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第三十九話、墓場での協議は何にしましょうか?

「ねえ? これって連鎖クエストになるの?」

「さあな? だが、条件が特殊な気がするから違うんじゃないか? もし、そうだったら結構意地悪なやつだろう?」


 マリアがダンダクール武具工房で購入した初心者御用達の片手剣、ショートソードで目の前のゾンビに斬りつけながら俺の質問に返答する。


 ここ、ためらいの墓地は、確かに名も無き村と比べて、敵の強さが段違いだ。


 俺の目の前にいるゾンビには、これまた購入した両指にはめたメリケンサックで顔面をワンツーからのショートアッパーをおみまいする。


 ラストのアッパーで、当然魔人の左手を発動させることも忘れない。


 ちっ、ハズレか。


 ボクシング映画ではこれで劇的に決着がつくんだが、俺の物理攻撃力だとすぐに何事も無かったかのように起き上がってくる。


 ……攻撃が遅すぎるから対処出来なくはないけど、俺のダメージが低すぎる。


 武器を増やそうにも、金もないし……中堅の悩み、みたいだな。

 ただの縛りプレイなのに……。


 全く、このままの戦い方じゃ一回の戦闘に何時間かかるかわかったものじゃないな。


「しかしままならないな。武具工房なんて大層な名前なのに、まさかまんまの名前でメリケンサックなんてのがあるなんてな」


 更に足払いをかけて、倒れたところをそのまま足で踏みつける。


 そして、二匹のクロウが空中から追い打ちとして体当たりをかける。


 最近一寸だけ連携が取れるようになってきたような気がする。


 俺のサポートをするだけなら、やられることもないしなんて素晴らしいのでしょう。


 因みにゾンビの所持スキル……。


ゾンビ、レベル5

所持スキル

補食、レベル1〈0%〉

(同種を補食する事で残HPを回復する)

毒攻撃、レベル1〈1%〉

(攻撃時対象を1スリップダメージ×10秒の毒状態にする)

毒耐性、レベル1〈10%〉

(毒耐性が1%上昇する)



「そういえば……モンスターから武器とかを取る事は出来るのかな?」

「あー確かに服は着てるが……撃破と同時に消えるんじゃないのか? いや、途中で奪えばどうだろうな? いくら金がないとはいえ……あんなボロボロの服、欲しいか?」


 目の前にいるのはボロボロの衣服を身にまとったただのゾンビ。

 今、試す対象はないな。


 マリアはなかなかの豪の者だな。


「ち、違うよ!? 一寸思っただけで、金策になればいいかな? って思っただけだから! 僕だってあんなのいらないから!」


 ま、そうだよな。次のゾンビに足払いをかけながら、考える。

 もし、可能なら全然いいな。ゴブリンやオークとかの敵勢獣人達なら試してみる価値があるんじゃないだろうか……だけど、今は敵のレベル的にも俺達のレベル的にも無理な話だがな。


 ま、結局暫くは様子見って事だな。


 俺はゾンビが起き上がってこないように、その腹を踏みつけて膝を落としながらダンダクール武具工房にいた時の事……つまり、ミカールの町に着いたのに、いきなりこんなクエストをこなす事になった訳をを思い返していた。










「わざわざ私なんかの作ったショートソードを買ってくれて……有り難う御座います。親方は駄目だって言うんですけど、鉄で出来た武器って銀鉱石等で打ち直せば使えばもっといいものになると思うんですけどどう思いますか?」


 急だな。


 マリアにショートソードを装備させながらぽつりと聞いてくるルーナルミナ。

 やや小声なのは親方が怖いからか?


 芸が込んでるな。


「銀鉱石? ショートソードだから、差し詰めシルバーソードって言えばいいのかな? でも、そんな情報は……」


 銀を使った武器か……これはさり気なくクエストの一つになるんだろうな。


 しかし、ただの初心者用の武器であるショートソードを買っただけで起こるような物なのか?

 いや、見習いを町の外で救って、見習いの作った武器を買うってのがトリガーなのか?


 複雑すぎるだろ!


 じゃあ、買った奴に対するただのクエストか?


「シルバーって事は銀の弾丸とかのように、吸血鬼や人狼とかに特攻なのか?」

「まさか! そんな便利な武器があったら世の中からヴァンパイアやワーウルフが絶滅してますよ」


 MMOだしな。そんなバランスブレイカーな物が、こんな初期の町から情報で降りてくるわけないか。


「俺達がその銀鉱石を取ってきてもいいぞ」

「え!? そんな……」

「勿論俺達で行ける範囲に限られるがな。それに、その後でいいからこの町を案内してくれないか? なにぶん着たばかりでな」


 結局俺が辿り着いた結論は、新米鍛冶を守れ、からの派生クエストか、単発のクエストかわからない、事だった。 


 どちらにしても受けない理由はないし。


 それで、町のことは何もわからないのまま、また新しいクエストで町からでて外周にためらいの墓地に移動するのだった。









「だから、何でそんなにポンポン決めちゃうかなぁ? もっと僕にビックリとか驚愕とかさせてよ。もし、シルバー系の武器が出来るならそれは凄い事なんだよ」


 俺とクロウ二匹よりも早く、目の前のゾンビを倒したマリアが愚痴りながら俺に加勢する。


 被弾率はクロウ含めて俺の方が低い。


 別に悔しいから比較して言ったわけじゃないぞ!


「決まりだ! ラスト! スキル、魔人の左手!」


 正拳突きとともに、魔人の左手を発動させた。

 

 お、毒耐性ゲット! じゃあ、恩恵的には俺の大勝利だな。

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