを見つめてる。


 あーよく見ると微妙に二匹とも違うんだな。

ラッキーラビットは少し銀色の毛並みなんだな。並んで見比べないとわからないけど。


「とりあえず、おめでとう。これで楽になったな」

「へへ……つい乗っちゃったけど、やっぱり一寸恥ずかしいね」


 まあ、そんなもんだな。


 しかし、手札と来たか。やはりデッキとか手札とか枚数制限とか出てくるんだろうな。


 今は枚数が少ないから出てないだけか?


 全く今後が楽しみなジョブだ。


 本当に、もう俺必要ないな。そう思わざるを得なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ