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第三十五話、素晴らしきかなこの増加ですか?

 まずは試そう。


 マリアが新しく覚えた魔法スキル、ディフェンスをかけてくれる。


 効果は抜群だな。防御力が倍になったし。


 ま、2が4になっただけだけど……それでも凄い。


「パーティーで生き延びる事を考えると、マリアはなんかいきなり特化したな。希望通りの騎士(ナイト)みたいだ」

「二個しか覚えてないスキルで、ここまでだと何か裏がありそうな気がするね。ジェイルのスキルはどうなの? 何かもらったんだよね?」


 俺か、サモンクロウ。カラスの召喚だ。しかも、現ステータスに合わせてるからか、MP消費1と言う低コスト。

 強さはそれなりだろうが。


 幻獣にこんな初心者向けのモンスター何かいるのか……一寸意外。


 でも、何でスキル覚えられたんだろうな? 縛りプレイで覚えられないようになってたはずなのに。


 ……後で聞いてみるか。


「お、効果切れた。レベル1ならこんなもんか?」

「10秒しかもたないしね。MP5使うから、連続で使って2回……20秒か……レベルあげよ」


 レベル1って冷遇されてるよな、早く上げろって事だな。

 とても実践で即投入出来るものじゃないしな。


 一応詠唱はあるんだ? 旧ジェイルの時も使ってなかったし、使っても使わなくてもいいんたろうが。


 初めだし中二病的にやってみるか。ええと……これか。サモンクロウを選択っと……。


「…………」

「どうしたの? 召喚術だよね、覚えたんだよね?」

「これを言うのか……わかってはいたが……俺にはレベルが高いな……仕方ないか。オーケー、任せとけ。しっかり刮目しろよ? 契約に基づき、我は汝を召喚せん、サモンクロウ」


 詠唱と共に、魔力が形作られ真っ黒なカラスが現れる。


「うわぁ、可愛い! 触っても大丈夫かな?」

「俺が呼んだし大丈夫なんじゃないか」


 俺の回りを飛び回るカラス=クロウ。


 ピョンピョン跳ねながら、クロウを触ろうとするマリア、声をかけて指示を出す俺。


 以上の事を暫く繰り返し、ある程度の事がわかった。


「こいつは俺の言うことを聞かない」

「うう……可愛かったのに……」


 ただ飛んでいるだけだ。これでどうしろと?


「どうしようか?」

「むしろ、俺が聞きたい」


 ペットみたいな扱いをしろって事か?


「あ、どこ行くの? カラスさん?」

「何だ? どうするつもりだ?」


 急に俺の元を離れるクロウ。


 こいつの事は何もわからない為、とりあえず後を着いていく俺達。


「どこに向かってるのかな?」

「知らん。役に立つのか? こいつは」

「ひょっとしたら、行った先に宝物があるかもよ?」

「御伽噺の世界だな」


 飛行速度は速くない為、小走りで着いていける。

 何なんだ、一体。もう少しスキルの説明をわかりやすくしろ。全くわからん。


「……宝じゃないが、モンスターがいたな」

「そうだね。モンスターだね」


 いたのは1匹のストーンイーター。このままじゃ、進行方向にぶつかるな。


「クワァア!!」

「おお、襲いかかったな。立ちふさがるものは排除するルーチンなのか?」

「嘴で突っつくの可愛い……」


 1対1でガチンコ中のクロウとストーンイーター。

 思わず立ち止まって見ている俺達。


「ストーンイーターって、空中に攻撃出来ないんだな」

「そうだね。全ステータス1だから、当たったら即負けなのにね」


 ん? なんか俺の事を言われてるような気がするぞ。


 やはり、常時飛んでるクロウは有利だな。


「あ、当たった」

「……半分位減らしてるな……こっち来るし。サモンクロウ。もう一回頑張れ」


 そして同じ事を繰り返すクロウ。一匹目は正面に回って攻撃したから撃破されたが、今回はそんな愚は犯さなかった。

 まあ、指示なんて出せないから見てるだけだが。


「倒せたね」

「ああ、やはり召喚系か……経験値は俺にも入るのし……戻ってきたな」


 初心者用の幻獣? 幻獣って事は今後何かしらクエストでもあるのか?


 全くHPを減らさず完勝のクロウは、そのまま進むかと思いきや俺の所へ戻ってきてまた周りを回りだす。

 当たれば即アウトだから、完勝か敗北しかないんだが。


「これはどう言うことだ?」

「索敵してストーンイーターを倒しにきたんじゃないの? 僕達の居場所から近かったし」


 そんな便利機能がクロウについてるのか?


「あ、また飛んでいった……」

「……あそこにラビットがいるな」


 迷う事なくラビットに突撃するクロウ。


「その仮説。どうやら事実みたいだ。でも、あのHPだと……」

「あ、やられたね」


 まあ、そうなるよな。元々HPは1しかないんだからそうなるよな。

 ラビットは空中戦も出来るし……ジャンピングタックルで。


 一撃を加える事なくラビットの必殺を受けて消滅するクロウ。

 しかし、索敵の間に回復していたMPを使って再度クロウを呼び出す。


「責任を取って最後までやれ……サモンクロウ!」


 再び現れたクロウは、現れてすぐにラビットに向かう。


「マリア、所であれにディフェンスかけれるか?」

「んーー無理みたい」


 ふむ、如何なる最低ダメージでも駄目だから意味はないが、やはりペット系は含まれないか。


 俺の残MPは1。回復までは流石にすぐは無理。折角だからスキルで戦いたいが……。


「無作為に敵をサーチアンドデストロイじゃ召喚しっぱなしって訳にはいかんよな」

「敵にぶつけて帰ってもらうしかないの? それは一寸可哀想な気がするよ」


 普通の幻獣達同様に、送還がきくのか? 俺の指示を全く聞かないから、同じとして扱っていいのかわからん。


「送還、クロウ」

「あ、消えたよ、そのスキルがそうなの?」

「みたいだな」


 戦闘中にやる意味はないが……ラビット向かってきたし。


「ま、とりあえずぶん殴るか。俺の魔人の左手でお前を丸裸にしてやるぞ。行くぞ!」


 実は殆ど被弾してないラビットに向けて、逆に襲いかかった。







「とりあえず、手に入れたスキルについてはわかったな」


 それに、防御+1も手に入ったし。


「うん。じゃあ、僕達も次の町を目指そうか?」


 どこに行けばいいんだ? 


「町は二つあってね。アズールとミカールって言うんだ」

「二つの特徴は?」

「アズールは武器がよくてヒューマン系のNPCが多い。ミカールは防具がよくて、亜人……ドワーフやエルフが多いって」


 ふむ、差別化してるんだな。どっちでもいいけど防具より武器の方がよくないか?


「マリアは希望はあるか?」

「特にないけど……僕、ナイトを目指そうかな、と思ってるから防具が充実してる方がいいかな?」

「よし、じゃあ、そうしよう」


 意見が分かれたが、俺としては別にどうでもいい位の差しかないし。


「え、いいの? ジェイルは?」

「俺はどっちでもいいからな。自力で戦うから、俺個人よりもマリアが強くなった方が戦力が上がる」


 何だかこのままパーティーを組む流れになってるから、それなら全体の強化に繋がる方がいい。


「そう……ありがとう。じゃあ、ミカールにしよう。これからもよろしくね」


 行き先は決まったな。じゃあ、俺達が目指す町はミカールだ。


「今、21時14分か。集中しすぎたな。こんなに長時間やったのは久し振りだな」

「え、もうそんな時間!? お母さんに怒られちゃうよ!?」


 母親を気にするって事は引き籠もりじゃないのか?

 いやいや、気にしちゃ駄目だ。それはもっと友好を深めてからだ。


「俺は13時丁度にログインしたから、8時間以上もやってた計算だな?」

「僕も同じくらいだよ。昨日もお母さんに怒られたばっかりなのに……お母さん怒ると怖いんだよ……ジェイルも一緒に謝ってよ」


 無茶を言うな。


 結局、明日は日曜日な為、今日はお開きにして明日、8時からログインする事にした。


 出来ればな。


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