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第四十四話、ともすれば何でもない1日ですか?

「……流石にマリアはインしてないか。明日は無事ログイン出来ればいいがな」


 インした所でレベルを上げるわけにもいかないんだが……。


 フレンドサーチでマリアの状況をチェックした俺は、ログアウトした場所、ダンダクール武具工房で見知らぬ親父に会釈をして工房を出る。


 俺は目の前に急に現れた不審者みたいに写るんだろうか?

 NPCだからまだいいが、ログアウトする場所は選ばないとな。


 そして、工房を出た俺は、ゴールドを貯める為にある場所へ移動する。


 そこの中はプレイヤーが溢れんばかりにいて、正直邪魔で仕方なかった。


「こんにちわ、冒険者ギルド、ミカール支部です」

「クラスFのジェイルだ。クラスFの討伐系クエストをソートしてくれ」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」


 受付に自分のランクを伝えて、スキル上げが同時に出来るクエストを調べてもらう。


 ここは冒険者ギルド。一般的に、クエストの受注や依頼を行う場所。


 新しい制度だが、うまく機能してる。プレイヤーに受け入れられてる。


 他のゲームと違って、珍しく一般のプレイヤーも依頼が行えると言うこと。

 報酬はプレイヤーが決定し、クリア時の取得経験値ない。


 なのでクエストの種類は三種類。


 NPCによるギルドに出された依頼・町や外でギルドを通さないで受ける依頼・一般のプレイヤーからの依頼だ。


 クラスはFから始まりSSまである。こなしたクエストの数やクエスト経験値でランクアップが決まる。


 俺やマリアはまだルーナルミナの依頼しか受けてないので当然Fである。


「お待たせしました。ジェイル様の現在受けられる討伐クエストはこちらになります」


 俺は出された依頼書を見る。


畑を荒らす不届き物を倒せ

クラスF

クリア報酬、50ゴールド……5体以上の場合は、1匹につき10ゴールド追加。

概要、ミカール外周に徘徊するラビット5体の討伐。


 これが一番優しい討伐クエストか。ラビットなんか、名も無き村でバンバン倒したっての。正に、初心者向けの依頼だな。


「問題ないな。じゃあ、これを頼む」

「はい、では保証金5ゴールドをお預かりになりますが宜しいですか?」

「保証金制度か。リアリティを出す意味で悪くないな。わかった、これでいいか?」

「確かに、5ゴールドお預かりしました。では無事お帰りになるのをお待ちしています」


 保証金の金額は一割程度か。高レベルになったら意外と馬鹿にならないな。

 金遣いは考えてやらないといけないな。


 カウンターで頭を下げる受付嬢と、実はずっといた沢山の色々騒ぐプレイヤー達。

 俺には関係無さそうな叫びだったので、全て無視して俺は冒険者ギルドを出た。









「クロウすらいらんな。メルクリウスが強すぎる」


 ラビットを一撃で斬り捨てながら、俺はルーナルミナに作ってもらったユニークの片手剣、メルクリウスを鞘に戻す。


 そもそも攻撃力が、メリケンサックの15倍の15だ。初級のモンスターのラビットなら1~2撃で倒せる。


 どうせ奪えるスキルもないし……魔人の左手も帯剣してると使いにくいし。


 まあサモンクロウで三匹のカラスも呼び出している為、撃破速度は早いが。


「敵が涸れちまったな。移動するか? いや、ここでのんびりしてるか? だが、別に疲れてないし、移動してもいいか」


 現在のラビット撃破数は既に8匹。報酬は80ゴールドだ。どこまでやれるかな。


 一応の目標のマリアの武器の鑑定資金5000ゴールドまではかなりあるな。


 適当に歩きながらクロウの自動サーチに頼って移動する。


「……ゴブリン? こんな町の近くに出るのか。スキル的に行けそうなのが出てきたな、いい感じだ」


 出てきたのは、棍棒片手の小柄な人型モンスター。

 相変わらずボロボロの服じゃのぉ。


 早速、スキルを眺めてみる。


ゴブリン、レベル8

所持スキル

仲間を呼ぶ、レベル1〈0%〉

狂化、レベル1〈1%〉

(バッドステータス混乱になり、攻撃力が10%上昇する)

HP+1〈10%〉




 マジか……こんな恐ろしい罠があるとは……。


 こんなパターンもあるなんてな。


 俺の魔人の左手は、何をコピーするかはランダム。

 基本スキルは自動で、その記述がないものは自分の意志でオンオフ出来ない。


 つまり、もし狂化を当ててしまったら俺は一生混乱状態になってしまうって事だろ。


 きちんと調べながらスキルを使っていかないとな。


 考えて見てる間も、当然クロウは既に襲いかかってる。

 問答無用で戦闘開始中。


「ギギ? ギシャー!!」

「まずは……強さを調べないとな」


 クロウを手にした棍棒で叩きつけようとしてるゴブリンに、正面からメルクリウスで斬り込む。


 空中に注意を向けすぎだろ。


 全くこっちみないじゃないか。


「ギシャ!?」

「流石に一撃じゃ死なないか。こんな町の近くでエンカウントして、初心者に倒せるのか?」


 俺の一撃はそのままゴブリンの右腕を落とした。同時にメルクリウスに設定されていた水属性ダメージが襲う。


 俺の一連の攻撃は、ゴブリンのHPゲージを半分位減らす。


 やはりメルクリウスは強すぎるだろ? いくらゴブリンがレベル的に格下とは言え、同レベル帯の武器じゃねえよ。


 しかし、怒りの声を上げるゴブリンは、落ちた右腕と錆びた短剣をそのままに俺に殴りかかってくる。


「うお!? 殴りかよ? 危なっ!? お前……手にした棍棒使えよ」


 呆気にとられて、ダメージを受ける所だった。俺はダメージ=必殺される立場なんだから、勘弁してくれ。


 回避でその場に潜り抜けた俺は、そのままメルクリウスを一閃。


 キレ味のよいメルクリウスは、ゴブリンの首を抵抗なく落とした。


 それで血が噴き出したりはしない。


 それをしてしまうと、犯罪に使われかねないため電脳犯罪法で処罰されるからだ。


 でも、剣で首が落ちるのはどうだ?


 刺激強すぎないか?


 ドロップアイテムは、錆びた短剣か。装備品? メルクリウス以外は、メリケンサックしかないし、サブとして持っておくか?


「ふう、倒したか。流石に首を落としても死ななかったらどうしよかと思った……と、何かのレベルが上がったか」


 スキルレベルアップの表示を確認。


 詳細をチェックする……と、サモンクロウか……サモンクロウは……また、召喚数が増えてるぞ。これで四匹目か。


 どんどん増えるな。


 早速喚び出す。


 周囲を飛び回るカラス達(オールステータス1)。


 軍団を率いて戦うのも悪くないな。


 例え全てステータス1でも、空を覆うような数のクロウが一斉に敵に襲いかかる姿を夢想する。


 つまり……俺はまだ強くなる!


「ふふ、ふはははははははは!! いける、いけるぞ俺は!」


 心なしか俺に連動するように動くクロウに、楽しくなって芸を教え込もうとしたのは内緒だ。


 因みにラビット撃破数はそのまま増え続け、合計230ゴールドゲット!

 ギルドに払った保証金も帰ってきたし、235ゴールドだ。


 なんだかんだで、俺の総所持金は326ゴールドになった。

 無駄遣いしてないはずなのに、何故こんなに少ない?

 皆そうなんだろうか?


 回復系のアイテム買わなきゃ良かったかなぁ?

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