表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/97

第二十九話、新たな人生は波乱の幕開けですか?

「……何だこれ?」


 知らない大陸で希望を胸に目の前に広がる景色を見たが、俺の第一声はこれで頭の中は疑問だけだった。


 大して詳しく聞かなかったが、低レベルしか入れない隠れ里と言うことでどんな物かと思ったが、そこには今にも朽ち果てそうなボロボロの木造家屋が立ち並ぶ村だった。


「隠れ里のイメージ悪すぎじゃねぇ? 普通エルフ系のNPCがいるような自然に溢れてたりしないのか? 何でこんなに荒廃した村な訳?」

「ねぇ、君、ビギナーだよね?」


 周りには、俺と同じような初心者と思われる軽装のプレイヤーが何人もいる。


 皆共通して訳わからんみたいな顔してるな。


 そういえば、俺、装備ってどうなってるんだ? メニュー確認……何もつけてない。

 縛りプレイにそんなのつけてなかったよな?

 これ、仕様なのか?


「ねえ聞いてる?」


 装備なしは初めてだが、体を見渡してみる。ボディスーツみたいなのを着てるみたいだ。 


「いやぁ、よかった……裸だったら一寸恥ずかしかったしな」

「そんな訳ないでしょ! ジェイル! 話をきけぇぇぇぇ!」


 俺の変更しなかった名前を呼ばれた……いや、まさか。俺を知ってるプレイヤーか?


「確かに俺はジェイルだが、誰だ?」

「ここよ、ここ」


 周囲を見回す……俺の事を見てる人、誰もいない。幻聴か……いや、まだ精神を病むような生活はしてない筈。


 そう、重度のストレスなんか感じてない。感じてないんだ。

 天上院はストレスじゃない、そう、天上院はストレスじゃないんだ!


「……気、気のせいだな。そうだな、そうに違いない」

「下よ、下!」


 声の通りに自分の下を見ると、そこには肌の黒い短髪の女性プレイヤーがいた。


「人がいたのか。ありがとう、居てくれてよかった。もし、居なかったら、新しい家族(予定)に、病院に連れて行ってもらわなきゃいけなくなる所だった。で、俺を呼んだのは君か」

「……そうだよ、僕だよ。君はビギナーだよね? って聞いたの」


 ビギナーか。俺、始めたばかりの新人になったんだよな。なんか、新鮮。


「……あんた、体は大人、頭は子供の名探偵?」

「違うよ。この名も無き村にいるのは初心者だけ。この場にいる事が新人の証だもの……それにそれじゃあ、ただの夢見勝ちな美女じゃない」


 自分で言うか? 痛い人だな。まあ、容姿はわかんないだろ? ゲームだぞ……見た目で言ってもむしろ、ボーイッシュで可愛いって感じ?


 それに名も無き村って……なんて名前だ。運営手を抜きすぎじゃないか?


「まあ、どうでもいい事だな。俺は君の言う通りビギナー(笑い)だ。とりあえず先に質問があるが、聞いてもいいか?」

「(笑い)って何よ。ま、いいわよ。何かしら?」

「君の名前は? 別にナンパじゃないぞ。一般常識的にな」


 この娘の名前はマリア。種族はホビットだそうだ。


「で、その初心者の俺になんの用だ?」

「なんでそんなに偉そうなの……ジェイル、僕が君にこの世界の手解きをしてあげるよ」


 なんだ、急に話しかけてきて馴れ馴れしい娘だな。それにどや顔か。俺とレベル2分しか違わないレベル3の癖に……。


「いや、結構だ」

「うん、よろしい。じゃあ早速……って、なんで!?」


 それは当然癪だからだ。


「わざわざ、ご親切にどうも。だが、俺は何でも自由に出来るOOだからこそ初めた訳だ。だからどこまでも好きにやりたい。済まんな……」

「そう……それはまたキツいと思うけど……ジェイルって面白いね。僕とフレンド登録しよ?」


 今の話を聞いて何故そうなる? ひょっとして惚れたか? モテキ到来か? それは困ったな。俺にはフィアンセがいるんだが。

 ま、そんな訳ないか。調子に乗りすぎだな。


「僕もまだレベル3だし、この村にとどまる予定だから。もし、初心者用の説明が欲しくなったら僕にやらせて欲しいんだ」

「何故だ? そこまで俺に拘る理由はなんだ? 正直面白いとかいわれるとGMコールしたくなるが……」


 違うな、これは。だが、何か裏がある感じだ。


「ああ、ごめんね。そんなつもりで言ったんじゃないよ。ジェイルとなら楽しい冒険が出来るかな、と思っただけだよ」


 他意がない? そんな馬鹿な。そんな奴がこの世にいるのか? 俺の周りはやるかやられるかの人生だったのに……この子は特別なんだなきっと。


 それにしても、よくわからん事を言ってたな。村に居られる? レベル3?


「それに、ジェイルに声をかけたのは、クエストで開始初日のプレイヤーに、決められた情報と経験を積ませるって言うのがあるからだよ。この村じゃ出来るクエストが少ないから……先に説明すればよかったね。ごめんね、ジェイル」


 よかった……ちゃんと理由があった。もし、全く理由なく親切にしようとしていたなら、俺の人生が否定される所だった。


「君も面白いな。よし! マリア、君とフレンドになろう。それにもし必要になったら、君に質問させてもらう」

「本当! やったあ、! じゃあ、決まりだね。ジェイル、これから宜しくね」


 なんだか知らないが、いきなりフレンドが出来たな。


 まあ、理由はわかったので、もうクエスト受けてもいいんだが……先程の俺の言葉は嘘だからいいだしにくい……。


 ま、いいや。細かいことは気にしない。


 そういえばロマノフとミリンダのフレ登録するの忘れてたわ。

 マリアが一番になったが……ま、大丈夫か。



 とりあえず、NPC(村人)に話を聞く事から始めるか。


 マリアと別れて俺はNPCを探して徘徊を始めた。


 何で、マリアは俺に話しかけたんだろうな。周りにはこんなに初心者がいるのに。


 当然、後で美玲に報告したら一番初めに登録しなかったことで、何故か俺が怒られた。

 何でだ?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ